いきなり私事ですが、本日は僕の誕生日。
何回目かは、クイズにしておこう。少なくとも、前回の東京オリンピックを知っている世代なのだ。
さて、前回のログを、小笠原の父島で書いたが、その後13日に母島へ渡った。
宿の奥さんに、「雨を連れてきた」と言われたぐらい、今回は、天候に恵まれていない。それにしても、どうしてこんなに台風が続くのだろうか…。フィールドワーカーとしては、かなり辛いものがある。
雨にたたられた母島でのログの始まり。
雨でも仕事はしなくてはならない。急な斜面が多いところのため、かなり厳しい状況だ。
街中だけは晴れていても、山の中hガスに覆われ、まるでミストサウナの中にいるようになる。
母島沖村 人口500人弱。人家は港の周りにしかない。山を望むと上部はガスの中。
最初に紹介するのはメグロ。特別天然記念物で、世界中で母島とその属島である、向島、妹島の3島にしか生息がない。名前から、メジロと対比されるが、見た目はかなり異なる。
メグロ 2013-10-16 小笠原母島 メジロ 2013-10-16 小笠原母島
母島を歩いていて見かける鳥は、山の中では、この2種にオガサワラハシナガウグイスを加えた3種で8割以上を占める。さらにヒヨドリ、トラツグミ、海岸線や、街中、道路沿いでは、イソヒヨドリぐらいだろう。あとは、オガサワラノスリ、オガサワラカワラヒワ、アカガシラカラスバトをたまに見かける程度だ。これに、カツオドリやミズナギドリ類などの海鳥や渡りの途中のシギ・チドリ類などを加えても、30種はなかなか見られない。
昆虫は、ほとんどいない、以前はたくさんいたそうだが、グリーンアノールというトカゲ《イグアナの仲間》が入って以来、昆虫はほとんどいなくなってしまったのだ。小笠原で昆虫を調査していたある研究者は、「アノールが入って10年ほどの間に、昆虫は100:0になった」と言わせたほどだ。100:1ではなく0なのだ。つまり100分の1以下になってしまったということだ。
実際に、僕が今回こちらに来てから見た、ある程度のサイズのある昆虫は、アサギマダラ(チョウ)1頭、ウスバキトンボ(数回)、西洋ミツバチ(数頭)だけだ。
母島には、石門(せきもん)という地域があり、ウドノキ、シマホルトンキ、テリハハマボウ、アカテツなどの大木が林立する湿性高木林が成立する地区がある。東京都は、ここで、エコツーリズムを進めようとしている。
しかし、一般人が喜ぶような花は少なく、眺望の開ける場所もほとんどない。特に、今の時期に開花している花は少なく、ムニンシュスランの白い花くらいだろう。あとは、一般人からすると、ほとんど同じようにしか見えない常緑の広葉樹、各種のシダ植物などの緑色と、赤っぽい土と枯葉の色しか目につかない。固有種が多く、学術的には極めて貴重な場所ではあるが、一般の人に受ける観光対象とはなりにくい。
ムニンシュスラン 2013‐10‐17 小笠原母島 マルハチ(木性シダ)2013-10-17 小笠原母島
エコツーリズムを否定するつもりはない。しかし、ただ貴重な生物があると言うだけで、そこをコースにするというのには疑問を感じる。こういった場所は、学術研究林的な扱いで、年に何回か、研究者向けに開放するところだと思う。母島の中には、乳房山や、南崎のコースなど、一般の方に楽しんでいただける場所がまだまだ他にあるのだから…。
さらに考えさせられる話を聞いた。
石門地区は、調査・研究者や、外来種の駆除作業などで入る人を除くと、指定ガイドの同行無しで入ることはできない。それくらいルートが難しく、危険な場所も多いのだ。もし途中でけが人でも出たら、救急車はもちろん、担いで運びだすのも大変な道が続く。では空からヘリで対応と考えるが、これも、ヘリが着陸できる空間はなく、それどころか、ロープを下ろして釣りあげる空間さえ数えるほどしかないのだ。コースは、ほとんどジャングル状の樹林の中なのだ。
そこで、地元観光協会は、救急用品、水、雨具、保温シート、携帯トイレなどを入れた救急ボックスをコースの途中に設置した。使用した際には、中にあるチェックリストに記入し、下山後、速やかに観光協会に連絡するよう指示書きがしてある。だが、何の連絡もなく、雨具は持ち去られ、水は消費されているという。地元ガイドが、当番をきめて、点検・補給をしているのだが、もし、あるはずのものが無く、猶予の無い緊急状況が発生したら…。
犯人探しはしていないようだが、このような状況が続くのであるのなら、それなりの対処が必要なのではないだろうか。
石門の途中に設置されている救急ボックス 2013-10-16 小笠原母島
一般の人が入ることが難しい場所で起きている事実に、強い疑念と憤りを感じる。犯人よ、命や、場所を軽く見過ぎていないか!
