今年25回目,炎暑の中の
丹沢:塔ノ岳(単独山行)
2007年6月27日(水)
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■当たらない天気予報
昨日(6月27日),登山学校で同期の方と一緒に塔ノ岳へ登るつもりであった。天気予報では,26日に降り続いた雨が明け方までに雨が上がり,6時頃から次第に晴れてくる筈であった。例により,早朝,家を出て,大船駅前のマクドナルドでコーヒーを飲みながら,天気の様子を眺めていた。しかし,どんよりと垂れ込めた雨雲は一向に動きそうもない。しかも,無情にも霧雨が降っている。これはもう,思い切って登山を中止するしかない。
その翌日(6月27日)は「一日中晴で洗濯物が良く乾く」というご託宣である。そこで,欲求不満を解消するために,急遽,塔ノ岳へ登ることにした。ちなみに,今日の塔ノ岳登山は,今年になって丁度25回目になる。この調子で塔ノ岳に登り続けると,年間50回位になるだろう。
■バス停大倉へ
何時もの通り,東海道本線,小田急線渋沢を経由して,7時28分に大倉に到着する。今日は,朝から蒸し暑そうである。そこで,今日は,いつもの約2倍,2.5リットルほどの水を準備する。それに,7月下旬から,登山学校主催の唐松岳,鹿島槍館の縦走に参加する予定である。その準備を兼ねて,フル装備の登山用品をリュックに入れたので,かなり重くなっている。正確に計測していないが,多分,10キログラム程度の重さであろう。
今日の天気予報が定まらなかったためか,バスに同乗した登山客は10名足らずである。上空には,まだ,どんよりと雲が立ち込めている。まあ,この梅雨時には仕方がないことだし,適当に雨が降らなければ困る。ただ,もう少し天気予報の精度を上げて欲しいなとつくづく思う。
■とにかく蒸し暑い
大倉でバスを降りた途端に,蒸し暑い空気がねっとりと身体にへばり付く。用心のために,シッカリとストレッチをしてから,7時38分に歩き出す。登山口から杉林に囲まれた登山道に入ると,深い緑のためか幾分ヒンヤリとした感じはするが,それでも随分とジメジメした感じが残る。
7時46分に克童窯,7時58分に観音茶屋を通過する。この辺りで,同じバスに乗っていた登山者の大半を追い抜く。そして,8時11分に雑事場ノ平に到着する。ベンチに初老の登山者が1人座っている。私が通り過ぎようとすると,
「暑いですね・・・」
と私に話しかける。彼は,ここまで登って疲れてしまったので,このまま登るか,それとも下るか,迷っているという。
8時12分に見晴茶屋を通過して,最初の急坂に差し掛かる。暑くて湿気が多いときに急坂を登るのはとても辛い。「高年齢だから,絶対に無理をするのは止めよう・・」と自分で自分に言い聞かせながら,慎重に登り続ける。
<堀山付近の稜線からの眺望:晴れていれば富士山が見える>
■四苦八苦の登り坂
いつもよりも,ゆっくりとしたテンポで登り続けて,駒止茶屋を8時41分に通過する。それでも,当初の予想よりも,大分歩くテンポが鈍くなっている。駒止茶屋から堀山ノ家までの区間は,長閑な稜線歩きが続く。とても素晴らしいところである。あいにく曇り空なので,稜線からの眺望はあまりないが,時々,稜線越えに涼しい微風が吹き抜ける。すると,体中にまとわりついているモヤモヤ,ベトベトが,「ふっ」と取り除かれるような清涼感が満喫できる。これで,暑さでいらいらした気分が少しばかりなごむ。辺りからはホトトギスと,セミの声が絶え間なく聞こえてくる。
<路傍には綺麗な花が咲いている>
