<常念乗越に近付くと常念岳が見え出す>
北アルプス:常念岳・蝶ヶ岳縦走:第1日目(2);常念小屋到着
(アルパインツアーサービス)
2013年9月13日(金)~15日(日)
<コース地図>
※コース全体図は前のブログ記事参照
<急坂を登る>
■胸突八丁
14時40分,笠原沢で,第3回目の休憩を10分間取ってから,また歩き出す.
登山道は次第に急勾配になる.
「これからまだまだ急勾配の上りが続きますよ…」
とツアーリーダーが私たちの気持ちを引き締める.
ジグザグの上り勾配が連続する.
15時06分,「胸突八丁」と白い字で書いてある案内板の前を通過する.登山道の道幅は狭く,案内板から距離が取れないので,妙ちきりんな写真になってしまったが,これも現場の様子を伝える貴重な記録になると思って写真を撮る.この案内板によると,現在地の標高は2,090メートル.本日の終点である常念小屋の標高は2,460メートル.したがって,後370メートル登れば良いことになる,ちなみに,ここから常念小屋までの沿面距離アー1.4キロメートル.
私は早速胸算用する,
“標高差370メートルなら,1時間もあれば登れるな…”
でも,そんなことは口には出さない.もし,口に出したら,
“あいつ知ったかぶって,何をエラソーなこと言ってるんだ…”
と誤解されかねないからである.
何しろ,今回の私は「高齢者」ということで,要注意人物なのである.ひたすら目立たないように,ひたすら一同の歩きに合わせて,静々と登ることが肝要だと思っている.
<胸突八丁>
■高巻きのトラバース道
胸突八丁を過ぎると,やがて急斜面に作られた高巻きのトラバース道になる.谷底を流れる川の左岸沿いの道である.良く整備された道なので,特に危険だとは思わないが,途中にハシゴもある結構な道である.もし足許がふらついたりして,登山道を踏み外したら,ちょっと大変なことになりそうである.
“オマエは高齢者だぞ…足許に充分注意して歩けよ…”
と自分自身に言い聞かせながら,登り続ける.
実は,今回の参加者の中に私よりさらに2歳年上の方が居られる.当初はトップを行くツアリーダーの直ぐ後を歩いておられたが,途中から最後尾に廻られた.他の参加者よりかなり遅れて歩いておられる.3人のツアーリーダーのうち,最後部に居られるツアーリーダーが,この方に付きっきりでお世話をしている.この辺りがアルパインツアー社の良い所だと思っている.
<ハシゴもある高巻きのトラバース道>
■最終水場手前で休憩
15時20分,最終水場付近で10分間休憩を取る.
目の前には木橋が見えている.川向こうの右岸に,かなり急勾配の階段道が続いている.一番最後を歩いていたご高齢の男性も間もなく到着する.
15時30分,休憩を終えて,また歩き出す.
<最終水場付近で休憩>
■最終水場
15時30分,歩き出してすぐに最終水場を通過する.最終水場の案内板によると,ここの標高は2,250メートル.先ほどの「胸突八丁」から標高差160メートル登ったことになる.
案内板の隣には,ご丁寧に「水場終わり」という立て札が立っている.
常念小屋までの沿面距離は後1キロメートルである.胸突八丁から沿面距離で400メートル歩いたことになる.
“今日の行程も,何となく先が見えてきたな…”
と思いながら登り続ける.
歩き出しでは,私は後ろの方を歩いていたが,気がつかないうちにだんだんと前の方になっている.私の前には元気な女性が4人だけ.
“ちょっと舞えすぎるかな…でも,まあ,良いか…”
で,順番は無視してそのまま登り続ける.
<最終水場>
■第1ベンチ
急傾斜の登り坂が連続する.
15時41分,第1ベンチに到着する.案内板に「あと800m」と書いてある.だれかが,
「後,800メートルですか! まだまだですね.でも頑張りましょう」
と言っている.
この案内板には標高が書いてないので.何となく物足りない感じがする.
そう言えば,一昨年,大雨の中,このルートを下ったことがある.そのとき,この「あと800m」の案内に,何となく違和感があったことを覚えている.この表示はあくまで登ってくる人のために表示であって,下っていく人には,一見,何のことか分からない表示である.
<第一ベンチを通過>
■第2ベンチ
15時54分,第2ベンチを通過する.標高は2,400メートル.したがって常念乗越まで,あと60メートル.もう乗越まで500メートル.あと僅かである.
“今日のコースは案外楽だったな…”
というのが私の率直な感想である.
第1日目のコースの難易度は,多分,何時も登っている大倉尾根経由の丹沢塔ノ岳と.ほぼ,同じ程度のように思える.
<第2ベンチ>
■第3ベンチ
16時03分,第3ベンチを通過する.沿面距離で「あと300m」である.私は
“もうすぐ常念乗越だぞ! バンザイ!”
と頭の中で大声で叫ぶ.勿論,口には出さない.
私はシャイなのである.
ところで,ベンチってどれだろう.足許の太い丸太のことだろうか.そう言えば第1,第2ベンチに,ベンチはあったかな? どうもベンチなど見掛けなかったかも知れない.でも,今更確かめるために下ってみる元気はない.ちょっと気になり始めたぞ!
<第3ベンチ>
<常念乗越に到着>
■常念乗越に到着
16時17分,私たち先頭グループは,無事,常念乗越に到着する.ヒエ平を11時53分に歩き出したので,休憩時間込みの所要時間は4時間24分である.
“グループ登山だから,まあ,こんなところか”
と納得する.
