散歩路地《サンポロジー》      毎日が発見! 身近な自然が見えてくる!


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ついに見つけた! 足長おじさん?  

2013-07-07 | 僕の散歩道
7月6日。猛暑の散歩道で、もう一つ見つけたものがある。


川に向かってパンの耳を投げる男性 2013-07-06 仙川

本人には承諾を得ず、勝手に写真を撮らせていただき、勝手にここに掲載してしまった。――まあ顔など特定できないので、ご容赦いただきたい。

いつも通る、仙川沿いの道が近付くと、橋のたもとで、紙吹雪のようなものが見えた。初老の男性が、川に向かって何かを撒いているようだ。こっそり双眼鏡で見ると、左手のビニール袋には、パンの耳らしきものがぎっしりと入っていた。――川の中のコイにでも餌をまいているのだろうか? 
その男性はすぐに、下流に向かって歩きはじめた。僕はその場へ移動し、川の中を覗き込んだ。果たして、そこに居たのは…。


撒かれた餌を啄ばむコガモ 2013-07-06 仙川 

あのコガモだった。

これまでの経緯を知る僕には、一瞬足長おじさんにも見える。反面、自然環境保全に関する仕事を生業とする職業人としての僕には、餌撒きに大きな疑問も感じる。今日の野生動物、とくに人間に近い所に生活の場を持つ動物は、人間の影響を直接的に受け、一歩間違えると、人間の一方的な都合で、その個体の生死や時には地域個体群の消滅といった危機にも直面する。

世間を騒がせた、カラスやドバトの問題。ガンやカモの渡来地として有名な伊豆沼(宮城県)の餌撒きなどによる水質汚染問題。このブログでも消化した、タヌキの疥癬症や交通事故問題。野鳥の突然死。チョウの分布域拡大。ガビチョウやアライグマなどによる生態系撹乱、あるいは農業被害など、人と野生動物の接点の問題は拡大する一方だ。

以前、二子玉川のビルの屋上テラスを使った飲食施設で、客の使用済みの食器にたかるスズメの姿を見た。その一コマだけを見るならば、かわいらしい、微笑ましくも見えるが、これが本当に野生動物と、人間のあるべき姿なのだろうかという疑問も残る。


食べ終わった食器に集まるスズメ 2010-01-31 二子玉川

いろいろな状況があり、様々な利害があるため、答えを出すのは難しい。とりあえず、日常のこんなシーンに疑問符を打って、考えてみることだけでも始めて見るべきだと思うのだが…。

産卵ラッシュ

2013-07-06 | 僕の散歩道
僕の散歩道とは、実は、調査ルートでもある。
たまに、若干道を変えたり、面白い物のを見つけると長居したりということはあるが、概ね、5.3kmほどの道のりを、1時間40分~2時間で歩いている。
この間に、
①特定の調査区間(約60m)を行ったり来たりしながら、15分間のチョウのカウントを行う。
②ルート全体で確認できた、チョウ、トンボの種類をチェック。
と言った、二つの調査を実施している。

4月8日から、だいたい週2回のペースでこの二つのデータ取り続けている。
これまでの記録は、

4月前半        12種
4月中~5月中   5~ 7種
5月下~6月末   10~14種


それが、7月に入って初めて歩いた今日。いきなり過去最高の17種も出てきたのだ。――この暑さのせいなのか?

特にアゲハチョウ類がすごい。今日は、ナミアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、カラスアゲハ、アオスジアゲハと、5種類も出た。あとキアゲハが出ていれば、ほぼこの地区でのアゲハ類はコンプリートと言ったところだった。

さらにすごいのは、産卵ラッシュ! ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、アオスジアゲハ、ムラサキシジミの4種が産卵するところを観察できた。
「ちょっとおあたくっぽいなー」と思われる方も、産卵の姿や生まれたての卵などを、ぜひ見てもらいた。


