<堀山の尾根から見た富士山>
富士山とミー君が眩しい丹沢:塔ノ岳(今年12回目)(2)
(単独山行)
2009年3月5日(木) (つづき)
<尊仏山荘>
■ミー君と一緒に山荘に入る
残雪の中を,花立場から4本爪の軽アイゼンを装着して登り続けて,10時02分に塔ノ岳山頂に到着した.山頂は昨夜まで降っていた雪で一面の銀世界である.山頂からの風景を一通りデジカメに収めてから,尊仏山荘に向かう.
丁度そのとき,私より少し前に山荘に到着していた「ネコのSさん」が,隣小屋にいる営業部長のミーくんを呼び出すために,山荘から外へ出てくる.私もSさんの後をつけて,隣小屋の入り口まで行ってみる.
「・・・・お~い・・ミーや.・・・出ておいで・・・」
とSさんがミー君に優しく声をかける.
ミー君が尻尾を立てて,Sさんに擦り寄る.
小屋の前で,Sさんとミー君の写真を撮った後,ミー君,私,Sさんの順に並んで,山荘に向かう.入口の前で,ミー君が立ち止まり,私の顔を見上げながら,
「・・・にゃあ~・・」
と大きな声でなく.ネコ語で
「早く戸を開けてくれよ」
と言っているに違いない.
■ネコ談義
今日の小屋番は,オーナーのHさんである.先客は男性1人と,登山中,私と前後して歩いていた女性の2人である.300円也のお茶を所望する.そして,これも儀式として,山頂の気温を観測する.今日の10時現在の気温は+0.5℃.この時期にしては,随分と暖かい.
ミー君は,Sさんにベッタリである.エサを貰ってから,耳掃除をして貰う.そして,近くのバケツに首を突っ込んで水をピシャピシャと飲む.こんなミー君の仕草を見ていると,何となく心が和んでくるから不思議である.
Hさんが雑談を始める.
「昨日,雪の中を,こいつが外をウロウロしていたんです.丁度そのとき,小屋の屋根に降り積もっていた雪が,バサ~ッと落ちてきたんです・・・」
「エッ・・・ネコが下敷きになったんですか・・・」
「いえ,大丈夫でしたよ・・」
「雪の中,出歩くなんて,いよいよシーズンかな・・」
「こいつ,夜になると,変な声で鳴き出しますよ・・」
「でも,こいつはもう年でしょう・・」
「鳴いたって・・・この辺りにはお相手が居ないでしょう」
と他愛のない会話が続く.
<ミー君と,ミー君のお父さんのようなSさん:尊仏山荘の小屋の前で>
■チャンピョン登場
丁度そのとき,チャンピョンが大きな荷物を持って山荘に到着する.Sさんが,すかさず,
「そ~ら・・・ネコ好きがもう一人到着した・・」
と茶化す.
チャンピョンがミー君を呼ぶ.ミー君は,素直にスタスタとチャンピョンの側に行く.そして食べ物を貰ってご機嫌である.
Sさんが,チャンピョンを茶化す.
「・・今日は,真っ直ぐ,家に帰りなよ・・」
「いや~ぁ・・・今日は飲み会があるんだよ・・」
■コフップ山荘のMさん
そうこうしている内に,昨年,ペルーでお世話になったコフップ山荘オーナーのMさんが,山荘に入ってくる.早速,尊仏山荘オーナーのHさんに紹介する.Mさんは,蛭ヶ岳までピストンするという.さすがに山のベテランらしく,長距離縦走をされる.
私は,昨年訪問したペルーの印象がとても良かったので,また機会があればペルーを訪問したいなと思っている.そして,もし次回ペルーに行くとすれば,トドさん達が経験したトレッキングと,インカ道を辿ってマチュピチュまで歩くコースに絞って,2~3週間の旅にしたいなと思っている.
そこで,Mさんに,
「・・前回のトレッキングとインカ道を辿ってマチュピチュへ行くルートを組み合わせた計画は,どんなものでしょう・・」
と話しかける.
「・・・この頃,インカ道に入る人が,とても増えて,大分荒れてしまいましたよ・・」
と,何となく意欲がそがれてしまう方向に話題が進んでしまう.
私も,それ以上,インカ道の話を続ける気がなくなり,この話はこれで終わりになった.
<塔ノ岳山頂からの富士山>
■Kさんが現れない
雑談をしている内に,10時30分を過ぎた.
駒止茶屋手前で追い抜いたKさんも,もう,そろそろ山荘に到着しても良い頃である.