ルールに則ッて…。いやいや、ルール以前の問題だ。分別ある人として、使った後にはきちんと連絡を入れる。あたりまえだと思うのだが…。
何回目かは、クイズにしておこう。少なくとも、前回の東京オリンピックを知っている世代なのだ。
さて、前回のログを、小笠原の父島で書いたが、その後13日に母島へ渡った。
宿の奥さんに、「雨を連れてきた」と言われたぐらい、今回は、天候に恵まれていない。それにしても、どうしてこんなに台風が続くのだろうか…。フィールドワーカーとしては、かなり辛いものがある。
雨にたたられた母島でのログの始まり。
雨でも仕事はしなくてはならない。急な斜面が多いところのため、かなり厳しい状況だ。
街中だけは晴れていても、山の中hガスに覆われ、まるでミストサウナの中にいるようになる。
母島沖村 人口500人弱。人家は港の周りにしかない。山を望むと上部はガスの中。
最初に紹介するのはメグロ。特別天然記念物で、世界中で母島とその属島である、向島、妹島の3島にしか生息がない。名前から、メジロと対比されるが、見た目はかなり異なる。
メグロ 2013-10-16 小笠原母島 メジロ 2013-10-16 小笠原母島
母島を歩いていて見かける鳥は、山の中では、この2種にオガサワラハシナガウグイスを加えた3種で8割以上を占める。さらにヒヨドリ、トラツグミ、海岸線や、街中、道路沿いでは、イソヒヨドリぐらいだろう。あとは、オガサワラノスリ、オガサワラカワラヒワ、アカガシラカラスバトをたまに見かける程度だ。これに、カツオドリやミズナギドリ類などの海鳥や渡りの途中のシギ・チドリ類などを加えても、30種はなかなか見られない。
昆虫は、ほとんどいない、以前はたくさんいたそうだが、グリーンアノールというトカゲ《イグアナの仲間》が入って以来、昆虫はほとんどいなくなってしまったのだ。小笠原で昆虫を調査していたある研究者は、「アノールが入って10年ほどの間に、昆虫は100:0になった」と言わせたほどだ。100:1ではなく0なのだ。つまり100分の1以下になってしまったということだ。
実際に、僕が今回こちらに来てから見た、ある程度のサイズのある昆虫は、アサギマダラ(チョウ)1頭、ウスバキトンボ(数回)、西洋ミツバチ(数頭)だけだ。
母島には、石門(せきもん)という地域があり、ウドノキ、シマホルトンキ、テリハハマボウ、アカテツなどの大木が林立する湿性高木林が成立する地区がある。東京都は、ここで、エコツーリズムを進めようとしている。
しかし、一般人が喜ぶような花は少なく、眺望の開ける場所もほとんどない。特に、今の時期に開花している花は少なく、ムニンシュスランの白い花くらいだろう。あとは、一般人からすると、ほとんど同じようにしか見えない常緑の広葉樹、各種のシダ植物などの緑色と、赤っぽい土と枯葉の色しか目につかない。固有種が多く、学術的には極めて貴重な場所ではあるが、一般の人に受ける観光対象とはなりにくい。
ムニンシュスラン 2013‐10‐17 小笠原母島 マルハチ(木性シダ)2013-10-17 小笠原母島
エコツーリズムを否定するつもりはない。しかし、ただ貴重な生物があると言うだけで、そこをコースにするというのには疑問を感じる。こういった場所は、学術研究林的な扱いで、年に何回か、研究者向けに開放するところだと思う。母島の中には、乳房山や、南崎のコースなど、一般の方に楽しんでいただける場所がまだまだ他にあるのだから…。
さらに考えさせられる話を聞いた。
石門地区は、調査・研究者や、外来種の駆除作業などで入る人を除くと、指定ガイドの同行無しで入ることはできない。それくらいルートが難しく、危険な場所も多いのだ。もし途中でけが人でも出たら、救急車はもちろん、担いで運びだすのも大変な道が続く。では空からヘリで対応と考えるが、これも、ヘリが着陸できる空間はなく、それどころか、ロープを下ろして釣りあげる空間さえ数えるほどしかないのだ。コースは、ほとんどジャングル状の樹林の中なのだ。
そこで、地元観光協会は、救急用品、水、雨具、保温シート、携帯トイレなどを入れた救急ボックスをコースの途中に設置した。使用した際には、中にあるチェックリストに記入し、下山後、速やかに観光協会に連絡するよう指示書きがしてある。だが、何の連絡もなく、雨具は持ち去られ、水は消費されているという。地元ガイドが、当番をきめて、点検・補給をしているのだが、もし、あるはずのものが無く、猶予の無い緊急状況が発生したら…。
犯人探しはしていないようだが、このような状況が続くのであるのなら、それなりの対処が必要なのではないだろうか。
石門の途中に設置されている救急ボックス 2013-10-16 小笠原母島
一般の人が入ることが難しい場所で起きている事実に、強い疑念と憤りを感じる。犯人よ、命や、場所を軽く見過ぎていないか!
ルールに則ッて…。いやいや、ルール以前の問題だ。分別ある人として、使った後にはきちんと連絡を入れる。あたりまえだと思うのだが…。
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