中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(2);メムルブー小屋を目指して

2013年09月06日 04時32分52秒 | ノルウェー;カルホビッケン登頂

                     <残雪の山脈を眺めながら>

ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(2);メムルブー小屋を目指して
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)~8月30日(金)

第3日目;2013年8月20日(月) トレッキング第1日目 晴

<ルート地図> 

■全体図
(イェンデスハイム→メムルブー)


■拡大図(2)



<プロフィールマップ>


<岩稜の尾根道を行く>

■ベス湖の畔
 14時14分,鞍部近くで休憩を取った後,ふたたび歩き出す.大きな石がゴロゴロと転がっているベス湖の畔を廻り込むように進む.登山道などないと言っても良いほど自然のままである.従って極めて歩きにくい.
 ゴロゴロ石を伝って数分歩いたところから写真左手に見えている斜面を登り始める.

<ベス湖の畔を通過する>

■うぇ~…また岩登りだ
 ベス湖を離れると,また岩登りになる.結構長い登り返しである.
 ルートが余りはっきりしていないので,先頭を行く現地ガイドの赤いジャンバーを目印にして,後を追う.
 “これはもう,ハイキング所ではない.完全に登山だな”
と思いながら,私も後を付ける.
 岩場の急坂を登り切ると,今度は岩稜の短い下り坂になる.そして,下り坂を過ぎると,再び緩やかな登り坂に変わる.

<登り返しの岩場>

荒涼とした風景
 14時43分頃,長い登り坂を登り切る.後ろを振り返ると,イェンデ湖が大分低い位置に見えている.
 私は風景写真を撮っている内に,列の一番後ろになってしまう.一番後ろは気兼ねなく写真が撮れるので,とても都合がよい.
 ここから,暫くの間,緩やかに登り下りする稜線歩きが続く.

<少々単調な稜線歩きが続く>

■断崖の上のガレ道
 15時19分,歩き始めから水平距離で9キロメートルほどの地点を歩いている.進行方向左手の崖下にイェンデ湖が見えている.断崖のトラバース道である,一寸高度感がある.
 ここで足を踏み外したら,イェンデ湖まで真っ逆さま.まずは助からないだろうなと思いながら慎重に通過する.

<断崖のトラバース道を行く>

小さな湖の畔を通り抜ける
 15時28分,トラバース道を抜けると,小さな湖が見え出す.この湖を地図で確かめると,Bjorobeltjonne(スペルが間違っているかもしれない)と書いてある.何て読むのか分からないが,この湖の標高は1,475メートルである.
 左下に見えているイェンデ湖の標高は994メートル.したがって,両方の湖の間には約400メートルの標高差があることになる.…ということは,後で少なくとも400メートル下らなければならないと目的地のメムルブーには到着しないことになる.
 下の写真でも分かるとおり,湖を廻り込むように痩せた岩稜尾根が続く.

<標高差のある二つの湖の間を抜ける>

■格好いいピラミッド状の山が見える
 小さな湖の畔をから離れると,やや急な下り坂になる.相変わらず石や礫だらけの歩きにくい道が連続する.
 続いて,小さな登り下りが連続する岩稜を通過する.
 15時40分,振り返るとイェンデ湖の対岸に,姿形の良いピラミッド状の山が見えている.なかなかの絶景である.
 地図で確かめると,Veslloyfttinden(標高約1,540メートル)という名前の山である.足許が余り良くないので,注意をしながら絶景を写真に納める.

<姿形の良い山を望む>

緩やかな登り坂が見えている
 15時53分頃,10キロメートル地点と思われる場所を通過する.
 前方には,小さな湖と雪渓が見えている.これらの湖と雪渓を廻り込むように登山道が続いているのが良く見える.
 「あそこの道の先に見えている尾根辺りから,イェンデ湖に下るのかな…」
と私の後ろに居る誰かが言っている.
 「いや,未だでしょう,多分もっと先ですよ…」
と誰かが反論している.
 私としては,近いに越したことはないが,地図を見ていると,どうやらもっと先へ行かないと降りられないような気がしている.
 “う~ん…それにしても長い登り坂だな.”

