遠藤雷太のうろうろブログ

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感想:ラボチプロデュース のと☆えれき二人芝居 『Not Decided ―時計をとめて―』

2018-03-07 09:48:48 | 報告!

2018/3/7

前回はお礼だったので、作品についてはあらためて詳しい感想書こうと思っていたら、脚本を書かれた二朗松田さんに先を越されてしまいました。→「Not Decided -時計をとめて-」とは何か。

今さら自分が出しゃばって何か書く意味があるとも思えないんですが、書きたいので書いておきます。読みたい人は読んでいただければと。

演出補のお話をいただいたときに、プロデューサーさんが心配していたのは「(お笑いの)コントっぽくはしたくない」ということ。

もちろんコントというジャンルが悪いわけじゃないけど、二人ともお笑い芸人ではなくて、達者な役者なんだから、強みを活かそうと思えば当然出てくる話です。

そうは言っても脚本次第だと思いつつ、脚本を読ませていただいた時の感想は、「あ、これ『羅生門』だ」ということでした。

正確には、羅生門の下人に成り損なった男の話。

現状を打破するために非倫理的なことを試みるんだけど、老婆の着物を剥ぎ取れたのが下人で、時間を巻き戻し損なったのが本作の山野。

強い意志と理屈で行動できる人がいる一方で、「そうは言っても欲望に忠実に生きるのってとっても難しいよね」という、人の弱さを表現した作品だと解釈しました。

観劇三昧で見た『横山ノッキン・オン・ヘブンズドア』も似たテーマで作られていたと思います。

そこさえ抑えておけば、どんなに笑いが入っていても、お笑いのコントっぽくなることはなかったはずです。

あと、のと☆えれきは二人とも優秀な役者だけど、エレキくんは情緒、能登くんは器用さに基づく表現が特に優れていると思っています。

・まず、オープニングのアクション&状況説明&超長台詞、膠着状態になってからは会話劇で、個々の役者としての基本スキルを見せる。

・サイゼリアのシーンではお互いの「役」を守りつつ「役者」としてはイチャイチャさせて、「演劇」の観客と「のと☆えれき」の観客に同時に楽しんでもらう。

・クライマックスでは、お互いの役者としての強みを開放し、更に同時進行させることで、他では見られない個性的な演劇作品として確立させる。

のと☆えれきの二人芝居というお題に対して、ここまで見事な回答が出来るものなんでしょうか。

実際のところどこまで計算したものなのかはわかりませんが、結果、「のと☆えれき」の名刺代わりになる作品になったと思います。

他にも二人芝居としての構成とか、次回作というより続編が作れる可能性とか、いろいろ思うことはあるんですが、長くなりすぎるのでこのへんで。

のと☆えれきの次の作品ががあるとすれば、どんなアプローチで作られるのか、今から楽しみにしたいと思います。

※偶然だったみたいだけど、苫小牧をディスる部分も「そこまで屈折したやつなのか」という解釈していたので、結果的にはプラスになったと思います。

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