<塔ノ岳山頂からの眺望>
久々に富士山の眺望を楽しんだ丹沢;塔ノ岳(今年45回目)
(単独山行)
2013年9月21日(土) 晴
■富士山と矢倉岳
この頃,いろいろな行事が重なってしまい,なかなか塔ノ岳に出掛けることが出来なかったが,やっと今日,久々の塔ノ岳詣でである.幸いなことに今日は土曜日.小田原駅での魔の階段2段跳び乗換えはない.この乗換がないだけでも気分は軽い.
9月も,もう下旬.秋分の日ももうすぐだ.朝明るくなる時間も随分と遅くなった.何時ものように,5時10分に家を出る.外は未だ真っ暗.西の空には十六夜の月が煌々と光っている.早速写真を撮るが,画像は大分ブレているので,残念ながら,ここで披露するわけにはいかない.ただ,私の希望は,月にロマンが欲しい.だから月のあばたを余りに鮮明に撮るのではなく,如何にもかぐや姫や月の使者が降りてきそうな感じの写真を撮りたいなと思っている.
夜明け前の静まり返った街中を,最寄りのモノレール駅まで歩く.涼しい,でも,涼しいと言っても,外気温は23℃もある.まだまだ,本番の秋は先のようである.
小田原駅でユックリと小田急電鉄の電車に乗り換える.
今日は朝から良く晴れている.これならば富士山も見えそうである.私は新松田駅手前で見える富士山と矢倉岳が重なる風景を心待ちにする.夏の間,ほとんど見る事ができなかった楽しみである.私は座席に座ったまま身体を捩らせて車窓の風景を注意深く眺め続ける.そして,富士山と矢倉岳が重なった瞬間の写真を撮る.
“やったあ~!!”
その写真が下の写真である.ただ,これだけのことに過ぎないが,この写真を撮るのが私の道楽なのだ.
<富士山と矢倉岳が重なって見える>
■大倉から歩き出す
渋沢駅に到着する.どうやら臨時バスが出たらしくて,バスに乗車したのはほんの数名だけ.ガランとしている.ところが,下り電車が到着した途端に,もの凄い人数の登山客がバスに殺到してたちまちの内にバスは超満員になる.どうやら今日の塔ノ岳は登山客で大賑わいになりそうである.
バスは7時頃大倉に到着する.
私は形ばかりのストレッチを済ませて,7時04分に大倉から塔ノ岳山頂を目指して歩き出す.100メートルほど前に,常連のKIさんとMT女史の後ろ姿が見えている.お二人ともかなり速い速度で歩いておられるので,ジリジリと間の距離が開いていく.ところが丹沢ベースを過ぎる頃から,お二人の歩行速度が少し遅くなる.
7時24分,観音茶屋を通過する.この辺りで私もお二人に追い付いたので,暫くの間,お二人と一緒に歩く.ところが,雑事場ノ平に近付く頃,
「お先にどうぞ…」
ということになり,私の単独山行が始まる.
登山道の路面はすっかり乾いている.山ヒルは居なそうである.
■見晴階段
7時40分,見晴山荘を通過する.どうやら今日の私は体調が良さそうである.これも湿度が低いせいだろう.それに,足許の登山道が良く乾いているので,実に歩き易い.
見晴階段の登り口で,何時ものように定点観測の写真を撮る.
坂の遙か上に人影が見えているが,私の一人旅が続く.知人と一緒に登るのも楽しいが,勝手気ままに登れる一人旅もまた楽しいものである.
見晴階段を登りながら,今日の自分の体調が決して悪くないことを自覚する.
<見晴階段>
■Kシゲさんとバッタリ
今日は意外に楽に歩けるので,大倉から歩き出して1時間04分,8時10分に駒止茶屋を通過する.まだまだ自分の最盛期のラップタイムには及ばないが,でも,今の私には,なかなかの記録である.今は率直に嬉しい気分である.
8時14分,堀山の尾根に入った所で,下ってくるKシゲさんとバッタリ.例によって,
「ヤア,ヤア,…」
と握手をしながら挨拶.今日もまたKシゲさんから活力を頂戴する.
「外国のどこかへ行っていたんだって…」
「はい…,北ヨーロッパの最高峰ガルホビッケンという山に登ってきました…ノルウェーにある山です」
…ということで,立ち話開始.私はノルウェーの山に登ってから,改めて大倉尾根の階段の有り難さが分かったとお話しする.それほどノルウェーの山は歩きにくかった…
「海外に行ってみると,日本の山の良さが分かるんですね…」
とKシゲさんが言う.私も全くその通りだと思う.
8時20分,Kシゲさんとお別れして,再び歩き出す.Kシゲさんとの立ち話は嬉しかったが,ラップタイム上では6分のロスタイムを生じた.
