<萱場平から花立山を見上げる>
何時までも残暑が厳しい丹沢;塔ノ岳(今年37回目)
(登り途中までK大Nさんに同行,下り単独)
2011年9月14日(水)
■登山客が戻ってきた
何時も同じようなことばかり書いているが,暦の上ではもう秋もかなり深まってきた.
昨日の内から
「雨でなければ,明日,水曜日,何が何でも塔ノ岳を往復しよう・・・」
と決めていた.
その気になれば,目覚めも自然.3時20分頃,自然と目が覚める.すぐに起床.もちろん外は真っ暗.その後,4時30分頃までは,チョコチョコした雑務をこなす.そして簡単な朝食を済ませて,5時10分に自宅から出発する.
外はまだ真っ暗.一昨日は満月だった.今日は少し欠け始めた月が,西の空に煌々と輝いている.
天気予報によると,今週一杯は残暑が続くらしい.今朝も,まだ5時10分だというのに,昨日の余熱が籠もっているのだろうか,気温は,もう26.1℃もある.
「今日は蒸し暑い中の登山になりそうだな・・・」
私は覚悟を決める.
今日は平日.それにもかかわらず渋沢発大倉行1番バスは立ち席が出るほどの混雑振りである.その中に,韋駄天のTさん,ミスター大倉尾根の韋駄天Sさん,K大Nさん,M田女史等々ベテランが顔をそろえている.
<5時10分,仏暁に輝く月>
■K大Nさんと一緒に
6時58分,1番バスが大倉に到着する.韋駄天組は,バスが到着すると,間髪を入れずにすぐに登山を開始する.トイレに行ったり,一寸ばかりウオームアップのストレッチをしている内に,大半の登山客が居なくなってしまう.
結局,最後まで残っていたのはK大Nさんと私だけ.
7時06分に,大倉から歩き出す.すぐにK大Nさんに追い付く.
特に急ぐ旅でもないので,久々にお会いしたK大Nさんと雑談しながら,ユックリ,ユックリと登り続ける.K大Nさんは関西の某大学の文系ご出身.私はその某大学の理系の院を出ている.そんな関係もあって,私はかねてよりK大Nさんには親近感を持っている.K大Nさんのお話は示唆に富んでいて,伺っていると,私の生き様にも随分と刺激を受けると同時に,とても参考になる.
「私は塔ノ岳に登山した翌日は,クールダウンするために,必ず15000歩くらい歩くようにしています・・・」
とK大Nさんがいう.
「なるほど!」
私は素晴らしい習慣に共感する.翻って我が身の有り様はどうだろう.全くのデタラメ.連日同じような山を蓮チャンしたかと思うと,ひたすら家に籠もったり・・・まあ,とにかく適当である.大いに反省.
次いで高い山の登山の話になる.今度は私が,話題を提供する.
「実は,私,北アルプスのような高い山に登るときは,お金で解決できることは,お金で解決して,なるべく荷物を軽くするようにしています・・・水は重たいです.重たい水を持ち運ぶのを,できるだけ少量で済ますために,あえて高い水を買いますよ・・・」
「なるほど! 高い水を購入しても,トータルコストは少なくなるかも知れませんね」
トータルコストとは,なかなか面白い発想である.
加齢によるハンデキャップを,軽い荷物を背負って,ユックリ登ることで埋めていく・・・つまり時間とお金で代替する・・・これ,結構ユニークだ.
<見晴山荘からの登り坂>
■なおも健康談議
K大Nさんと私は,ほぼ同じ年代である.
「・・・・これまでを振り返ってみると,50歳代後半で,深酒などが原因で何人か死んじゃいましたよ.その後,60歳代は,案外,大部分はまあまあ元気でしたね・・・でも,75歳を過ぎると,途端に色々と健康で問題を起こす人が増えますね・・・・」
このK大Nさんの感想に,私も全く同感である.この年になると,高校の同級生を見ても,かなりの方々が,すでにあの世へ旅立っているし,健康上問題なく,元気で生活している人の数は,せいぜい3分の1程度だろう.