11時44分に堀山ノ家を通過する。大分,歩きが遅いなと実感する。花立山荘手前の階段では,登攀速度が450メートル/時程度まで落ちている。これはもう,暑さもあるだろうが,やっぱり年齢的にダメになりはじめたのかと思えてくる。それでも,平常心で余力を持って歩くように心掛ける。すると,私の脇を若い女性が「ス~ッ・・・」と追い抜いていく。細身の方である水だけを背負って,運動靴を履いている。実に軽やかに,私を追い抜いていく。若い方だとはいえ,凄い人がいるなと感心する。
■ご常連とすれ違う
9時42分に花立山荘を通過する。何時も誰かが休んでいる山荘前のベンチに,今日は誰も居ない。そのまま花立山荘を通過するが,このままでは,とても10時前には,山頂に到着できないのは確実である。でも,ここまで登れば,山頂までの登りはそれ程大変ではない。気分は大分楽になってくる。
露岩帯を登り詰めると,平らな木道になる。冬になると,ここから富士山や南アルプスが大パノラマになって望めるところである。だが,今日は濃い霧に覆われていて,近場の山さえ見えない。木道を歩いていると,一瞬,霧が少し薄くなって,塔ノ岳山頂付近が見える。山頂を眺めると,何だかホッとした気分になる。
<霧が薄れて塔ノ岳山頂が見える>
9時56分に金冷しを通過する。私の前後には誰も居ない。霧の中をいつものように登り続ける。すると,前方の霧の中から,立派な三角髭を生やしたご常連とすれ違う。どちらからともなく,
「やあ・・・今日は」
と挨拶する。
「今日はいかがでしたか・・・」
と私が伺うと,
「いや~ぁ・・・今日は蒸し暑くて・・・全くダメです」
と答える。何時も2時間程度で登っているこのご常連でも,今日はとても暑くて,どうにもならないと言う。それならば,彼より,もっと足の弱い私など,暑さでメロメロになっても仕方がないと自分を慰める。
■尊仏山荘寸景
10時11分に塔ノ岳山頂に到着する。霧が掛かった山頂には誰も居ない。すぐに尊仏山荘にお邪魔する。山荘の温度計によると,10時15分現在の塔ノ岳山頂の気温は,24.6℃もある。これから逆算すると,山麓の気温は30℃程度まで上がっているに違いない。 今日の登頂所要時間は,実に2時間33分も掛かった。荷物が重かったせいか,それとも暑かったせいか,あるいは私が老衰したせいか,ともかく,単独山行では,今年最悪の記録である。残念ながら,この程度が,現在の私の実力なのだろう。
今日の小屋番はオーナーのHさんである。先客はカメラマンのご常連が1人。汗ビッショリのまま座っている。
私は例により,300円也のお茶を所望する。
Hさんは,私の顔を見ると,すぐに,
「・・Kさんからメール行きましたか・・・昨日,Kさんが見えられましたよ・・」
と教えてくれる。丁度そのときに,強力さんが尊仏山荘に入ってくる。どこからともなくネコのミー君も現れる。
<ミー君:相変わらずトボッとしていて可愛い>
そんなことで,Kさんのメールの話は,そこで途絶えてしまったが,早朝に家を出た私は,Kさんのメールは,まだ見ていない。
隣に座っているカメラマンの方は,汗でビッショリになったズボンを頻りに絞っている。絞るたびに,ズボンから汗が滴り落ちる。やがて,カメラマンは,
「今日は,小丸辺りまで行ってみますよ・・・その後は大倉尾根を下ります」
と言いながら,尊仏山荘から出ていく。
私がネコの写真をとっていると,強力さんが,
「ネコが好きなんですか・・・」
と私に話しかける。
そのとき,どこからともなく,花立山荘で私を追い越した若い女性が,尊仏山荘に入ってくる。そして,缶ビールを2缶購入して,外へ出ていく。
「私が追い越されたのは,あの女性ですよ・・・」
すると,Hさんが,
「ああ,あの方ですか・・・見るからに速そうですね。登って直ぐに,缶ビール2本を開けられるんだから凄いですね・・・」
という。どうやら,近々開かれる塔ノ岳でマラソン大会に備えて,沢山の若手が練習のために,塔ノ岳に登っているそうである。それならば,ロートルで素人の私など,端から敵うわけがない。