■堀山の尾根からの富士山
8時21分,堀山の尾根からの富士山の写真を撮る.肉眼では富士山がとても良く見えているが,私のバカカメラで上手く撮れるかが心配である.今日こそ富士山の写真を撮ってやろうと,いろいろと工夫しながら何枚かの写真を撮る.
苦労のし甲斐があって,なんとか富士山が撮れたようである.
<堀山の尾根道から富士山を望む>
■シカに出会う
堀山からなだらかな下り道に入る.私は,前方に何か気配を感じたので,立ち止まる.
私の至近距離にシカが1頭,立ち止まって私の方を見ている.怖がる気配もない.私は立ち止まったまま,シカの写真を撮りまくる.
シカは実に可愛い動物である.でも,シカの食害やら,山ヒルを運んでくるという噂やらで,すっかり害獣扱いされている.丹沢でシカに会う度に,なんとか人間とシカが共生できないものかと思う.でも,私はそう思って居るだけで,なんの具体的な行動を起こしていないことに気が引ける.
まあ,それはともかく,
「お前さん…元気で居なさいよ.」
とシカに無言の挨拶をして,さよならする.
<可愛いシカにバッタリ出会う>
■堀山の家を通過
8時28分,堀山の家に到着する.小屋の前には,まだ朝が早いのに,もう営業中の幟旗が立っている.
“久々に,帰りに寄ってみようか…”
と思いながら通過する.
小草平からは,相変わらず富士山が良く見えている.小草平のベンチにはまだ誰も居ない.辺りは静まり返っている.
“今日は体調が良さそうなので,ここから花立山荘まで40分は掛からないだろう…”
と胸算用…別に急いで歩く必要もないが…
<堀山の家>
■萱場平
ノンビリと自分の体調を勘案しながら登り続ける.今日は体調も良さそうである.決して無理はしないが,何時もより少し速い速度で登っても,体調に変化はない.
8時46分,萱場平に到着する.その直前,無理矢理,私を追い抜いていく人が居る.私が定点観測の写真を撮った直後,この人は右手に見えている休憩所にへたり込むように座り込む.
“何でそんなに無理して追い越そうとするんだ”
と私は心の中で罵倒する.
私は何時もの通り休憩を取らずに萱場平を通過する.
<萱場平>
■萱場平のアザミ
何時ものように,木道の間に繁茂するアザミに挨拶する.登山者に踏まれたのか,あるいは秋が深まったためか,アザミは随分と貧相な姿になっている.こんな姿のアザミを見ると私も寂しい.
“まあ,できるだけ元気にしていてよ”
と心の中でエールを送ってから,私はアザミの側を立ち去る.
<萱場平のアザミ>
■後7分坂からの富士山
萱場平から階段道を過ぎて,ガレ場に差し掛かる.相変わらずのスローテンポで登り続ける.
何時もだと,そろそろ後ろからMT女史が追い付く頃だが,まだ,振り返って見てもMT女史の姿が見えない.今日はMT女史も少し遅いようである.
8時58分,後7分坂(花立階段)に到着する.今日,ここからの富士山の眺めも,中々なものである.ついでに,ここでも富士山の写真を撮る.
<花立階段下からの富士山>
■花立山荘からの富士山
後7分坂を8分掛けて登って,9時06分に花立山荘に到着する.今日の大倉から花立山荘までの所要時間は2時間02分.これは今の私にとっては,なかなかのタイムである.途中,6分のロスタイムがあったが,もしロスタイムがなければ1時間56分で登ったことになる.もしそうならば数年前の私に戻ったことになるが,でも.今日はたまたま速かっただけだろう.
山荘では,小屋の従業員が,開店準備で大忙しのようである.
…ま,ともかく疲労感もなく花立山荘を通過する.花立山荘からも富士山がとても良く見えている.
<花立山荘からの富士山>
■見晴の良い花立山
今日の天気は最高である.天気が良ければそれだけ強い日射しが,私の後頭部から首の辺りを焦がし続ける.特に耳の辺りが余りに強い日射しで痛くなる.私は堪らずバンダナを被って日射しを防ぐ.
相変わらず富士山が良く見えている.こうなったら写真を撮りまくるしかない.
鍋割山稜の先に富士山が見えている.ただ,山麓の方から次第に雲が沸き上がってきたようである.1枚写真を撮ると平均15秒のロスタイムがあるが,これだけ天気が良いとロスタイムなどクソクラエという大らかな気分になる.
もっとも,私は,もう,ずいぶん前から,脱ラップタイムを宣言し,安全登山に徹しているはずだが…でも,やっぱりラップタイムが気になる.要するに悟れていないのである.
9時15分,花立山山頂を通過する.
<花立山から鍋割山稜と富士山を望む>
■またシカに会う
9時20分,金冷シを通過する.ここから塔ノ岳山頂までは,泣いても笑っても,あと約15分だ.もう,塔ノ岳山頂に到着したのと大差ない.