「・・全くその通りですね.私自身も,ここ3年ほど,年に1回程度,問題を起こしていますよ.2年前は急性胃炎,去年は右足の肉離れ,今年は目眩.いずれも大したことはなかったんですが,その都度,10日から2週間ぐらい塔ノ岳詣でを中断しましたよ・・・・再開するとラップタイムが落ちる.登り続けてまだ元通りの体力にならないうちに,また何か具合が悪くなるの繰り返しで,どんどん体力が減退してますよ・・」
と最近の自分の様子をお話しする.K大Nさんが,
「・・・実は,この間,塔ノ岳で,たまたまお医者さんと会ったんです.初めての方です.雑談している内に,『普段飲んでいるお薬はありますか』って聞かれたんです・・・で,何も飲んでいないって答えました.多分,血圧のことを間接的に聞いたんだろうと思います.山に登っていると,体力が落ちたにしても,何の薬も飲まずに健康でいられるのが良いですね・・」
改めて言われてみると,正にその通りである.
私も,年に一度受診している健康診断では,引っかかる数値はない.もちろん,常時飲んでいる薬もない.なるほど,塔ノ岳に週に1度程度登っているから,健康で居られるのかも知れない.
7時32分,観音茶屋を通過する.気温25.2℃.とにかく残暑が厳しい.私は,K大Nさんの後ろに付いて,雑談をしながら,ユックリペースで登り続ける.
7時53分,見晴茶屋を通過する.気温25.3℃.相変わらず暑く,風も殆どない.
<一本松の休憩所;暑いけど朝日が心地よい>
■超韋駄天のY沢さん
8時13分,やっと一本松を通過する.気温24.5℃.
歩き出してから,もう1時間07分も経過している.私は内心で,
「これでは,いくら何でも遅すぎるな・・」
と思い始める.
一本松のすぐ上のベンチで,K大Nさんが給水のために休憩を取るという.そろそろ一人旅にしようかと,思っていた所だったので,
「それでは,スミマセンが,先に行かせて貰います・・・」
とお断りしてから,歩行速度を速める.
駒止茶屋手前の急坂の階段に差し掛かる.半分ほど登った所で,突如,ご常連のY沢さんが走り降りてくる.私には一歩一歩ユックリにしか下りられない所を,もの凄い勢いで走り降りていく.凄い!
<駒止茶屋の急坂を駆け下るY沢さん>
■富士山は雲の中
8時29分,漸く駒止茶屋を通過する.気温23.8℃.大倉を歩き出してから,1時間23分も経過している.別に遅くなっても構わないが,それにしても遅すぎる.私は心持ち歩行速度を速める.
堀山の尾根に差し掛かる.残念ながら富士山は雲の中.
8時47分,堀山の家を通過する.辺りに人の気配はない.気温は23.8℃.幾分涼しくなっている.
前方には暗い雲が立ちこめている.
歩き出しからユックリ歩いていたので,今のところ全く疲労感はない.堀山からのなだらかな下り坂は,かなり歩行速度を上げる.そして,8時47分,堀山の家を通過する.辺りには人の気配はなく,静まりかえっている.何時もなら大きな杉木立の間から見える富士山も雲の中である.
私は,ここから始まる長い急坂を,そのまま一気に登り始める.
<堀山;富士山の周りに雲が巻き付いている>
■萱場平
私は駒止茶屋から花立山荘まで続く急坂が大好きである.その理由は,大倉尾根の中で,ここがもっとも登山をしているという気分になるからだ.
途中,何人かの登山客を追い越すが,逆に何人もの登山客に追い抜かれる.
今日はどういう訳か,鳥の声も全く聞こえてこない.
気温はいくらか下がってはいるものの,まだまだ暑い.
8時51分,下山してくるご常連とすれ違う.例のヒル談義の方である.
「・・・いやあ~・・今日は暑くてどうしようもないですよ・・・ユックリ登るに限りますよ・・」
と私に話しかける.1~2分立ち話をする.
9時09分,ようやく萱場平を通過する.気温23.0℃.
先ほど私を追い抜いていった男性がベンチで休憩を取っている.
