今年27回目,梅雨の合間の
丹沢:塔ノ岳
(単独山行)
2007年7月6日(木)
←引き続き丹沢:塔ノ岳の記事をご覧になる場合は,
左の『CATEGORY』欄から,
「丹沢の山旅」を選んでクリックしてください。
■天気予報が良かったので・・・
本当は昨日(7月5日),塔ノ岳に登るつもりであった。ところが,朝起きたときに,左足の踵から直ぐ上の所に違和感があったので,大事を取って,塔ノ岳行きを中止して,軽く鎌倉天園ハイキングコースを廻るだけで,長く歩くことは自重していた。しかし,何時の間にか,足の違和感もなくなっていた。
今日(7月6日)も,天気予報では,どうやら晴のようである。それならば,7月に入って第1回,今年通算27回目の塔ノ岳往復をしようと思い立つ。そして,例により,東海道本線,小田急線を乗り継いで,渋沢駅に到着する。
何時も乗っている7時16分発の大倉行は,平日にもかかわらず,座席がほぼ埋まるほどに登山客が乗っている。
■平日なのに混雑する登山道
例によって,私がストレッチをしている間に,大半の登山客は,塔ノ岳を目指してサッサと歩き出してしまう。これらの登山客から,10分ほど遅れて,7時41分にバス停大倉(標高290m)を歩き出す。相変わらず蒸し暑いが,前回(6月30日)よりは,多少涼しいような気もする。
何時もの通りの歩行速度で,7時46分に登山口へ到着する。鬱蒼とした杉林の中に入ると,一層湿気が強くなるような気がするが,緑に覆われているためか,多少ヒンヤリした感じもする。玉石を敷き詰めた路面は,苔が濡れていてとても滑りやすく,歩きにくい。
この辺りから先発した登山者を少しずつ追い抜く。道幅が狭いところでは,先行している登山者を簡単に追い抜くこともできずに,道幅が広がるまで,ひたすら背後霊のように後を付ける。
8時01分に観音茶屋を通過する。私の前には,同じバスに乗り合わせた登山客が何人かが喘ぎながら歩いている。普段,山登りをしていない人には,なかなか大変なのだろう。観音茶屋を過ぎて,暫くの間,登山道の道幅は少し狭くなる。私の先を歩く方々が数名居て追い越すわけにもいかない。先を行く方が道を譲ってくれるまで,私は後から背後霊のようになって歩く。
8時14分に雑事場ノ平に到着する。汗ビッショリになった男性がベンチに腰を下ろして休んでいる。私は軽く会釈をして通過する。
■駒止茶屋へ
8時16分に見晴茶屋を通過する。ここから本格的な登り坂になる。横幅は広いが,段がハッキリしない登り階段が延々と続く。階段を見上げると,数名の登山者が,ユックリ,ユックリと登っていくのが見える。
この階段を登り始めると,今日の自分の体調が何となく分かる。この最初の階段をリズム良く登れないときは,あまり体調が良くない。今日は蒸し暑いが,何となく体調は良さそうである。私は少し歩行速度を上げてみる。どうやら,今日は楽に登り続けることができそうである。
8時30分に一本松を通過する。この辺りから滑りやすい玉石を敷き詰めた登り坂になる。そこを通過すると,少々急な勾配の木道になる。この木道を過ぎると幅の広いトラバースの登り坂が続く。そして,漸く水平に近い尾根道になるが,暫く進むと,再び砕石がゴロゴロと転がる登り道になる。この登り坂の途中から,緑色の建物が見えてくる。駒止茶屋である,この茶屋を8時49分に通過する。
■途中でご常連のNさんに会う
私は何時も駒止茶屋に到着すると,ホッとした気分になる。その理由は,ここから坂道を少し登ると,景色が良くて,なだらかな尾根道になるからである。今日も富士山は雲に覆われていて見えないのが残念である。天気予報では南風が吹くといっていたが,地形の影響か,この辺りでは弱い西風が吹いている。
<何時もの所からの眺望:晴れていれば富士山が見える>
一旦,堀山を下り,また坂道を登り返して,8時59分に堀山の家を通過する。この時点で,遅くても10時15分頃には塔ノ岳山頂に着けると確信する。私の前後には誰も居ない。ここから暫くの間は,全くの一人旅になる。
