北海道札幌平岡高校演劇部『オリオリ』を見てきました。
スケジュール的に諦めていたんですが、色々偶然が重なって全体の2/3くらい見ることができました。
遠藤は脚本を提供しました。書き下ろしです。
ただ、書いている段階で部員のみなさんとは面識がなく、いわゆる当て書きではありません。
講評でそうではないかという指摘もあったようですが、そう見えたなら、それくらい役に寄せられた演者が巧かったということになります。
遠藤は一応教育学部を出たものの、学校という環境から離れて幾年月もたった部外者です。なので、部外者だからこそ書けることを書くようにつとめました。
具体的に意識したのはこんなところです。
・不登校を扱った話のステレオタイプに落とさない。学校に戻ることをゴールとしない。
・部活動を題材にしていても、部活動自体を目的化しない。なぜ部活を行うのかきちんと疑った上で自分なりに普遍性のある答えを出す。
・そう簡単には謝罪→和解という非当事者から見て都合のいい物語にしない。
・登場人物をすべて高校生にする。
・教訓的な要素をできるだけ廃して、カラっと笑えるコメディにする。
あんまり高校演劇らしい話にはならないかなと思ったんですが、実際見てみるとそんなことはなく、このジャンルの懐の深さを感じました。
「登場人物を高校生にする」は、せっかく高校生が演じるのに高校生以外の役をやるのはもったいないという意味です。
まともに高校生の役ができる期間なんて、一人の人生のなかでせいぜい4~5年です。あとは大竹しのぶクラスの超一流になるか、ギャグ要素をまぜないと見てられません。
この「自然に高校生の役が出来ることの尊さ」って、当の高校生が自覚するのは難しいんじゃないかなと思ったわけです。
このへんのこだわりは初めて書くからで、脚本家としての力みでもあります。また機会あればもっと柔軟に考えてもいいのかなと思っています。
肝心の舞台なんですが、脚本家の狙いをよく理解してくれ、かなりの確率で意図通りに笑いが起きていました。心底、ほっとしました。
たぶんお客さんからは簡単そうに見えたと思いますが、かなり地味で膨大な調整作業があったはずです。
外部コーチ的な立場で参加していた熊谷嶺くんの力も大きかったと思います。
本番が始まってしまえば脚本家はのんきなもので、自分が面白いと思っているものを書いていることもあり、たぶん他のお客さんよりゲラゲラ笑いながら見ていました。
登場人物は四人。みんな生き生きとしてほんとかわいい。
特に陽菜(役名・謝る側の子)は、自分の脚本以外ではあんまり見たことない感じのキャラクターなので、難役だったと思います。
よくあそこまで作ってくれたなと感謝しています。
高文連的には優秀賞。
高評価ではありますが、作品的にもう一化けしそうな雰囲気もあったので全道でも見たかったです。
最後にタイトルについて。
不登校の自室、自縄自縛状態の陽菜の精神状態がそれぞれ「檻・檻」でしたし、絶対に許せないことを許すために必要な時間を「折々」としました。
ついでに、「OLIOLI」にすると、ハワイ語で「愉快」「楽しい」という意味になります。
ご覧になったお客さんはもちろん、演劇部の皆さんも、愉快で楽しい作品になっていたら幸いです。
全部まとめてお礼申し上げます。ありがとうございました。またがんばります。
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