アカボシゴマダラの産卵 2013-07-06 世田谷

 
ゴマダラチョウの産卵 2013-07-06 世田谷     ゴマダラチョウ卵 2013-07-06 世田谷

 
アオシジアゲハの卵 葉の裏に2卵(左)とそのアップ 葉はクスノキ 2013-07-06 世田谷

その13  トンボソウとトンボ  意外な7月2日-第3幕

2013-07-03 | フィールドノート(多摩丘陵)
7月2日。ミドリシジミの姿を求めて歩いた多摩丘陵では、まだまだ楽しい出会いが待っていた。今日はその第3幕だ。

オオミドリシジミを求めて、尾根道を下る。この時間だと、うまくすれば、林床の陽だまりなどで翅を休めている可能性がある。オオミドリシジミは、翅を閉じていると、ほぼ白く見える。僕は、緑色の中に浮かぶ、白い影を探していた。きょろきょろと視線を動かす中で、ちょっと違和感のあるフォルムが浮かんだ。通り過ぎた視線を戻すと、そこに緑色の花を付けた、オオバノトンボソウの株があった。

  
オオバノトンボソウ 2013-07-02 多摩丘陵

オオバノトンボソウは、雑木林に生える野生ランの一種で、多摩丘陵では、概ね7月に開花する。ランの花は、花弁が立体的で、その形から、トンボソウ、チドリ(鳥)、サギソウ、スズムシソウなど、動物に見立てた名前を付けたものが目立つ。
僕も、久しぶりの対面にうれしくなり、上から、下から、寄ったり、引いたりと、数枚の写真を撮らせてもらった。でも、家でじっくり見ると、とてもほめられた画像ではない。この花は、どうもうまく撮れない。今までに満足ゆく写真が撮れたためしがない。
オオミドリシジミはあきらめて、先に行くことにした。目指すは、第2のポイント、谷戸のハンノキだ。そこで、ミドリシジミを探すことにした。

谷戸に出た僕たちは、ミドリシジミを探し始めた。
「いないですね。」S君の声が聞こえる。「今年はもう終わったかな…。」と僕。
最も遅く発生するミドリシジミが居ないとなれば、今年のゼフィルスは終わりということになりそうだ。捜し歩くと、時々ふわっと舞い上がるとんぼがいる。ヒメアカネという小型の赤トンボだ。翅がまだキラキラしていて、羽化したばかりだとわかる。そしてまたヒメアカネ。どうやら、ヒメアカネが大量に羽化しているようだ。


羽化後間もないヒメアカネ 2013-07-02 多摩丘陵 

この場はとりあえず休戦。早めの昼食にすることにした。
昼食直後。空模様が怪しい。一瞬雨がぱらついた。しばらく木の下で待機。そして天気の回復を見て、出発することにした。

S君は、まだあきらめきれず、以前にオオミドリシジミを見つけた道を行きたいという。僕も、再び色気を出して、その意見に同意した。

その道は、人家が近く、あまりオオミドリシジミが見られる場所だとは思えないのだが、なぜか、昨年、今年と、2年続けてそこで見付けてしまったのだ。思い出してみると、ほかにも、ムカシヤンマにであったりと、意外な生き物と遭遇することが幾度か…。 そこで、この道を『意外性の道』と名付け、3匹目のドジョウを目指して歩く事にした。

突然、足元の舗装路から、大型のトンボが飛び出した。少し先のトタンの波板に止まる。その止まり方から、コオニヤンマだと確信した。まあ、オオミドリシジミやムカシヤンマほどではないが、これも意外な遭遇と言えそうだ。

舗装路から飛び立ったコオニヤンマ 2013-07-02 多摩丘陵 

結局、オオミドリシジミの姿を見ることなく、僕たちは意外性の道を通過し隣の谷へと至った。S君も、これであきらめがついたようだ。
とりあえず、目的を見失ったまま谷戸内を歩きはじめる。すると、道脇の草に、またまたコオニヤンマが止まっていた。
コオニヤンマは、川の中流域で繁殖するため、多摩丘陵の小さな谷戸には少ない。それが、今日は、これで2頭目。そして、その後さらに2頭が至近で確認できたのだ。

 コオニヤンマ 2013-07-02 多摩丘陵 左右の目が離れている(左写真)

