小山敬三傑作集「浅間山・風」:浅間山登頂記(10)
(小諸グループ)
2006年10月7日(土)~8日(日)
※http://ameblo.jp/flower-hillをご覧ください。
■「浅間山・風」
さて,次に紹介するのは,小山敬三画伯が1966年に制作した「浅間山・風」である。縦の構図である。
<小山敬三画伯『浅間山・風』(絵はがきより)>
これが,また,また,凄い。
画面からはみ出すような勢いで浅間山が描かれている。
この絵での中の浅間山は極端にデフォルメされた形をしている。だから,写真的には,この絵に描かれている山は絶対に浅間山ではない。でも,でも,である。心象的には本物の浅間山より,よりリアルな浅間山である。牙山(ギッパヤマ)から剣が峰に至る稜線が印象的である。特に牙山は極端にデフォルメされているが,地元出身の私には,それが牙山だとすぐ分かる。むしろ,このデフォルメされた牙山の方が,この山の特異な姿を内面から正確に描いているように見える。
多分,南東の方向から強い風が浅間山に向かって吹き付けているのだろう。山麓からは砂塵混じりの雲がわき出ている。そして,怪しげな雲が強風に流されて,ちぎれながら天空へと舞い上がっている。浅間山の火口から,もくもくと吹き上がる噴煙は,群馬県側に流されている。 山肌には,まだ雪が深く残っている。山麓も,まだ冬景色である。でも,里には緑が見えている。
「う~ん,,,,良いな~ぁ・・・・」
私はこの絵の前で,釘付けになってしまう。
何という躍動感!
圧倒される色彩!
この絵を見ると,何かを,「ガ~ン」と,ぶつけられたような強い衝撃を受ける。何という素晴らしさだろう。私は時間さえ許されれば,もうしばらくは,この絵を見続けていたかった。
叶わぬこととは知りながら,この絵のような素晴らしい絵が描けたら,どんない幸せだろうと心底から羨ましくなる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この他にも引きつけられる絵が沢山ある・・・・が,このブログのテーマが「山旅」である。何時までも本題から逸れっぱなしでも困るので,絵の紹介はこの程度にしよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が夢中になって絵を見ていると,突然,数名の見学者が,ドヤ,ドヤと館内に入ってくる。途端に館内が騒がしくなる。彼らは,ろくに絵を見るわけでもなく,お喋りで夢中である。私は居たたまれなくなって,美術館から外へ出る。
玄関で,スリッパを脱いで,登山靴を履き直す。これが,なかなか面倒である。 外へ出た私は,往路を引き返して,再び酔月橋を渡る。
橋のたもとに,老女が立っている。私が橋を渡り終えると,
「寅さん記念館は,ここから遠いんですか・・・」
と尋ねられる。懐古園の広い園内を歩いて草臥れ果てたという。私は,
「いえ,すぐそこですよ・・・」
と言って励ます。
私は藤村詩碑の方へ向かった。
(つづく)
(小諸グループ)
2006年10月7日(土)~8日(日)
※http://ameblo.jp/flower-hillをご覧ください。
■「浅間山・風」
さて,次に紹介するのは,小山敬三画伯が1966年に制作した「浅間山・風」である。縦の構図である。
<小山敬三画伯『浅間山・風』(絵はがきより)>
これが,また,また,凄い。
画面からはみ出すような勢いで浅間山が描かれている。
この絵での中の浅間山は極端にデフォルメされた形をしている。だから,写真的には,この絵に描かれている山は絶対に浅間山ではない。でも,でも,である。心象的には本物の浅間山より,よりリアルな浅間山である。牙山(ギッパヤマ)から剣が峰に至る稜線が印象的である。特に牙山は極端にデフォルメされているが,地元出身の私には,それが牙山だとすぐ分かる。むしろ,このデフォルメされた牙山の方が,この山の特異な姿を内面から正確に描いているように見える。
多分,南東の方向から強い風が浅間山に向かって吹き付けているのだろう。山麓からは砂塵混じりの雲がわき出ている。そして,怪しげな雲が強風に流されて,ちぎれながら天空へと舞い上がっている。浅間山の火口から,もくもくと吹き上がる噴煙は,群馬県側に流されている。 山肌には,まだ雪が深く残っている。山麓も,まだ冬景色である。でも,里には緑が見えている。
「う~ん,,,,良いな~ぁ・・・・」
私はこの絵の前で,釘付けになってしまう。
何という躍動感!
圧倒される色彩!
この絵を見ると,何かを,「ガ~ン」と,ぶつけられたような強い衝撃を受ける。何という素晴らしさだろう。私は時間さえ許されれば,もうしばらくは,この絵を見続けていたかった。
叶わぬこととは知りながら,この絵のような素晴らしい絵が描けたら,どんない幸せだろうと心底から羨ましくなる。
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この他にも引きつけられる絵が沢山ある・・・・が,このブログのテーマが「山旅」である。何時までも本題から逸れっぱなしでも困るので,絵の紹介はこの程度にしよう。
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私が夢中になって絵を見ていると,突然,数名の見学者が,ドヤ,ドヤと館内に入ってくる。途端に館内が騒がしくなる。彼らは,ろくに絵を見るわけでもなく,お喋りで夢中である。私は居たたまれなくなって,美術館から外へ出る。
玄関で,スリッパを脱いで,登山靴を履き直す。これが,なかなか面倒である。 外へ出た私は,往路を引き返して,再び酔月橋を渡る。
橋のたもとに,老女が立っている。私が橋を渡り終えると,
「寅さん記念館は,ここから遠いんですか・・・」
と尋ねられる。懐古園の広い園内を歩いて草臥れ果てたという。私は,
「いえ,すぐそこですよ・・・」
と言って励ます。
私は藤村詩碑の方へ向かった。
(つづく)