ツアーリーダーが,
「後から来られる人が到着してから,一緒に常念小屋へ移動しましょう」
という.
結局,最後の方が常念乗越に到着するまでに,15分ほどの待ち時間がある.その間,乗越からの眺望を楽しむ.
<常念乗越の案内標識>
■左手に常念岳が見える
常念乗越から南を見ると,明日登る常念岳が聳えているのが見える.常念岳の西の斜面には雲が湧いている.
常念岳は岩だらけの登りにくい山だが,ここから眺めていると何とも優美な姿をして山の様に見える.
一昨年,燕岳から表銀座を通って,常念岳に来たときは,嵐に遭遇して,常念岳登山を断念したことがある.
“明日は,是非,常念岳に登りたいな…”
と私は心の中で思っている.
<常念岳>
■縦走コースの標識
ふと脇を見ると横通岳と常念岳の案内板が立っている.
この案内板を見た途端,一昨年,嵐の中を横通岳から常念小屋を目指して下山したときのことを,つい昨日の事のように思い出す.
“あれから,もう2年も経つのか…月日の過ぎ去るのは実に速いな…”
私は一人感慨に耽る.
<常念岳・横通岳の案内>
<常念小屋>
■トイレ臭い所でクールダウン
後続が到着するのを暫く待つ.
16時27分.全員が揃ったので,全員で常念小屋に向かう.常念小屋は常念乗越の一番高い所から少し下にある.
ツアーリーダーが,
「小屋に入る前にクールダウンをしましょう…」
と言いながら,私たちを常念小屋入口に向かって左側の休憩所に誘導する.
この場所は,トイレの臭いがかなり厳しいが,一時のことなので我慢する.
一通りのクールダウンストレッチを終えて,小屋に入る.今夜は2階にある2部屋に,男女別々に宿泊することになる.私たち男性群は.定員8人の部屋を,5名で使用する.ユッタリしていて大助かりである.
夕食まで,まだ,間があるので,お互いに当たり障りのない雑談を始める.その内に,お互いがだんだんと打ち解けてくる.
<常念小屋に到着>
■一緒に夕食
17時30分から夕食である.
アルパインツアー一同が全員揃った所で,係員の誘導で,有無を言わせずに食卓に端から詰めて座らされる.
食堂の壁には,沢山の絵が飾られている.良い雰囲気である.
食事は,勿論,日本食.ご飯とみそ汁はおかわり自由である.夕食は,結構,美味しい.メインのおかずはハンバーグである.私は栄養のことは,からっきし分からないが,見た目にはバランスの良い食事のように思える.
私は年甲斐もなくご飯とみそ汁のお代わりをする.
30分ほどで夕食を終える.
<常念小屋の夕食>
■楽しく雑談
夕食後,折角の機会だから,談話室で雑談をしましょうということになる.
若い男性のどなたかが,
「是非,槍ヶ岳に登ってみたい…」
という.私に,
「槍ヶ岳に登ったことがありますか?」
と質問する.
問われるままに,槍ヶ岳には数回登っていると不承不承答える.
「では,穂高は?」
「はあ…まあ,…奥穂,前穂,北穂など,穂高,全部登っています…」
「海外は…」
私,内心で,
“参ったナ…”
と思っている.
というのも,私の周辺の山仲間は,100名山はおろか,200名山に挑戦するなど,結構,皆さんはあちこちの山に登っておられる方ばかりである.そんな中では,私の登山歴など多寡が知れている.
でも,今日ご一緒の人達は,まずは北アルプスの入門である今回のコースに参加したあと,これからあちこちの山へ行こうという人が多いようである.そうなると,私は馬齢を重ねた“高齢者”,そりゃ,それなりに山へ行っている.だから,ここでは経験豊富と言うことになってしまう.
“なずいな…”
私は缶コーヒーを飲みながら,頭を掻く.
勿論,私のことが話題になっているのは,私の周りのごく一部である.多くの方々は,何を話しているのか良く分からないが,結構,賑やかである.どうやら,総じて女性群は若手が多い.話題も,多分,私など付いて行けないことばかりだろう.
<食後の雑談>
■夜空の星が気になるが…
雑談は,小1時間で五月雨的に解散となる.
20時前に,私は寝床で横になる.今夜は,多分,星が綺麗に見えるだろうと思うが,星を見にわざわざ外へ出る気にもならない.
常念小屋の寝具は清潔で気持ちが良い.マットの上に寝袋風の布団が置いてある.寝袋の内部には,洗濯仕立てのシーツが何本かの紐で縛り付けてある.
部屋の照明も自由.消灯時間などない.だから,ヘッドランプを用意する必要もない.また,飲料水もタダ.
日本の山小屋にしては最高!
<第1日目のラップタイム>
11:53 ヒエ平歩き出し
12:37 山ノ神(12:51まで休憩)
13:45 道標上(13:50まで休憩)
12:40 林の中(12:50まで休憩)
13:15 第一ベンチ
14:24 笠原沢
15:06 胸突八丁
15:20 最終水場(15:30まで休憩)
16:03 第1ベンチ
16:17 常念山荘着
==========================
17:30 夕食
20:00頃 就寝
[登山記録]
■水平歩行距離 4.7km
■累積登攀高度 1,138m
■累積下降高度 10m
■所要時間 (休憩時間込み)
ヒエ平発 11:53
常念小屋着 16:17
(所要時間) 4時間24分(4.40h)
水平歩行速度 4.7km/4.40h=1.07km/h
登攀速度 1,138m/4.40h=258.6m/h
(つづく)
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