<小さな湖と雪渓が見える>

■いよいよ急な下り坂だ
 登り坂を登り切ると,今度は緩やかな下り坂になる.まあまあ歩き易い道が続く.やがて11キロメートル地点を通過する.
 暫くの間,少し痩せた尾根沿いの下り坂がつづく.
 16時10分,稜線の広いところで休憩を取る.気温8℃.結構寒い.私は,現地ガイドのオラさんに,地図を見て貰いながら,現在地を確かめる.
 16時20分,休憩を終えて,再び歩き出す.今までと同じように単調な稜線下りが続く.
 16時32分,緩やかな稜線下りの末端に到着する.ここからはイェンデ湖に向けての急な下り坂になる.
 末端の見晴の酔うところで立ち止まる.
 前方には,これから下るイェンデ湖や,その向こうに広がる山脈が見えている.
 オラさんが,左前方に見えている鋭い尾根を指さしながら,
 「明日は,あの山に登るんだよ…」
という.
 実は,当初の計画では,明日のコースはムル川を遡ることになっていたが,オラさんが,
 「尾根筋のコースの方が,もっと良いよ…」
という意見である.そこで,明日は,予定を変更して,稜線コースを歩くことになった(当初予定のコースは予稿参照).

<なだらかな稜線歩きの先端で景色を愛でる>

見るからに凄い明日のコース
 オラさんの指し示す方を見ると,明日,最初に取り付く山は,下の写真に示すように,もの凄い急な登り坂のあと,尾根伝いの登り下りが連続するコースである.見るからに凄いところである.
 「う~ぇ…,あんな急坂,登れるかな」
と何人かがため息をつく.でも,だれも,こんなコースはイヤだとは言わない.
 私も,この山を見て,今から緊張する.
 “今回はトレッキングではないな…完全に登山だ”
 今日の終点,メムルブーは,この写真の左下に隠れている.地図を見ると,ここから先,左に廻り込むようにして,急な断崖を降りるらしい.これは大変だ.

<明日登る山が目の前に見えている>

<イェンデ湖畔へ下る>

■急坂が始まる
 16時35分,いよいよ下り坂に向けて歩き出す.
 でも,下り始めは,思ったほどの急な下りではない.前方の山脈を眺めながら,良い気分で下り続ける.女性群のどなたかが,
 「そんなに大した下りではないね…」
と楽観的なことを言っている.私は,
 “この方,地形図を見てないんじゃないの”
と思うが,そんなことを言うと角が立つので,ジッと黙っている.



<急坂の筈だが…>

■眼下にメムルブーが見える
 相変わらず,思ったよりなだらかな下り坂が続く.
 17時25分,眼下にメムルブー小屋が見える.
 「あら,もうそこが山小屋なのね.もう大したことないね…」
と同行のTBさんが大きな声で言う.
 それを聞いたツアーリーダーが,
 「いえ,いえ,これからが大変ですよ…」
と言う.
 私も,直ぐそこに小屋が見えているのに,まだ大変なのかといぶかしく思う.


<山小屋が見える>

予期しないクサリ場
 ところが,湖面までもうすぐと思っていったが,そうは問屋が卸さない.
 間もなく,クサリ場が現れる.私は岩稜下りなど暫くやっていないので,ドギマギする.ツアーリーダーが一人ひとりの様子を見ながら適切なアドバイスをする.私もアドバイスを受けながら,
 “やっぱりチャンと資格を持ったガイドは頼りがいがあるな…”
と感心する.
 こんなクサリ場が,しつこく4回も現れる.
 いくら高所がイヤだと言っている私でも,これまでにも何回となくクサリ場を経験しているが,このところは,サボっているわけではないが,クサリ場のない山にしか登っていない,久々のクサリ場で結構緊張する.
 緊張すると,どうしても身体を岩から離して真っ直ぐ立てなくなる.理屈では分かっていても,なかなか上手くいかないので情けなくなる.
 そんな中,クサリなど一切使わずに上手に降りていく男性が居るのにビックリする.
 それにしても,クサリ場を怖がる人がほとんど居ないのにも驚く.

<クサリ場> ※ツアーリーダーから頂いた写真の一部をトリミングして引用

メムルブー小屋に到着
 直ぐそこに見えているのに中々辿り着けないもどかしさを感じながら,17時44分,漸くメムルブー小屋に到着する.
 “やれ,やれ,…やっと着いたな.とんでもないトレッキングだったな.”
というのが私の率直な感想である.
 実際の所,トレッキングというよりは,完全な登山,縦走だったと思う.ただ,体力的には,大倉尾根経由の塔ノ岳往復とほぼ同等,あるいは,今回の方が少し楽だったかも知れない.でも,スリル感は大倉尾根とは比較にならないほど強烈だった.
 平素,大倉尾根を歩いていて,階段が多すぎると愚痴を言っているが,逆に階段ほど歩き易いところはないとも言える.今日一日歩いてみて,階段の有り難さが分かったような気がする.





<メムルブー小屋に到着>
                                   (つづく)

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