■堀山へ登る
10時48分に尊仏山荘を出発する。前回は,Kさんと一緒に下山したので,それなりに真面目に降りたが,今日は気儘な一人旅である。すれ違う人達と雑談したり,花の写真を撮ったりしながら,のんびりと下山する。
11時44分に堀山ノ家を通過する。前回,塔ノ岳を訪れたときに,小屋番のOさんから堀山の所在地を伺っていた。そのことを思いだした私は,登山道から踏み跡に入り込んで,堀山を目指す。堀山は双耳峰になっている。塔ノ岳に近い方が,やや低くて標高895メートル,遠い方が標高905メートルである。仮に低い方を堀山2峰,高い方を堀山1峰と勝手に呼ぶことにする。
<堀山2峰への踏み跡道>
<堀山2峰の山頂>
11時51分,堀山2峰の山頂に到着する。山頂は,広葉樹に覆われたなだらかな丘になっている。四十八瀬川側の斜面は杉林に覆われていて,殆ど眺望がないのが残念である。
すぐに堀山2峰から登山道に下る。そしてまた直ぐに次の踏み跡に入り込む。途中から踏み跡は,山頂をトラバースするようになるが,踏み跡から離れて,背の低い笹藪を踏み分けながら,11時55分に堀山1峰山頂に到着する。この辺り一帯は広葉樹林帯になっていて,なだらかな斜面が四十八瀬川方面に下っている。広い丘状の山頂は静かで穏やかである。この辺りでゴザを敷いて昼寝をしたら,さぞかし気持ちが良いだろうと想像する。今度,塔ノ岳に登るときは,是非,ここで休憩したいと思う。
<堀山1峰への踏み跡道>
<堀山1峰の山頂>
■無事大倉バス停に下山
12時03分に駒止茶屋を通過する。ここからは,何時もの通り,速くもなく,遅くもない速度で淡々と下る。登山口を過ぎて,集落に入る頃には,日が射し始める。ジリジリと夏の太陽が顔や手を焦がす。
13時04分にバス停大倉に到着する。
(注)Kさんからのメールは,
「・・・Hさんから、小草平の地名は堀山の下の小草沢に由来すること。天神尾根分岐の上は、萱場平と言う事等の話を聞きました・・・」
という内容であった。
このメールを頂いて,長い間モヤモヤしていた何処が小草平なのかの論争に,けりが付いて,本当にスッキリした。この場を借りて,Kさんに厚く御礼申し上げる次第である。
[ラップタイム]
※標高は高度計の計測値で±20m程度の誤差あり。
7:38 歩き出し(標高290m)
7:43 登山口(320m)
7:46 克童窯(360m)
7:51 丹沢ベース(400m)
7:58 観音茶屋(460m)
8:02 高原の家分岐(495m)
8:11 雑事場ノ平(590m)
8:12 見晴茶屋(595m)
8:27 一本松(740m)
8:41 駒止茶屋(855m)
8:51 堀山(900m)
8:59 堀山ノ家(910m)
9:17 戸沢分岐(1065m)
9:47 花立山荘(1258m)
9:56 金冷し(1320m)
10:11 塔ノ岳山頂着(1490m)
------------------------------------------------------------------
10:48 〃 発
11:01 金冷し
11:14 花立山荘
11:31 戸沢分岐
11:44 堀山ノ家
11:51 堀山2峰(895m)
11:55 堀山1峰(905m)
12:03 駒止茶屋
12:16 一本松
12:29 見晴茶屋
12:31 雑事場ノ平
12:39 高原の家分岐
12:43 観音茶屋
12:50 丹沢ベース
12:54 克童窯
12:58 登山道
13:04 大倉
■登攀・下降高度 1201m
■登攀所要時間 2時間33分(2.55h)
登攀速度 1201m/2.55h=470.6m/h
■下降所要時間 2時間16分(2.27h)
下降速度 1202m/2.27h=528.6m/h
