中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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雪と泥濘・そして冬と春が同居する丹沢:塔ノ岳(今年13回目)

2011年03月05日 20時43分45秒 | 丹沢の山旅

                           <花立山荘付近からの富士山>

  雪と泥濘・そして冬と春が同居する丹沢:塔ノ岳(今年13回目)
            (単独山行)
          2011年3月4日(金)
快晴


■今朝も寒いぞ 
 久々の塔ノ岳詣でである.前回,塔ノ岳に登ったのが2月27日.もう,5日も間が空いている.
 漸く季節が進んで,この所は春らしく三寒四温の毎日を繰り返している.今日は晴れてはいるが寒い1一日になりそうである.
 天気予報では,秦野市堀川の今日の最低気温はマイナス3℃.海沿いの鎌倉に較べると4℃も低い.これは寒そうである.寒い朝は,いくら山好きでも,家を出るのに勇気が要る.それでも,毎度のことながら,登山用の衣服を着てしまうと,行くぞという気分になるから不思議である.
 渋沢発大倉行の1番バスは,平日にしては混雑している.座席がほぼ埋まるほどの登山客で賑わっている.ご常連は韋駄天のTさん,N村(弟)さん,H井さん他.
 バスは,7時頃,大倉に到着する.とにかく寒い.大倉付近は雪か霜か良く分からないが,とにかく真っ白である.バス停から丹沢の山々を見上げると,雪で真っ白になっている.
 7時13分,何時もより少し遅い7時13分に歩き出す.登山口までの舗装道路は乾いているが,登山道に入って,克董窯を過ぎる辺りから路面が霜か今朝方の雪か見分けが付かないが,路面が白くなり出す.

■キツツキが活動を始めた
 うっすらとした雪化粧の山道は,多少滑りやすいかもしれないので,今日は慎重に登ろうと心に決める.それでも,途中で,何人かの登山客を追い抜く.7時49分,見晴山荘を通過する.山荘から直ぐ先の急階段は新雪で真っ白である.
 新雪の雪道をユックリ登り続ける.一本松を過ぎる辺りで,山麓からキツツキが,
 「ダダダダッ,ダダダダッ,・・・」
と木の幹を叩いている.この音を聞くと,春が間近だなと実感する.
 8時19分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間07分も経過している.いくら雪が多少あるにしても,つい2~3年前の私には考えられない遅さである.
 「でも,まあ,いいか.いや,これで良いのだ・・」
私は確信を持って自分に言い聞かせる.
 「無理をしないんだ!・・絶対に無理しちゃダメ.」
私は常に自分自身を制しながら登り続ける.その代わりに,後10年は今の調子で登り続けるぞ・・具体的には85才になっても,大倉尾根経由で塔ノ岳まで4時間で登れる体力を維持したいと思っている.無理かな?
       
            <雪が残る見晴山荘からの急坂>

■青空に抜けるような富士山が見える
 1~2センチの積雪のある堀山の尾根に差し掛かる.富士山がとても良く見えている.
 雨上がりのためか,今日は特に空気が綺麗である.抜けるような青空の下,真っ白な富士山がクッキリと見えている.この所の寒さのためか,山裾まで真っ白である.当然,私はここで富士山の写真を何枚も取りまくる.


■堀山の家
 柔らかな春の日射しが私の背中を温める.
 私の影法師が私の前を歩いている.
 「・・ンにゃろう~・・俺の前を歩くなっ・・て!」
私は自分の影法師に腹を立てる.
 「お前はハイドか!・・折角のんびり歩いているのに,無闇矢鱈にオレを急かせるな・・」
 私が右手を挙げれば,一緒に右手を挙げる影法師に向かって,オレの真似をするなと,立腹する.バカだよ,私は・・・
 8時38分,堀山の家を通過する.相変わらず小草平から富士山が良く見えている.
         