短いヤセ尾根を通過すると急勾配の破砕岩の斜面になる。ゴロゴロとした石の間をジグザグと登り続けると,長い階段に差し掛かる。前方には何人かの登山者が,随分とゆっくりしたペースで登っているのが見え始める。
私も決して速い速度で登っているわけではないが,それでも前を行く人との間隔が徐々に縮まってくる。そして,戸沢分岐から100メートルほど下の地点で,年輩の紳士に追いつく。紳士は常連のNさんであった。私より30分ほど早く大倉に到着するバスで来られたという。ほんの数分一緒に歩いた後,私は,
「お先に失礼します・・」
と挨拶をして,先に行かせて貰う。
■花立山荘へ
9時17分に萱場平を通過する。この辺りで数名の登山者を追い越させて貰う。どうやら,彼らはNさんと同じバスに乗り合わせた方々のようである。
萱場平から先は,やや急な登り階段になる。この階段を過ぎると露岩帯に入る。岩を縫うように登り続けると,急に視界が開け,再び階段道になる。道幅が広く,勾配はますます急になる。相変わらず蒸し暑いけれども,前回,6月30日に登ったときに較べると,かなり良いペースで登っているようである。そして,9時37分,殆ど疲労することなしに花立山荘を通過する。
<雲の合間から山肌が見えている>
■塔ノ岳山頂に到着
花立山荘を通過すると,「ジー,ジー・・・」とセミの鳴き声が聞こえてくる。何という蝉か分からないが,季節の移り変わりを実感する。露岩の尾根道を登り続けて,9時50分に金冷しを通過する。
霧がますます濃くなり,視界は50メートルほどしかない。辺りは静寂そのもの。私の前後に誰も居ないようである。こんな雰囲気の中を登っていると,何となく気分が高揚してくるのが分かる。
10時04分,霧が立ち込めている塔ノ岳山頂(1491m)に到着する。山頂には若い男性が1人居るだけである。周辺の山々は深い霧の中である。冷気をともなった霧が足下から沸き上がっている。ひんやりとした霧が火照った身体には,とても心地よく感じる。今回も,
「やっぱり,塔ノ岳へ来て良かったな・・」
と心からの満足感に浸る。
■尊仏山荘にて
尊仏山荘に入る。
先客はカメラマンお一人である。今日の小屋番は丹沢の『エリアマップ』を執筆したOさんである。私の顔を見ると,
「いらっしゃい!」
と言いながら,私の注文を受ける前に,300円也のお茶を入れてくれる。
今回の塔ノ岳登頂は,今年になって27回目。一般の登山客に比較すれば,回数はかなり多いかもしれないが,この山荘のご常連に比較すれば,限りなくゼロに近い回数である。でも,この頃は,ようやく私の顔も,ご常連の皆様に覚えて頂けるようになったようである。
山荘の寒暖計を見ると,10時現在の山頂の気温は,+17.0℃。霧に覆われているために,この時期としては低温である。
お茶を頂きながら,コンビニで仕入れたオニギリを食べる。その間,Oさんとカメラマン氏が,頻りにカメラ談義をしている。Oさんは雑誌『山と渓谷』に時々写真を出しているプロカメラマンでもある。「××というカメラのシャッターは×千回は保証しているがそれ以上は・・」とか「カメラ修理の基本技術料は・・・」とか,お二人のカメラ談義の内容は偉く高度で専門的である。その内にデジカメからパソコンにまでお話の内容が発展する。
「私は若い頃,汎用コンピュータで生産管理,やってたことがありますよ・・・FORTRAN使ってました・・・」
とカメラマン氏が言い出す。その後,5インチフロッピーの話から,2MBのSDカードの書込速度や信頼性のことまで話題になる。コンピュータの話題になると,私もいつの間にか,雑談に加わっていることに気が付いて,内心,思わず苦笑する。
私が尊仏山荘に入ってから,25分ほど経った頃,戸沢分岐の下で追い越させて頂いたNさんが,山荘に入ってくる。すると,小屋番のOさんが,自動的に,カップラーメンとお茶をお盆に乗せて,Nさんのところへ持ってくる。Nさんは,私よりもずっと古い尊仏山荘のご常連である。