谷戸の中で、1日にこんなにたくさんのコオニヤンマを見たのは初めてだ。
 
ちなみに、コオニヤンマは、ヤンマとは付くが、ヤンマ科のトンボではない。サナエトンボ科のトンボである。大きな体と、オニヤンマに似た模様からこの名がつけられているが、サナエトンボの仲間らしく複眼は小さめで、左右が離れている。このあたりは、5月22日「大きなトンボ」を参考にしてもらいた。

ゼフィルスの旬は終わった。今日は、ヒメアカネとコオニヤンマの2種のトンボが目立つ。よく考えると、今日のトンボとの遭遇はは、オオバノトンボソウに導かれていたのかも…。


その12 マイペースなアナグマ  意外な7月2日―第2幕

2013-07-03 | フィールドノート(多摩丘陵)
「あれ、タヌキですか?」一緒に歩いていたS君が指差した。
大きなエノキの下に座り込み、涼しい風で、体のほてりを取っているときのことだった
彼の指先には…。 藪から顔を出したアナグマの姿があった。


突如現れたアナグマ おやおや脱糞したかな? 2013-07-02 多摩丘陵

僕は小声で「動くな!」とS君を制した。
「アナグマは、目が悪いので、派手に動いたり、大きな声を出したりしなければ、こちらに気が付かない。」と続けた。そして、アナグマに視線を送りながら、ゆっくりとカメラに手を伸ばした。
アナグマは、草原脇の窪みに沿って、小走りで移動してきた。我々にきずくこともなく、5mほど前を通り過ぎ、その先で脱糞するようなポーズを2回。それから林の中の道を上っていった。


アナグマの現れた場所 樹の下に我々(2名) 赤線がアナグマの移動ルート 2013-07-02 多摩丘陵

この間、ほんの30秒。いや15秒ほどだったかもしれない。
写真を取ろうとするがレンズキャップがなかなか外れない。外しはしたが、今度は、興奮していてカメラの設定が合わない。やっと撮ったが、今度はシャッター速度が遅くブレブレ。


興奮状態で撮った移動中のアナグマ(ブレブレ) 2013-07-02 多摩丘陵

冷静を装ってはいたが、やはり興奮していたのだ。
何とか撮影できる状態になり、動画撮影で後を追った。あとで見ると、録画時間はわずか9秒! 平常心に戻ったのは、アナグマが見えなくなった5秒くらいしてからだと思う。

「今の撮れた。」
「ちょっと興奮していて、うまく撮れなかったので、あまりズームアップしないで撮りました」
見せてもらうと、小さいが、ちゃんと写っている。S君の方が冷静だったのかもしれない。
「俺、すぐに動画にしちゃったんで、まともな静止画を取ってないんだ、これ、ブログに使わせてもらっていい。」
「ああ、いいですよ。小さいですけど!」
というわけで、最初の写真になったわけだ。最近のカメラは性能がいい。かなりトリミングしたが、それでもまずまずの画質でみることができた。
「Sクンありがとう…。」

アナグマには、これまでも数回出くわした。たいがい、林道などで向かいから歩いてくると言ったものだ。多くの野生動物は、人間より先に、こちらの動きを察知して、先に逃げて行ってします。しかし、アナグマは鈍感なのか、とにかく、マイペースで歩き続けるのだ。異常に気が付いた時も、視線を定めるのではなく、鼻先を持ち上げ、しきりに上下左右に振り、匂いの情報を集めているような動きをしたのを見たことがある。目が悪いというのは本当のようだ。

何の本だか忘れたが、――山の中で胡坐をかいて座り込んでいると、そこにアナグマが現れ、どんどん近づいてきた。そしてついに、胡坐の上に片足を乗せて、初めて人の存在に気が付き、驚いて逃げて行った。―― というのを読んだことがある。

最後に、アナグマの脱糞跡を確認したが、何も見つからなかった。脱糞したのではなく、お尻をすりつけ匂い付けでもして行ったのだろう。

僕は、姿を消したアナグマの後ろ姿を追うように、同じ道を登り始めた。

その11 セレブが集まる樹液酒場 多摩丘陵店             意外な7月2日―第1幕

2013-07-02 | フィールドノート(多摩丘陵)
昨日、樹液酒場世田谷店を紹介した。そして多摩丘陵店にセレブ客が沢山いると書いた。
そして今日、多摩丘陵店に行ってみると…。 いた、いた、セレブが。既に来店し、飲み始めているではないか!