                <こら!・・影法師,なぜ先に行くの>

■雪の萱場平
 登るにつれて,積雪がだんだんと深くなる.小石や小さな礫は雪の下に隠れているので,何時もより返って歩きやすい.私は雪道を楽しみながら登り続ける.毎度のことながら,頭の中では,登りながらも,ついつい余計なことを考えてしまう.
 前回も同じような気分を味わったが,私は,暫くの間,まるでマリオネットかオートマトンになっている.その間,誰かに遠隔操作されているかのように,無意識に登り続けているのである.途中で,ハッと気がついて,フォアグラウンドジョブに意識が移る.いくら馴れた道とはいえ,これは危険である.
 今日,登山のマリオネットになった私は,頭の中で頻りに原価計算をしていた.
 「今,ケチをして1足8000円の靴を履いて登っている.仮にこの靴で,塔ノ岳に80回登れたとして,1回当たりの靴の費用は100円である.下着,衣類など服装一式は,全体でザッと40,000円という所か.これで,平均5年持ったとして,ザッと8,000円/年か.年に100回登るとして,80円/回か・・なるほど!」
 「交通費は,尊仏山荘のお茶代を含めて,約3.000円/回だ.それに山岳保険は約10,000円/年.年に100回登ったとして,1回当たり100円か・・なるほど!」
 「・・ってことは,1回の登山について,交通費等3,000円,靴代100円,衣服代80円,保険費用100円,締めて約3,300円ってことか.う~ん・・結構掛かるな・・」
 「でも待てよ!・・オレは1台約200,000円のパソコン“Let”s Note”を使っている.仮に5年使うとして年間約40,000円,月にして約3,500円.それにデータ通信費として,5,000円/月使っている.それに携帯電話だって,4~5年に1回,新機種に変えている.こっちだって,電話代が月に5,000円程度使っている・・パソコンと両方合わせる,山の費用よりずっと多いぞ! これはタマゲタ!」
 私は,こんなばかげたことを考えながら登り続けていた.
 8時57分,萱場平を通過する.積雪は少ないものの一面の雪景色.気温2℃.

<往路の萱場平:8時57分頃>


<復路の萱場平;11時09分頃>
※ちょっとの時間の間に,これらけ雪が溶けてしまう.

■凍てつく花立山荘
 歩き出してから,軽く汗ばむ程度以上に速度を上げずに,ユックリと登っているので,全く疲労感がないまま,後7分坂を標準速度で登って,9時20分に花立山荘に到着する.歩き出してから2時間は切れず,7分ほどオーバーしたが,まあこの雪では仕方ないなと勝手に解釈する.
 相変わらず,ここからも富士山が良く見えている.
 花立山荘を過ぎると,何時ものことながら,気候が一変して,真冬になる.汗ばんだ顔をぬぐった手拭いが何となくゴワゴワしてくる.手拭いに着いた湿気が凍り付いている.ちなみに気温はマイナス2℃.


■花立山からの素晴らしい風景
 花立山に向かうにつれて,ますます視界が開ける.凛とした冬景色が広がる.何時もは花立山荘から花立山まで9分掛かるが,今日は疲労が少ないので8分ほどで登る.
 花立山山頂に差し掛かる頃,下山してくるローギャー氏の弟さんとすれ違う.毎回,今日と10メートルほどの誤差もないころですれ違うので,まるでダイアが正確なJRの電車のようだなと思う.
 今日の花立山からの風景も素晴らしい.澄み切った青空に富士山,南アルプスがクッキリと見えている.当然,ここで立ち止まって沢山の写真を撮る.
 その後,馬ノ背に向かう.残雪は深くなるが新雪なのでアイゼンは全く不要である.新雪を踏む毎に,ギュッ,ギュッ,と心地よい音がする.
 残念ながら樹氷や霧氷は見られないが,雪化粧をした丹沢山塊が見事である.


          
                  <馬の背の雪道:下山時に撮影>

■塔ノ岳山頂
 9時51分に塔ノ岳山頂に到着する.ここで,下山する韋駄天のTさんとすれ違う.
 「・・今日の山頂の気温はマイナス6.4℃でしたよ・・」
と韋駄天のTさんが言う.
 歩き出してから山頂までの所要時間は,2時間38分.決して褒められる時間ではないが,まあ,今の私の体調と,雪山であることを考えれば,こんな所だろうと納得する.
 雪に覆われた山頂は,人影まばら.


■尊仏山荘
 周囲の写真を一回り撮る儀式を済ませてから,尊仏山荘に入る.
 山荘には先客は居ない.オーナーのHさんが1人で小屋番をしている.
 300円也のお茶を所望する.
 暫くの間,Hさんと雑談をしていると,同じバスに乗り合わせた見覚えのある方が山荘に入ってくる.ご常連のようである.
 そのとき,どこからともなくネコのミー君が出てきて,椅子の下に潜り込む.
 「おい・・ミーや,こっちにお出で・・・」
と声を掛けるが無視される.そしてすぐにギャロップで2階へ行ってしまう.
 「あんなに元気に飛び上がれるんなら,まだ,くたばらないな・・」
と冗談を言う.