「・・一体,どうしたんでしょう・・途中から下山しちゃったんでしょうかね・・」
と,Sさんに話す.Sさんが,
「ここのコースタイムは3時間30分でしょう.今頃,ようやく1番バスの皆さんが到着し始める時間ですよ.ご自分の時間で考えたらダメですよ・・Kさんとバスで一緒でしたよ.今日はflower-hillさんに会えるかもしれないって言ってましたよ・・」
と茶々を入れる.まあ,言われて見れば,その通りとも言える.
<塔ノ岳山頂から丹沢の山々を望む>
<そろそろ下山>
■Kさんが到着する
私は,大倉発12時52分のバスに乗りたいなと思っていたが,久々にペルーのMさんにお会いしたこともあって,尊仏山荘に少々長居をしている.でも,そろそろ帰ろうと思い始める.
10時45分頃,尊仏山荘を出る.Mさんも,ほぼ私と一緒に山荘を出て,蛭ヶ岳方面へ向かう.
山荘の外へ出て,数歩歩き出した所で,丁度山頂に到着した山旅スクール10期のKさんと会う.
「・・今日は3時間××分掛かっちゃいました・・」
登山の間隔を,4ヶ月間も空けてしまえば,時間が掛かるのも,やむを得ないことだと思う.とにかく,Kさんが塔ノ岳に復帰された.嬉しいことである.
Kさんと暫く雑談をしている内に,もう12時52分のバスは間に合わないなと諦める.
■雲行きが怪しくなる
山頂か萱場平までは,軽アイゼンを使って下山する.
新雪が深い山頂付近は,あの煩わしい階段も雪の中に埋もれている.階段に関係なく下山できるので,雪の無いときよりかえって速く歩くことができる.
今日は登山者が多い.次々に登ってくる方々とすれ違う.途中で,同じバスに乗っていた顔覚えのある方も何人かいる.
下山している内に,次第に雲行きが怪しくなる.さきほど山頂から下を眺めたときに,山腹に黒い雲が棚引いていた.あの雲の中を,今,歩いているんだなと思う.
11時33分に萱場平を通過する.登りで通過したときには,沢山の残雪があったが,たった2時間ぐらいしか経っていないのに,随分と融けてしまった.堀山ノ家までの階段道の雪も大分融けている.階段の丸太が滑りやすくなっている.
■途中から大急ぎ
11時50分に堀山ノ家を通過する.
「あれ・・これならば12時52分のバスに間に合いそうだな・・・」
私は歩く速度を少し速める.堀山の尾根は,融雪でドロドロになっている.駒止茶屋に近付くに連れて,ひどい泥んこ道になる.まるで田圃の中を歩いているようである.
12時14分に一本松を通過する.途中,数名の登山者を追い抜いて下り続ける.見晴茶屋手前の急な階段道は,さすがに慎重に下山するが,前方を歩いている女性に追いつく.往路で同じバスに乗っていた山旅スクール6期のNさんである.
「あれ,flower-hillさん・・・私,山頂でオニギリ食べてから,そのまま下山してきました.山頂まで2時間50分掛かっちゃいました・・・」
という.
暫くの間,Nさんと雑談しながら歩く.12時33分,高原の家分岐を通過する.このままだと12時52分のバスに間に合わなくなるので,Nさんにお先に失礼して,大急ぎで下山し続けて,12時48分,大倉に到着する.やれやれ間に合った.
泥だらけの靴を水道で洗う.そして身支度を整えて,バス停でバスの到着を待つ.すると,間もなく,Nさんも到着する.
「間に合いそうだったので,途中から走りました・・・(次のバスまで)30分も待つのはイヤなので・・」
[ラップタイム]
7:34 大倉歩き出し
7:54 観音茶屋
8:09 見晴茶屋
8:36 駒止茶屋
8:53 堀山ノ家
9:29 花立山荘
9:48 金冷シ
10:02 塔ノ岳山頂 着
===================================
10:49 塔ノ岳山頂 発(+0.5℃)
10:01 金冷シ
11:15 花立山荘
11:50 堀山ノ家
12:05 駒止茶屋
12:24 見晴茶屋
12:35 観音茶屋
12:48 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉発 7:34
塔ノ岳山頂着 10:02
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
登攀速度 1201m/2.47h=486.2m/h
水平速度 7.0km/2.47h=2.83km/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:45
大倉着 12:48
(所要時間) 2時間03分(2.05h)
下降速度 1201m/2.05h=585.9m/h
水平速度 7.0km/2.05h=3.41km/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/44db86fbec111620d0cf195011b78c75
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c468e432ecc85283f2844fe8871019f2
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