7月2日。2週間ぶりに、多摩丘陵へ行く。ミドリシジミ、オオミドリシジミと出会う今年最後のチャンスだ。
同行した仲間に、「昨日のブログで、樹液酒場多摩丘陵店では、そろそろ、オオムラサキやカブトムシが出てくる頃と書いておいた」と話しながら林の中の道を進む。すると…。
『ブーン・・…。』
セスナ機のような翅音が聞こえてきた。「おっ。おそらくカナブンだ。音を追え! たぶん樹液が出てる所へ行くぞ」と私。
しばらくふらふらと飛んでいたが、その虫は道脇のクヌギにとまた。高さが5mほどあるが、双眼鏡で眺めてみると、一瞬白っぽい翅が動くのが見えた。僕の興奮は、いきなり120%に達した!
突然ののセレブの登場だ。現れたのは、セレブの中のセレブ、オオムラサキだった。いつもの年より来店時間が早いようだ。
その脇にはコクワガタと、翅音で、ここまでの案内をしてくれた、カナブンの姿があった。


カナブンに導かれた樹液 そこにはオオムラサキの姿があった 2013-07-02 多摩丘陵

その後も、何カ所かの樹液を見つると、客の顔を確かめて回った。
ノコギリクワガタ、カナブン、カブトムシ。 さすがは、セレブが集まる多摩丘陵店だ。 


カブトムシ♀とカナブン 2013-07-02 多摩丘陵

樹液を見つけるコツは、五感を働かせること。中でも、聴覚、嗅覚、視覚が重要。
ブーンという音を追う(聴覚)。甘酸っぱいにおいがしたら風上を探る(嗅覚)。黒っぽいチョウが樹の周りを飛び回っていたら(視覚)、そこに目指す樹液はある。

しかし、無神経に近づいてはいけない。クワガタは、人影に驚いて、手足を丸めて地面にダイブ。その後は、あっという間に姿を隠してしまう。オオムラサキやゴマダラチョウは、急いで飛び立ち、他の店へと河岸を変えてしまう。
そして、何より、管を巻くスズメバチと鉢合わせする危険もあるのだ。


スズメバチにはご用心 2013-07-02 多摩丘陵

結局、ミドリシジミ、オオミドリシジミは、全く見られなかった。里山は既に次の季節へと変貌していたようだ。その分、予想外の出会いも沢山あった。差し引きすると、間違えなくプラス。満足の行く1日だった。

※ その他の出会いは、後日。「マイペースなアナグマ」、「トンボとトンボソウ」を紹介予定。



樹液酒場 世田谷店 OPEN!

2013-07-01 | 僕の散歩道
昨日の散歩の途中で樹液酒場を覗いてみると…。
やっぱり来ていた。常連客が!
 

常連客:オオスズメバチ、カナブン 2013-06-30 世田谷

樹液酒場のセレブ客は、郊外店の方が多い。多摩丘陵店では、そろそろ国蝶のオオムラサキや、キングカブ(トムシ)が姿を見せる時期を迎える。
しかし、ここ世田谷店では、たいしたものはいないだろうとお思いだろう。が、そうでもないのだ。

この2,3年の記録だけでも、カブトムシ、カナブン、クロカナブン、ノコギリクワガラ、コクワガタ、ヒラタクワガタ、ゴマダラチョウといった方々が目撃されている。

 
ヒラタクワガタ 2010-06-15 世田谷           ノコギリクワガタ 2011-08-02 多摩丘陵 

でも、ゆっくり飲んでいただくために、むやみに声をかけたり、周りで騒いだりしないでもらいたい。
セレブも、静かなプライベートを過ごしたいだろうから…。

※ 世田谷のノコギリクワガタは撮っていたつもりだったのだが、写真がなかった。今年押さえておこう。