やがて,次々とご常連が山荘に入ってくる。山荘の中は男性の年寄りばかりになる。私は早々に退散しようと思う。
■霧の中,下山開始
10時35分に尊仏山荘を出発して,下山を開始する。
いつの間にか山頂で休憩を取っている人の10人余りに増えている。どうやら渋沢1番バスで来られた方々が,次々に山頂に到着しているようである。南から山頂に向かって微風が吹き上げている。結構寒い。
霧の中を大倉へ向かって下り続ける。階段を下り始めると,同じバスに乗っていた登山客と次々にすれ違う。中には私の風貌を覚えている人も居て,
「おや・・・随分と速いですね」
と声を掛けてくる。
速いと言われれば,平素登山をしていない方々に比較すれば,確かに速いかもしれないが,自分自身では決して満足していない。せめて2時間10分を切るぐらいの速度で登りたいものだと常日頃思っているが,なかなか実現しない。
11時04分に花立山荘を通過する。霧が次第に薄くなり,柔らかい日光が背中に暖かく当たっているのが感じられる。登っているときには誰も居なかったベンチに,数名の登山客が休憩を取っている。富士山は相変わらず見えないが,大山や三の塔辺りの山塊が雲の間から見えている。
<登山道に咲く綺麗な花>
登山道に綺麗な白い花が咲いている。しゃがみ込んでデジカメで花を撮る。通りすがりの女性登山者が,無理な姿勢で写真を撮っている私に,
「あら,綺麗な花ですね・・・何という花ですか・・」
ろ話しかける。残念ながら,私には花の名前は分からない。
■大倉へ到着
大倉発12時52分のバスに乗るつもりで,ユックリと下山し続ける。花立山荘付近で盛んに聞こえていた蝉の鳴き声がいつの間にか聞こえなくなっている。戸沢分岐を通過する頃まで,同じバスに乗り合わせた登山者とすれ違う。何人かの方々から「山頂まで行ったんですか?」「はやいですね・・」と話しかけられる。
でも,土日に塔ノ岳へ登ると,ドッと繰り出してくる若い登山者,2~3人に,何時も追い越されている。別に山行速度を競っているわけではないが,私より速く登る方々も沢山居るし,遅い方々も沢山居るだけのことである。
道中,草花の写真を撮ったり,風景を愛でたりしながら,バスの時間に合わせてノンビリと下る。途中,下り足の速い方々,数名に追い越される。そして,12時47分に,無事,大倉に到着する。
[ラップタイム]
※標高は高度計の計測値で±20m程度の誤差あり。
7:41 歩き出し(標高290m)
7:46 登山口(320m)
7:49 克童窯(360m)
7:54 丹沢ベース(400m)
8:01 観音茶屋(460m)
8:04 高原の家分岐(495m)
8:14 雑事場ノ平(590m)
8:16 見晴茶屋(595m)
8:30 一本松(740m)
8:43 駒止茶屋(855m)
8:52 堀山(900m)
8:59 堀山ノ家(910m)
9:15 戸沢分岐(1065m)
9:17 萱場平(1070m)
9:37 花立山荘(1258m)
9:50 金冷し(1320m)
10:04 塔ノ岳山頂着(1490m)
------------------------------------------------
10:35 〃 発
10:47 金冷し
11:04 花立山荘
11:24 萱場平
11:26 戸沢分岐
11:40 堀山ノ家
11:58 駒止茶屋
12:10 一本松
12:19 見晴茶屋
12:21 雑事場ノ平
12:27 高原の家分岐
12:30 観音茶屋
12:36 丹沢ベース
12:39 克童窯
12:42 登山口
12:47 大倉
■登攀・下降高度 1201m
■登攀所要時間 2時間23分(2.36h)
登攀速度 1201m/2.36h=504.6m/h
■下降所要時間 2時間12分(2.20h)
下降速度 1201m/2.20h=545.9m/h
