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脳が壊れた (新潮新書) |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
2016/11/27
脳梗塞後、高次脳機能障害が残ってしまったルポライターによる闘病記。
著者の鈴木大介は『最貧困女子』など、社会的弱者の取材で知られるが、自身は無理も無茶も効くゴリゴリのフリーライター。
しかし、突然、普段取材対象としている「社会的弱者」になってしまう。
自分の不自由な言動が、過去に取材した社会的弱者の言動と重ねては「あのときの彼はこういう気持ちだったのか」と感じる。
著者はそれを「僥倖」と書く。
「四十一歳の若さで脳梗塞をやり、この当事者感覚を得つつ、感じ、考え、書く能力を喪失せずに済むという経験は、望んで得られるものではない」。
絶望的な環境を知恵とユーモアで乗り切る、映画『オデッセイ』の雰囲気もあった。日本人でもできるんだ。
本作はそのまま映画か演劇の原作にしたらいいと思う。というか、書いてみたい。