(おわり)
丹沢:塔ノ岳(単独山行)
2007年6月27日(水)
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■当たらない天気予報
昨日(6月27日),登山学校で同期の方と一緒に塔ノ岳へ登るつもりであった。天気予報では,26日に降り続いた雨が明け方までに雨が上がり,6時頃から次第に晴れてくる筈であった。例により,早朝,家を出て,大船駅前のマクドナルドでコーヒーを飲みながら,天気の様子を眺めていた。しかし,どんよりと垂れ込めた雨雲は一向に動きそうもない。しかも,無情にも霧雨が降っている。これはもう,思い切って登山を中止するしかない。
その翌日(6月27日)は「一日中晴で洗濯物が良く乾く」というご託宣である。そこで,欲求不満を解消するために,急遽,塔ノ岳へ登ることにした。ちなみに,今日の塔ノ岳登山は,今年になって丁度25回目になる。この調子で塔ノ岳に登り続けると,年間50回位になるだろう。
■バス停大倉へ
何時もの通り,東海道本線,小田急線渋沢を経由して,7時28分に大倉に到着する。今日は,朝から蒸し暑そうである。そこで,今日は,いつもの約2倍,2.5リットルほどの水を準備する。それに,7月下旬から,登山学校主催の唐松岳,鹿島槍館の縦走に参加する予定である。その準備を兼ねて,フル装備の登山用品をリュックに入れたので,かなり重くなっている。正確に計測していないが,多分,10キログラム程度の重さであろう。
今日の天気予報が定まらなかったためか,バスに同乗した登山客は10名足らずである。上空には,まだ,どんよりと雲が立ち込めている。まあ,この梅雨時には仕方がないことだし,適当に雨が降らなければ困る。ただ,もう少し天気予報の精度を上げて欲しいなとつくづく思う。
■とにかく蒸し暑い
大倉でバスを降りた途端に,蒸し暑い空気がねっとりと身体にへばり付く。用心のために,シッカリとストレッチをしてから,7時38分に歩き出す。登山口から杉林に囲まれた登山道に入ると,深い緑のためか幾分ヒンヤリとした感じはするが,それでも随分とジメジメした感じが残る。
7時46分に克童窯,7時58分に観音茶屋を通過する。この辺りで,同じバスに乗っていた登山者の大半を追い抜く。そして,8時11分に雑事場ノ平に到着する。ベンチに初老の登山者が1人座っている。私が通り過ぎようとすると,
「暑いですね・・・」
と私に話しかける。彼は,ここまで登って疲れてしまったので,このまま登るか,それとも下るか,迷っているという。
8時12分に見晴茶屋を通過して,最初の急坂に差し掛かる。暑くて湿気が多いときに急坂を登るのはとても辛い。「高年齢だから,絶対に無理をするのは止めよう・・」と自分で自分に言い聞かせながら,慎重に登り続ける。
<堀山付近の稜線からの眺望:晴れていれば富士山が見える>
■四苦八苦の登り坂
いつもよりも,ゆっくりとしたテンポで登り続けて,駒止茶屋を8時41分に通過する。それでも,当初の予想よりも,大分歩くテンポが鈍くなっている。駒止茶屋から堀山ノ家までの区間は,長閑な稜線歩きが続く。とても素晴らしいところである。あいにく曇り空なので,稜線からの眺望はあまりないが,時々,稜線越えに涼しい微風が吹き抜ける。すると,体中にまとわりついているモヤモヤ,ベトベトが,「ふっ」と取り除かれるような清涼感が満喫できる。これで,暑さでいらいらした気分が少しばかりなごむ。辺りからはホトトギスと,セミの声が絶え間なく聞こえてくる。
<路傍には綺麗な花が咲いている>