(おわり)
丹沢:塔ノ岳
(単独山行)
2007年7月6日(木)
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■天気予報が良かったので・・・
本当は昨日(7月5日),塔ノ岳に登るつもりであった。ところが,朝起きたときに,左足の踵から直ぐ上の所に違和感があったので,大事を取って,塔ノ岳行きを中止して,軽く鎌倉天園ハイキングコースを廻るだけで,長く歩くことは自重していた。しかし,何時の間にか,足の違和感もなくなっていた。
今日(7月6日)も,天気予報では,どうやら晴のようである。それならば,7月に入って第1回,今年通算27回目の塔ノ岳往復をしようと思い立つ。そして,例により,東海道本線,小田急線を乗り継いで,渋沢駅に到着する。
何時も乗っている7時16分発の大倉行は,平日にもかかわらず,座席がほぼ埋まるほどに登山客が乗っている。
■平日なのに混雑する登山道
例によって,私がストレッチをしている間に,大半の登山客は,塔ノ岳を目指してサッサと歩き出してしまう。これらの登山客から,10分ほど遅れて,7時41分にバス停大倉(標高290m)を歩き出す。相変わらず蒸し暑いが,前回(6月30日)よりは,多少涼しいような気もする。
何時もの通りの歩行速度で,7時46分に登山口へ到着する。鬱蒼とした杉林の中に入ると,一層湿気が強くなるような気がするが,緑に覆われているためか,多少ヒンヤリした感じもする。玉石を敷き詰めた路面は,苔が濡れていてとても滑りやすく,歩きにくい。
この辺りから先発した登山者を少しずつ追い抜く。道幅が狭いところでは,先行している登山者を簡単に追い抜くこともできずに,道幅が広がるまで,ひたすら背後霊のように後を付ける。
8時01分に観音茶屋を通過する。私の前には,同じバスに乗り合わせた登山客が何人かが喘ぎながら歩いている。普段,山登りをしていない人には,なかなか大変なのだろう。観音茶屋を過ぎて,暫くの間,登山道の道幅は少し狭くなる。私の先を歩く方々が数名居て追い越すわけにもいかない。先を行く方が道を譲ってくれるまで,私は後から背後霊のようになって歩く。
8時14分に雑事場ノ平に到着する。汗ビッショリになった男性がベンチに腰を下ろして休んでいる。私は軽く会釈をして通過する。
■駒止茶屋へ
8時16分に見晴茶屋を通過する。ここから本格的な登り坂になる。横幅は広いが,段がハッキリしない登り階段が延々と続く。階段を見上げると,数名の登山者が,ユックリ,ユックリと登っていくのが見える。
この階段を登り始めると,今日の自分の体調が何となく分かる。この最初の階段をリズム良く登れないときは,あまり体調が良くない。今日は蒸し暑いが,何となく体調は良さそうである。私は少し歩行速度を上げてみる。どうやら,今日は楽に登り続けることができそうである。
8時30分に一本松を通過する。この辺りから滑りやすい玉石を敷き詰めた登り坂になる。そこを通過すると,少々急な勾配の木道になる。この木道を過ぎると幅の広いトラバースの登り坂が続く。そして,漸く水平に近い尾根道になるが,暫く進むと,再び砕石がゴロゴロと転がる登り道になる。この登り坂の途中から,緑色の建物が見えてくる。駒止茶屋である,この茶屋を8時49分に通過する。
■途中でご常連のNさんに会う
私は何時も駒止茶屋に到着すると,ホッとした気分になる。その理由は,ここから坂道を少し登ると,景色が良くて,なだらかな尾根道になるからである。今日も富士山は雲に覆われていて見えないのが残念である。天気予報では南風が吹くといっていたが,地形の影響か,この辺りでは弱い西風が吹いている。
<何時もの所からの眺望:晴れていれば富士山が見える>
一旦,堀山を下り,また坂道を登り返して,8時59分に堀山の家を通過する。この時点で,遅くても10時15分頃には塔ノ岳山頂に着けると確信する。私の前後には誰も居ない。ここから暫くの間は,全くの一人旅になる。