今日も無事登れそうだなと思いながら,最初の階段を登り切る.そして,金冷シから2番目の階段を登っていると,また何かが居る気配を感じる.
牝シカである.白い尻尾をこちらに向けたまま,振り返って私の方を見つめている.スマートな細い足が羨ましい.シカは逃げる気配もなく私を見つめる.私はカメラを構えて写真を撮る.カメラのシャッター音に驚いたのか,シカが小走りに私から遠ざかる.
<茂みの中のシカ>
■塔ノ岳山頂
9時35分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間31分.ということは,もし6分間のロスタイムがなければ,2時間25分程度で登れたことになる.いくら脱ラップタイムを標榜していても,速く登れるのに越したことはない.
“もうちょっと,修行を積めば,以前の私に大分近づけるかな…”
と淡い期待が湧いてくる.こういうのを「捕らぬ狸の皮算用」という.
山頂の気温は19℃.この時期にしては,まだ大分高い気温のように思える.
山頂では先客数名が休憩を取っている.
幾分霞が掛かっているが,山頂からの眺望は上々である.例によって,山頂からの景色をぐるり一回り撮影する.
<塔ノ岳山頂から大山方面を望む>
■尊仏山荘
山頂で少し涼んでから尊仏山荘に入る.
今日の小屋番はWDさんとFYさんのお二人である.先客はなし.ネコの華伊達美弥雄氏はどこかへ行っていて不在.
例によって,300円也のお茶を所望する.
お茶を飲みながら,早めの昼食を摂る.お茶を半分ほど飲んだ頃,雑事場ノ平手前でお別れしたKIさん,MT女史のお二方が尊仏山荘に入ってくる.
民さんと雑談をしていると,三角髭のTDさんが,丹沢方面から現れて,尊仏山荘前を通過していくのが窓越しに見える.
<尊仏山荘>
■堀山の家でコーヒーブレーク
10時04分,そろそろ下山しようかなと思う.
「私,今日は堀山の家に立ち寄りますので,先に下山します…」
とお二人に挨拶して,下山開始.
尊仏山荘で一寸休んでいる間に,山頂は登山客で一杯になっている.
下山し始めると,すぐに同じバスに乗っていたご常連の女性とすれ違う.さらに金冷シ手前の階段を下りていると,もう一人のご常連の女性とバッタリ.この女性も1番バスに乗車していた.私の肩を叩きながら,
「そんなに速く登ったらダメですよ…」
と窘める.まあ,これもご愛敬.
今日は土曜日.とにかく登山客が多い.数珠繋ぎに登ってくる登山客とすれ違うのが,とても煩わしいが仕方がない.いきおいダラダラ下山になる.
11時05分,堀山の家に到着する.ここは関所のような所.それにコーヒーを飲みたかったので,とにかく立ち寄る.
早速,300円也のコーヒーを所望する.女主人の“Nちゃん”から,先客の男性を紹介される.三浦半島にお住まいの方である.私が鎌倉在住と言うこともあって,鎌倉から浜市民の森あたりのことが話題になる.その内にご夫婦と思われる方が来店する.私たちが鎌倉の話をしていると,建長寺や天園ハイキングコースのことが話題になる.
そうこうしていると,私より後から尊仏山荘を出発したKIさんとMT女史が堀山の家に立ち寄る.私もお二人の席の近くに移動して,暫くの間,雑談.
11時37分,3人揃って,堀山の家を後にする.
<堀山の家のコーヒー>
■無事帰宅
3人で一緒にユックリと下山し続けて,13時47分,無事,大倉に到着する.下山所要時間は2時間43分.登りの所要時間より余計に掛かっている.
大倉発13時11分のバスに乗車する.バスはほぼ満席になる程度の混雑.
渋沢からは快速急行小田原行に乗車,小田原からは特別快速高崎行に乗車する.接続も良かったので,意外に早く帰宅することができた.
天気が良かったせいもあって,帰宅後も全く疲労感はない.
良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:04 大倉歩き出し
7:24 観音茶屋
7:40 見晴山荘
8:10 駒止茶屋
8:25 堀山の家
9:06 花立山荘
9:35 塔ノ岳山頂着(19.0℃)
10:04 〃 発
10:28 花立山荘
11:05 堀山の家 (11:37までコーヒーブレーク)
11:52 駒止茶屋
12:14 見晴山荘
12:27 観音茶屋
12:47 大倉着(32℃)
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:04
塔ノ岳 着 9:35
(所要時間) 2時間31 分(2.52h)
水平歩行速度 7.0km/2.52h=2.78km/h
登攀速度 1269m/2.52h=503.6m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:20
大倉 着 12:40
(所要時間) 2時間20分(2.33h)
水平歩行速度 7.0km/2.33h=3.00km/h
下降速度 1269m/2.33h=544.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/271decd3205e0d93ed6d8f1f4831c417
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ef900df59cddbf25d96e9e9b9262c63b
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