■ユックリと下山
 大倉発12時52分のバスに乗ろうかと思う.十分に時間を見計らって,10時17分に山荘を出発して下山を開始する.
 山頂付近は結構積雪があるので,階段が雪の下に隠れている.この階段を踏み外すと転倒するおそれがあるので,随分と慎重に下山し続ける.
 花立山を過ぎる頃から,融雪が目立ち始める.つい先ほどまで一面の銀世界だったのに,日の当たるところは,もう雪がなくなっている.下るにつれて雪の量は目に見えて少なくなる.
 11時27分,堀山の家を通過する.堀山の家の前で腰を下ろしている方が,私にニッコリ挨拶する.誰かと思ったら,尊仏山荘スタッフのW田さんである.
 堀山の尾根は,雪がすっかり溶けて泥んこになっている.グチャグチャ道である.しかし,この辺りまで来ると,今日も丹沢へ来て良かったなという満足感で一杯になる.
 11時45分,堀山の家を通過する.急坂を下り続けていると,今度は尊仏山荘のW林さんとすれ違う.
 「・・実は,こんな噂話を聞いたんですが・・本当ですか」
とW林さんに伺う.W林さんは知らないという.
 12時34分,丹沢ベースを通過する.そろそろ舗装道路に差し掛かる頃,今度は尊仏山荘のOさんとバッタリ.Oさんが私に,
 「・・W田さんに会いましたか?」
と聞く.
 「ええ,W田さんにも,W林さんにも会いましたよ・・」
 「ネコと会いましたか?」
 「ちょっとだけ・・でも,今日はHさんだけだったので,じっくりとは会えませんでした」
 「来週は私居ますから,登ってきて下さいよ」
 「では,2~3日中に登っていきます・・・ところで,Oさん尊仏山荘を辞めないですよね・・」
 「首にならない限り,まだ2~3年は辞めませんよ・・」
 「良かった! 辞めたらネコが可愛そうですよね.・・・まあ,2~3年先のことは,私も分からないし・・逆に2~3年も先のこと
は,だれに分からないし,言っても仕方がないですよね・・で,私,同じ質問を先ほどM林さんにもしちゃいましたよ.ひょっとしたら噂話が広がっちゃうかもしれませんよ・・」
 「広がっても構いませんよ・・(首にならない限り)暫くは(尊仏山荘に)居るって,ブログに書いておいて下さい」
 「OK・・・ところで,身体の調子はどうですか・・・」
 「いや~あ・・それが,あんまり良くないんですよ・・」
 「まあ,気お付けて下さいよ・・近々,ネコに会いに登りますよ」
こんな会話を一くさりやってから,Oさんとお別れする.
 予定通り12時47分にバス停大倉に到着する.山麓の気温は+12℃.一日の間に,マイナス6.4℃から+12℃まで,18.4℃もの温度差を経験した.まるで春と冬が同居しているようだ.
 ともあれ,今日も無事に過ごせた.めでたし,めでたしである.
 塔ノ岳を往復すると,気分がスッキリする.鎌倉の家を処分して,小田原辺りに引っ越せたら,毎日,丹沢,箱根の山々を彷徨けるな・・・と,出来もしない夢を見る.

<ラップタイム>

 7:13  大倉歩き出し
 7:32  観音茶屋
 7:49  見晴茶屋
 8:19  駒止茶屋
 8:38  堀山の家
 9:20  花立山荘
 9:30  金冷シ
 9:51  塔ノ岳山頂 着(―6.4℃)
=====================================
10:17  塔ノ岳山頂 発
10:33  金冷シ
10:48  花立山荘
11:27  堀山の家
11:45  駒止茶屋
12:13  見晴茶屋
12:27  観音茶屋
12:47  大倉 着

[山行記録]

■水平距離
       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉  発       7:13
  塔ノ岳 着       9:57
 (所要時間)  2時間38分(2.63h)
 登攀速度   1269m/2.63h=482.5m/h

■下降所要時間(雑談時間を含む)
  塔ノ岳 発      10:17
  大倉  着      12:47
 (所要時間)  2時間30分(2.50h)
 下降速度   1269m/2.50h=507.6m/h
                                (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/bb92243541ede414780c87e3c80dab8f
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/bdb074fe5610b0cedb3c9b29a62c0f87



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