短いヤセ尾根を通過すると急勾配の破砕岩の斜面になる。ゴロゴロとした石の間をジグザグと登り続けると,長い階段に差し掛かる。前方には何人かの登山者が,随分とゆっくりしたペースで登っているのが見え始める。
私も決して速い速度で登っているわけではないが,それでも前を行く人との間隔が徐々に縮まってくる。そして,戸沢分岐から100メートルほど下の地点で,年輩の紳士に追いつく。紳士は常連のNさんであった。私より30分ほど早く大倉に到着するバスで来られたという。ほんの数分一緒に歩いた後,私は,
「お先に失礼します・・」
と挨拶をして,先に行かせて貰う。
■花立山荘へ
9時17分に萱場平を通過する。この辺りで数名の登山者を追い越させて貰う。どうやら,彼らはNさんと同じバスに乗り合わせた方々のようである。
萱場平から先は,やや急な登り階段になる。この階段を過ぎると露岩帯に入る。岩を縫うように登り続けると,急に視界が開け,再び階段道になる。道幅が広く,勾配はますます急になる。相変わらず蒸し暑いけれども,前回,6月30日に登ったときに較べると,かなり良いペースで登っているようである。そして,9時37分,殆ど疲労することなしに花立山荘を通過する。
<雲の合間から山肌が見えている>
■塔ノ岳山頂に到着
花立山荘を通過すると,「ジー,ジー・・・」とセミの鳴き声が聞こえてくる。何という蝉か分からないが,季節の移り変わりを実感する。露岩の尾根道を登り続けて,9時50分に金冷しを通過する。
霧がますます濃くなり,視界は50メートルほどしかない。辺りは静寂そのもの。私の前後に誰も居ないようである。こんな雰囲気の中を登っていると,何となく気分が高揚してくるのが分かる。
10時04分,霧が立ち込めている塔ノ岳山頂(1491m)に到着する。山頂には若い男性が1人居るだけである。周辺の山々は深い霧の中である。冷気をともなった霧が足下から沸き上がっている。ひんやりとした霧が火照った身体には,とても心地よく感じる。今回も,
「やっぱり,塔ノ岳へ来て良かったな・・」
と心からの満足感に浸る。
■尊仏山荘にて
尊仏山荘に入る。
先客はカメラマンお一人である。今日の小屋番は丹沢の『エリアマップ』を執筆したOさんである。私の顔を見ると,
「いらっしゃい!」
と言いながら,私の注文を受ける前に,300円也のお茶を入れてくれる。
今回の塔ノ岳登頂は,今年になって27回目。一般の登山客に比較すれば,回数はかなり多いかもしれないが,この山荘のご常連に比較すれば,限りなくゼロに近い回数である。でも,この頃は,ようやく私の顔も,ご常連の皆様に覚えて頂けるようになったようである。
山荘の寒暖計を見ると,10時現在の山頂の気温は,+17.0℃。霧に覆われているために,この時期としては低温である。
お茶を頂きながら,コンビニで仕入れたオニギリを食べる。その間,Oさんとカメラマン氏が,頻りにカメラ談義をしている。Oさんは雑誌『山と渓谷』に時々写真を出しているプロカメラマンでもある。「××というカメラのシャッターは×千回は保証しているがそれ以上は・・」とか「カメラ修理の基本技術料は・・・」とか,お二人のカメラ談義の内容は偉く高度で専門的である。その内にデジカメからパソコンにまでお話の内容が発展する。
「私は若い頃,汎用コンピュータで生産管理,やってたことがありますよ・・・FORTRAN使ってました・・・」
とカメラマン氏が言い出す。その後,5インチフロッピーの話から,2MBのSDカードの書込速度や信頼性のことまで話題になる。コンピュータの話題になると,私もいつの間にか,雑談に加わっていることに気が付いて,内心,思わず苦笑する。
私が尊仏山荘に入ってから,25分ほど経った頃,戸沢分岐の下で追い越させて頂いたNさんが,山荘に入ってくる。すると,小屋番のOさんが,自動的に,カップラーメンとお茶をお盆に乗せて,Nさんのところへ持ってくる。Nさんは,私よりもずっと古い尊仏山荘のご常連である。