11時44分に堀山ノ家を通過する。大分,歩きが遅いなと実感する。花立山荘手前の階段では,登攀速度が450メートル/時程度まで落ちている。これはもう,暑さもあるだろうが,やっぱり年齢的にダメになりはじめたのかと思えてくる。それでも,平常心で余力を持って歩くように心掛ける。すると,私の脇を若い女性が「ス~ッ・・・」と追い抜いていく。細身の方である水だけを背負って,運動靴を履いている。実に軽やかに,私を追い抜いていく。若い方だとはいえ,凄い人がいるなと感心する。
■ご常連とすれ違う
9時42分に花立山荘を通過する。何時も誰かが休んでいる山荘前のベンチに,今日は誰も居ない。そのまま花立山荘を通過するが,このままでは,とても10時前には,山頂に到着できないのは確実である。でも,ここまで登れば,山頂までの登りはそれ程大変ではない。気分は大分楽になってくる。
露岩帯を登り詰めると,平らな木道になる。冬になると,ここから富士山や南アルプスが大パノラマになって望めるところである。だが,今日は濃い霧に覆われていて,近場の山さえ見えない。木道を歩いていると,一瞬,霧が少し薄くなって,塔ノ岳山頂付近が見える。山頂を眺めると,何だかホッとした気分になる。
<霧が薄れて塔ノ岳山頂が見える>
9時56分に金冷しを通過する。私の前後には誰も居ない。霧の中をいつものように登り続ける。すると,前方の霧の中から,立派な三角髭を生やしたご常連とすれ違う。どちらからともなく,
「やあ・・・今日は」
と挨拶する。
「今日はいかがでしたか・・・」
と私が伺うと,
「いや~ぁ・・・今日は蒸し暑くて・・・全くダメです」
と答える。何時も2時間程度で登っているこのご常連でも,今日はとても暑くて,どうにもならないと言う。それならば,彼より,もっと足の弱い私など,暑さでメロメロになっても仕方がないと自分を慰める。
■尊仏山荘寸景
10時11分に塔ノ岳山頂に到着する。霧が掛かった山頂には誰も居ない。すぐに尊仏山荘にお邪魔する。山荘の温度計によると,10時15分現在の塔ノ岳山頂の気温は,24.6℃もある。これから逆算すると,山麓の気温は30℃程度まで上がっているに違いない。 今日の登頂所要時間は,実に2時間33分も掛かった。荷物が重かったせいか,それとも暑かったせいか,あるいは私が老衰したせいか,ともかく,単独山行では,今年最悪の記録である。残念ながら,この程度が,現在の私の実力なのだろう。
今日の小屋番はオーナーのHさんである。先客はカメラマンのご常連が1人。汗ビッショリのまま座っている。
私は例により,300円也のお茶を所望する。
Hさんは,私の顔を見ると,すぐに,
「・・Kさんからメール行きましたか・・・昨日,Kさんが見えられましたよ・・」
と教えてくれる。丁度そのときに,強力さんが尊仏山荘に入ってくる。どこからともなくネコのミー君も現れる。
<ミー君:相変わらずトボッとしていて可愛い>
そんなことで,Kさんのメールの話は,そこで途絶えてしまったが,早朝に家を出た私は,Kさんのメールは,まだ見ていない。
隣に座っているカメラマンの方は,汗でビッショリになったズボンを頻りに絞っている。絞るたびに,ズボンから汗が滴り落ちる。やがて,カメラマンは,
「今日は,小丸辺りまで行ってみますよ・・・その後は大倉尾根を下ります」
と言いながら,尊仏山荘から出ていく。
私がネコの写真をとっていると,強力さんが,
「ネコが好きなんですか・・・」
と私に話しかける。
そのとき,どこからともなく,花立山荘で私を追い越した若い女性が,尊仏山荘に入ってくる。そして,缶ビールを2缶購入して,外へ出ていく。
「私が追い越されたのは,あの女性ですよ・・・」
すると,Hさんが,
「ああ,あの方ですか・・・見るからに速そうですね。登って直ぐに,缶ビール2本を開けられるんだから凄いですね・・・」
という。どうやら,近々開かれる塔ノ岳でマラソン大会に備えて,沢山の若手が練習のために,塔ノ岳に登っているそうである。それならば,ロートルで素人の私など,端から敵うわけがない。