<毎回雑談をする韋駄天のKさん>
<萱場平>
■花立山荘
萱場平からの登り坂を何時ものようにユックリと登り続ける.どうやら雲の中に入ったらしく,辺りに霧が掛かり始める.
あと7分坂の途中で,下山してくるN村さんとすれ違う.相変わらずの俊足振りが羨ましい.
9時36分,ようやく花立山荘に到着する.今年4月頃の私だったら,そろそろ尊仏山荘に入る時間である.暑さもあるかも知れないが,たった半年の間に,所要時間が20~30分も余計に掛かるようになってしまったのは,いかにも情けない.
9時47分,花立山で下山してくる韋駄天のTさんとすれ違う.今月下旬に開催される絵の展覧会のことで立ち話,展覧会の案内をお送りすることにする.
そういえば,もうとっくにすれ違って良いはずの韋駄天のSさんの姿が見えない.どこかですれ違ったんだろうか.
<韋駄天組群像,NさんとTさん;同じバスに乗っていたのに,こんなに差が付く>
■雲間の鍋割山稜
馬の背のヤセ尾根から,雲間の鍋割山稜が見える.雲のかかり方が実に美しいので,何回か立ち止まって写真を撮る.
いくら残暑が厳しいといっても,ここまで来るとさすがに涼しくなる.
<雲間の鍋割り山稜>
■塔ノ岳山頂
9時56分,やっと金冷シを通過する.気温23.3℃.
辺り一面に霧が立ちこめている,無風.相変わらず蒸し暑い.幸いなことに疲労感は全くない.辺りの風景を味わいながら,気分良く登り続ける.そして,10時13分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.気温23.4℃.
大倉からの所要時間は,実に3時間07分.今年の最低記録を更新する.
山頂は雲の上.上空は晴れている.
山頂から周囲を見渡すと,夏雲がモクモクと沸き上がっている.雲間から富士山の山頂付近が見え隠れしている.
この雲の情景を見る限り,季節はまだまだ夏である.
山頂には数名の登山客が休憩している.山頂を歩き回って,周囲の風景を何枚かデジカメに治めてから,尊仏山荘に向かう.
<塔ノ岳山頂からの眺望;夏雲の間からほんの一寸富士山が顔を出す>
■尊仏山荘
今日の尊仏山荘の小屋番はオーナーのHさん.私は猫のミー君と会うのを諦める.先客は,私と同じ1番バスに乗っていたご常連ばかり.
何時ものように,300円也のお茶を所望する.
お茶を飲みながら,早めの昼食を摂る.
暫くすると,U村さんと韋駄天のSさんが,尊仏山荘に到着する.
「あれ,Sさん.何処へ行っていたんですか.途中ですれ違わなかったのでどうしたんかと思っていましたよ・・・・」
お話を伺うと,U村さんとSさんは,書策新道を登ってきたとのこと.かなり前に私も仲間と一緒に歩いたことがあるが,少々危険なので,二度と歩きたくない所だ.
10時35分頃,一本松までご一緒したK大Nさんが尊仏山荘に到着する.
■チャンピョンと丹沢ウッズさん
10時41分,ユックリ下山したい私は,皆さんより先に尊仏山荘を出発する.大倉発13時22分のバスに乗るつもりである.
山頂には何時の間にか沢山の登山客が屯している.
山頂の片隅で2番バスで来られたローギヤー氏が腰を下ろして休憩を取っている.
「おさきに・・ユックリ下山しています・・」
と挨拶して下山開始.
ユックリ登ったので疲労感は全くない.調子よく下り続ける.途中で,また,雲間の山の写真などを撮っていると,たちまちの内にまたノンビリペースになる.
金冷シ手前の長い下り坂を下りていると,後ろから「チン,チン,・・」と鈴の音が聞こえてくる.丹沢ウッズさんである.平日に丹沢ウッズさんに会うのは珍しい.
「お久しぶりですね,・・・今日はもう一度登ってこられるんですか・・」
「今日は蛭ヶ岳まで行ってきました・・・今日はこれでヤメです.年なので・・・」
それにしても凄い.私がウンウン言いながら塔ノ岳にやっと登っている間に蛭ヶ岳まで往復するとは・・・でも,お若いウッズさんから,「もう年なので・・」と伺うと何だか妙な感じがしてくる.