やがて,次々とご常連が山荘に入ってくる。山荘の中は男性の年寄りばかりになる。私は早々に退散しようと思う。
■霧の中,下山開始
10時35分に尊仏山荘を出発して,下山を開始する。
いつの間にか山頂で休憩を取っている人の10人余りに増えている。どうやら渋沢1番バスで来られた方々が,次々に山頂に到着しているようである。南から山頂に向かって微風が吹き上げている。結構寒い。
霧の中を大倉へ向かって下り続ける。階段を下り始めると,同じバスに乗っていた登山客と次々にすれ違う。中には私の風貌を覚えている人も居て,
「おや・・・随分と速いですね」
と声を掛けてくる。
速いと言われれば,平素登山をしていない方々に比較すれば,確かに速いかもしれないが,自分自身では決して満足していない。せめて2時間10分を切るぐらいの速度で登りたいものだと常日頃思っているが,なかなか実現しない。
11時04分に花立山荘を通過する。霧が次第に薄くなり,柔らかい日光が背中に暖かく当たっているのが感じられる。登っているときには誰も居なかったベンチに,数名の登山客が休憩を取っている。富士山は相変わらず見えないが,大山や三の塔辺りの山塊が雲の間から見えている。
<登山道に咲く綺麗な花>
登山道に綺麗な白い花が咲いている。しゃがみ込んでデジカメで花を撮る。通りすがりの女性登山者が,無理な姿勢で写真を撮っている私に,
「あら,綺麗な花ですね・・・何という花ですか・・」
ろ話しかける。残念ながら,私には花の名前は分からない。
■大倉へ到着
大倉発12時52分のバスに乗るつもりで,ユックリと下山し続ける。花立山荘付近で盛んに聞こえていた蝉の鳴き声がいつの間にか聞こえなくなっている。戸沢分岐を通過する頃まで,同じバスに乗り合わせた登山者とすれ違う。何人かの方々から「山頂まで行ったんですか?」「はやいですね・・」と話しかけられる。
でも,土日に塔ノ岳へ登ると,ドッと繰り出してくる若い登山者,2~3人に,何時も追い越されている。別に山行速度を競っているわけではないが,私より速く登る方々も沢山居るし,遅い方々も沢山居るだけのことである。
道中,草花の写真を撮ったり,風景を愛でたりしながら,バスの時間に合わせてノンビリと下る。途中,下り足の速い方々,数名に追い越される。そして,12時47分に,無事,大倉に到着する。
[ラップタイム]
※標高は高度計の計測値で±20m程度の誤差あり。
7:41 歩き出し(標高290m)
7:46 登山口(320m)
7:49 克童窯(360m)
7:54 丹沢ベース(400m)
8:01 観音茶屋(460m)
8:04 高原の家分岐(495m)
8:14 雑事場ノ平(590m)
8:16 見晴茶屋(595m)
8:30 一本松(740m)
8:43 駒止茶屋(855m)
8:52 堀山(900m)
8:59 堀山ノ家(910m)
9:15 戸沢分岐(1065m)
9:17 萱場平(1070m)
9:37 花立山荘(1258m)
9:50 金冷し(1320m)
10:04 塔ノ岳山頂着(1490m)
------------------------------------------------
10:35 〃 発
10:47 金冷し
11:04 花立山荘
11:24 萱場平
11:26 戸沢分岐
11:40 堀山ノ家
11:58 駒止茶屋
12:10 一本松
12:19 見晴茶屋
12:21 雑事場ノ平
12:27 高原の家分岐
12:30 観音茶屋
12:36 丹沢ベース
12:39 克童窯
12:42 登山口
12:47 大倉
■登攀・下降高度 1201m
■登攀所要時間 2時間23分(2.36h)
登攀速度 1201m/2.36h=504.6m/h
■下降所要時間 2時間12分(2.20h)
下降速度 1201m/2.20h=545.9m/h
(おわり)