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秋の兆し。チョウの季節からドングリの季節へ。

2013-08-28 | 僕の散歩道
「世田谷には、本当にたくさんの虫がいるな」これが素直な感想だ。
昨日、小笠原から帰って、初めて散歩をした。花のきれいな公園では、たくさんの種類のチョウやハチが飛び回り、樹林に入ると、たちまち蚊に襲われる。小笠原では、こんなことはほとんどない。とにかく飛び回る虫は、ウスバキトンボと、アゲハチョウくらいのものなのだ。

林の中の道を行くと、7,8mほど先に、丸みのある三角形のフォルムが低木の葉先に見えた。まるでギターのピックのような形は、間違えなくムラサキシジミだ。写真を撮ろうかと一瞬迷った。内側は美しいルリ色の紋が入るが、外側(裏側)はほぼチョコレート色だ。

一応メモ代わりに撮っておこうと思い近づいた。息を詰め、デジカメを向ける、ピントが合った途端チョウが飛び立った。散歩の時は、ほとんどコンパクトカメラなのでフォーカスが遅い。一眼レフと比べ、ほんの1,2秒のものなのだが、この間にチョウが飛んでしまうといった経験をされた人は多いと思う。
気を取り直して、飛び移った先へ移動し、再び挑戦。またもや、同じことが…。 3回目の挑戦を試みたところ、今度は、脇から飛び出したナミヒカゲに気を取られ、その間に見失ってしまった。

結局縁がなかったものと、次のポイントへ移動しようとしたら…。居るのだ。すぐ脇のツユクサの上に、しかも翅を開き加減にして、ルリ色の美しい衣装を見せてくれている。そっとカメラを向けシャッターを押した。今度は飛び去りはしなかった。「さあ撮って。さっきはごめんなさい、まだ化粧してなかったから写真はNGだったの。」とでも言っているかのようだった。


ムラサキシジミ 2013-08-27 世田谷

その直後には、ヒメウラナミジャノメがちらちら飛び出した。
このチョウ、何度も見ていたのだが、先日チェックしたら、僕のライブラリーでは、世田谷での撮影記録がないと分かったものだ。こちらもカシャッ。なんだか調子がいい。やっぱり世田谷の散歩は楽しい。


ヒメウラナミジャノメ 2013-08-27 世田谷

散歩も終盤に差し掛かる。
大きな公園にの石段を行くと、緑のドングリが付いた、コナラの小枝がいくつも落ちていた。急に思い出した、小笠原に行く前に、クヌギで同じような状況を見ていた。

 
道ばたに散乱するコナナ(左)の小枝 2013-08-27 とクヌギの小枝 2013-08-15 共に世田谷

これは間違えなくハイイロチョッキリの仕業だ。体長1㎝程の小さな虫で、口先が長く、全身毛むくじゃらだ。
小枝をを拾い上げると、その切り口は、ボサボサ。如何にも何かが食いちぎったという感じ。そして、ドングリの方を見ると、その帽子の部分に小さな穴がある。ここが産卵抗で、細長い口先で穴を掘る。そして中に卵がうみつけられているというわけだ。

 
ハイイロチョッキリ 2010-07-10 世田谷       コナラの小枝の切り口 2013-08-27 世田谷


コナラのドングリに空けられた穴(産卵抗)跡 2013-08-27 世田谷

ドングリを拾ってくると、中から幼虫が出てきたという体験をした人は多いと思う。その正体は、この虫だったのだ。中で育った幼虫は、どんぐりの殻を食い破り、外へ出て、落ち葉の下などで蛹になる。そして、翌年に羽化するというものだ。
でも、このドングリ虫すべてが、ハイイロチョッキリというわけではない。良く似た、コナラシギゾウムシ、あるいはクヌギシギゾウムシも、同じようにドングリに産卵する。ただし、こちらは、ドングリに穴を開け卵をうみつけるまでは、同じだが、その後、枝を切り落とさない。秋に自然落下するまで放っておくというわけだ。だから緑のドングリが小枝ごと落ちていれば、ハイイロチョッキリということになる。

チョウの楽しい季節は、あと一月ほど、しかし、その途中からは、ドングリの季節に突入する。忙しそうな秋を予感させる散歩だった。



 
 



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