■堀山へ登る
10時48分に尊仏山荘を出発する。前回は,Kさんと一緒に下山したので,それなりに真面目に降りたが,今日は気儘な一人旅である。すれ違う人達と雑談したり,花の写真を撮ったりしながら,のんびりと下山する。
11時44分に堀山ノ家を通過する。前回,塔ノ岳を訪れたときに,小屋番のOさんから堀山の所在地を伺っていた。そのことを思いだした私は,登山道から踏み跡に入り込んで,堀山を目指す。堀山は双耳峰になっている。塔ノ岳に近い方が,やや低くて標高895メートル,遠い方が標高905メートルである。仮に低い方を堀山2峰,高い方を堀山1峰と勝手に呼ぶことにする。
<堀山2峰への踏み跡道>
<堀山2峰の山頂>
11時51分,堀山2峰の山頂に到着する。山頂は,広葉樹に覆われたなだらかな丘になっている。四十八瀬川側の斜面は杉林に覆われていて,殆ど眺望がないのが残念である。
すぐに堀山2峰から登山道に下る。そしてまた直ぐに次の踏み跡に入り込む。途中から踏み跡は,山頂をトラバースするようになるが,踏み跡から離れて,背の低い笹藪を踏み分けながら,11時55分に堀山1峰山頂に到着する。この辺り一帯は広葉樹林帯になっていて,なだらかな斜面が四十八瀬川方面に下っている。広い丘状の山頂は静かで穏やかである。この辺りでゴザを敷いて昼寝をしたら,さぞかし気持ちが良いだろうと想像する。今度,塔ノ岳に登るときは,是非,ここで休憩したいと思う。
<堀山1峰への踏み跡道>
<堀山1峰の山頂>
■無事大倉バス停に下山
12時03分に駒止茶屋を通過する。ここからは,何時もの通り,速くもなく,遅くもない速度で淡々と下る。登山口を過ぎて,集落に入る頃には,日が射し始める。ジリジリと夏の太陽が顔や手を焦がす。
13時04分にバス停大倉に到着する。
(注)Kさんからのメールは,
「・・・Hさんから、小草平の地名は堀山の下の小草沢に由来すること。天神尾根分岐の上は、萱場平と言う事等の話を聞きました・・・」
という内容であった。
このメールを頂いて,長い間モヤモヤしていた何処が小草平なのかの論争に,けりが付いて,本当にスッキリした。この場を借りて,Kさんに厚く御礼申し上げる次第である。
[ラップタイム]
※標高は高度計の計測値で±20m程度の誤差あり。
7:38 歩き出し(標高290m)
7:43 登山口(320m)
7:46 克童窯(360m)
7:51 丹沢ベース(400m)
7:58 観音茶屋(460m)
8:02 高原の家分岐(495m)
8:11 雑事場ノ平(590m)
8:12 見晴茶屋(595m)
8:27 一本松(740m)
8:41 駒止茶屋(855m)
8:51 堀山(900m)
8:59 堀山ノ家(910m)
9:17 戸沢分岐(1065m)
9:47 花立山荘(1258m)
9:56 金冷し(1320m)
10:11 塔ノ岳山頂着(1490m)
------------------------------------------------------------------
10:48 〃 発
11:01 金冷し
11:14 花立山荘
11:31 戸沢分岐
11:44 堀山ノ家
11:51 堀山2峰(895m)
11:55 堀山1峰(905m)
12:03 駒止茶屋
12:16 一本松
12:29 見晴茶屋
12:31 雑事場ノ平
12:39 高原の家分岐
12:43 観音茶屋
12:50 丹沢ベース
12:54 克童窯
12:58 登山道
13:04 大倉
■登攀・下降高度 1201m
■登攀所要時間 2時間33分(2.55h)
登攀速度 1201m/2.55h=470.6m/h
■下降所要時間 2時間16分(2.27h)
下降速度 1202m/2.27h=528.6m/h
(おわり)