ウッズさんと話しながら下山していると,重い荷物を背負ったチャンピョンとすれ違う.
10時54分,金冷シを通過する.私と別れたウッズさんが走り出す.たちまちの内に後ろ姿が見えなくなる.
<チャンピョンと丹沢ウッズさんに出会う;こうした出合が嬉しい>
■安全に下山
頭の中で,“安全第一,絶対に転倒しないぞ”を繰り返しながら,一歩一歩慎重に下山し続ける.
もうすぐ堀山の家に到着する頃,私の後から下山してきたU村さん,T田女史,韋駄天のSさん等に追い抜かれる.
その後は,大倉発13時22分のバスの時間に間に合うように歩行速度を調整ながら,下山し続ける.
13時03分,予定通りの時間にバス停大倉に到着する.
大倉には,U村さん達一行も居られる.タッチの差で12時52分のバスに間に合わなかったとのこと.
暫くするとローギャー氏もご到着.
図らずも,13時22分のバスに,何人かの常連が乗り合わせることになる.
「・・今日は2番バスでしたか?」
とローギャー氏が私に質問する.
「いえ,いえ,私,1番バスですよ.尊仏山荘で30分ばかりお茶飲んでいましたが・・・この頃,登るのに3時間も掛かっちゃうんです・・・」
と愚痴る.
「私も同じですよ・・・自分ではそんなに遅いつもりはないんですが,結局,今の時間になっちゃうんです」
13時34分にバスは渋沢駅に到着する.13時36分発小田原行の電車に飛び乗る.小田原での接続も良く,15時少し過ぎに,無事帰宅.
今日は孫どもの来訪もなく,静かな午後を過ごす.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩きだし
7:32 観音茶屋
7:53 見晴山荘
8:13 一本松(ここまでK大Nさんに同行)
8:47 堀山の家
9:36 花立山荘
9:56 金冷シ
10:13 塔ノ岳山頂着(23.4℃)
=====================================
10:41 塔ノ岳山頂発
10:54 金冷シ
11:05 花立山荘
11:39 堀山の家
11:56 駒止茶屋
12:24 見晴茶屋
12:39 観音茶屋
13:03 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:05
塔ノ岳山頂着 10:13
(所要時間) 3時間07分(3.12h)
水平歩行速度 7.0km/3.12h=2.24km/h
平均登攀速度 1269m/3.12h=406.7m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:41
大倉 着 13:03
(所要時間) 2時間22分(2.37h)
水平歩行速度 7.0km/2.37h=2.95km/h
平均下降速度 1269m/2.37h=535.4m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b654324be85828b818715e57fbc9944c
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5b5365a6c4418333ac803cdad38e75cb
**********************
[編集後記]
2011年9月15日(木) 晴,厳しい残暑
今朝も夏雲が広がっている.天気予報に寄れば,まだ,数日は残暑が続くようである.
昨日(9月14日),6日ぶりに塔ノ岳を往復したので,今日は朝から快調である.
このブログ記事を書いている合間に,つい先日始めたばかりのフェースシートを眺める.私の場合は,今の段階では友達の数をほんの10人程度に絞っているが,それでも皆さんが活発に情報交換をしているのが楽しい.
先週土曜日に,良い年を顧みずにやってしまった私の報告にも応分の反応が出ていて,やっぱり億劫がらずに報告をして良かったなと思うようになった.
さて,今日一日は大変多忙である.
まず,明日から2泊3日で,生間達と出掛ける中山道の旅の準備である.大分前に作った資料の一部を訂正しなければならない.その訂正部分をプリントアウトするのが結構大変そうである.
さらには,いよいよ来週に迫った某展覧会に出品する水彩画の仕上げを急がなければならない.
でも,まあ,すべてが身から出た錆.
今度,塔ノ岳に登るのは来週の火曜日から木曜日の間の天気がよい日になるだろう.
そのときはY中さんから教えて頂いた「ファイトマンゼリー」でも飲んで,少しは元気に登ることにしようかな.
(愚痴おわり)
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