◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アイルランド紀行(11)
コークの日々(1)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
←このテーマの記事ご覧になる場合は,
左の『CATEGORY』欄から
『アイランド紀行』をクリックして下さい。
第3日目:2002年6月18日(月)
<特急列車でコークへ>
■朝のレストラン
まだ時差が残っているのか,深夜2時に目が覚めてしまう。でも,このまま起きるわけにもいかないので,無理矢理眠ろうとするが,なかなか寝付けない。それでもいつの間にかウトウトとしている。
もう寝ていれなくなり,5時30分に起き出す。すぐにパソコンの電源を入れて,発表する原稿を眺めながら時間を過ごす。6時50分頃,荷物のパッキングをする。
7時10分,ホテルの1階(グラウンドフロアー)のレストランへ向かう。レストランの片隅で,F先生が食事をしている。私も隣の席に座る。
朝食はバイキング方式である。食べ過ぎないように注意しながら,目玉焼き,オードブル,パン,オレンジジュース,グレープフルーツ程度で済ませる。
「今日は,サッカー,日本戦・・今,やってますので・・・テレビ見ます」
と言って,F先生がソソクサと席を立つ。私は,その後も,ユックリとコーヒーを飲みながら,爽やかな朝の一時を過ごす。
<ダブリンからコークへ>
※赤い実線は私達が旅をする鉄道である。
■ヒューストン駅へ
私達が出席する会合は,ダブリンから約150マイルほど南西にある都市,コーク(Cork)というところで開催される。成田からコークまでの全行程を飛行機で乗り継いで行けば,ダブリンからコークまでに飛行機代はタダになる。それなのに,列車好きな私達は,その権利を捨て,わざわざ乗車賃を払い,飛行機で行くよりも,ずっと時間をかけて,列車で行こうというのである。列車マニアならば,私達の心境を理解してくれると思うが,そうでない人から見たら,馬鹿げた愚行に思えるだろう。
私達はダブリン10時51分発の特急列車に乗る予定である。早起きの癖がある私は,時間を持て余す。まだ大分早いなと思ったが,9時15分に,アッシュリングホテルをチェックアウトする。そして,荷物を引きずって,ヒューストン駅へ向かう。そして,9時25分には駅に到着してしまう。
ヒューストン駅には,昔の上野駅を彷彿させる雰囲気がある。待合室の高い天井に案内板が吊り下げられている。そこには不鮮明な赤い字で,列車の発車時間,行先(Destination),ホーム番号(Track Number)などが表示されている。表示が何だか薄暗くて読みづらい。
<ヒューストン駅の電光掲示板>
※慌てていたので,DEPARTURESのスペルの"R"を抜かして描いちゃった。
■駅構内をブラブラ
時間がタップリあるので,ホームを見物する。線路は広軌軌道である。ホームには,何処行きの列車か分からないが,1編成停まっている。どの車輌も薄汚れている。連結器は古い,古い方式である。2枚の圧着板の間に車輌を連結する鍵が付いている。この鍵を人手で引っかけて車輌を連結する。自動連結器とはほど遠い代物である。それに,どうやら電化されていないようである。
<ヒューストン駅のホーム>
ホームから駅の売店へ戻る。商品を眺めながら時間を潰す。上手い具合に欲しいなと思っていた罫線なしの紙パットとバインダーを見付けたので,紙パット3冊とバインダーを購入する。日本製に比較すると随分と粗悪な品物である。
売店を出て,待合室に向かう。丁度そのとき,大きな荷物を引っ張りながら,F先生が現れる。それから間もなく,N夫妻も姿を表す(10時15分)。ところが,私達のキップを持っているHさんがなかなか現れない。やきもきしていると,列車の発車時間10分前に,漸くHさんが現れる。
私達が乗車する10時50分発コーク行は2番線から発車する。ホームの入口にゲートがある。そこで,乗車券のチェックをしている。チェック待ちの乗客が長蛇の列になっている。こんなことしていて,発車時間までに改札が終わるのかなと心配になる。それでも,発車時間ギリギリの10時49分に無事列車に乗車する。7輌編成で先頭がジーゼル機関車,2両目が荷物車らしい。私達が乗車する1等車は3両目である。その後に食堂車や普通車が繋がっているらしい。 私達の予約席は1等車の一番端のボックス席である。向かい合いで1列に2人ずつ座る。列の間にはテーブルがある。なかなか乗り心地が良さそうである。
■ヒューストン駅を発車
10時51分,私達を乗せた特急列車はヒューストン駅を発車する。ジーゼル機関車に引っ張られている私達の列車は,瞬く間に速度を上げる。日本の湘南電車など足下にも及ばないほどの速度で走り出す。
列車は直ぐに郊外の田園地帯に入る。なだらかな丘陵がどこまでもうねうねと続いている。牧場,ゴルフ場などが続く。広々とした牧場に,牛が点々と居るのが見える。殆どの牧場では牛を飼育しているようだが,馬や羊の牧場もときどき見える。ゴルフ場は真っ平らである。これを見たHさんが,
「なるほど,こういうところだからゴルフが適しているですね・・・」
と感想を漏らす。
<車窓から:長閑な牧場がどこまでも続く>
※沢山の牛が,点々と散らばっているのが見える。
11時15分,眼鏡を掛けた年輩のボーイが食堂の予約を取りに来る。面倒なので食堂へは行きたくない。
「ランチボックスありますか?」と聞く。すると,
「ランチの時間に売りに来る」
という返事が返ってきた。
12時14分,最初の停車駅サーレス(Turles)に到着する。そして音もなく発車する。やがて車掌が検札に来る。私のキップは,旅行カバンの奥底に仕舞っていたので,なかなか出てこない。すると車掌は,
「皆さんグループか・・・?」
と聞く。
「そうです」と答えると,「じゃあ・・・いいよ」というような仕草をして立ち去る。
12時35分に2番目の停車駅,ライムリッチ(Limerich)に停車する。手持ちのラフな地図には,この地名は載っていない。丁度その頃,若い女性の車内販売員がランチボックスを持って車内を廻ってくる。私はハンバーグとジュースを貰う。
13時12分に3番目の停車駅,マロー(Mallow)に停車する。ここから単線のキラニー(Kellarney)方面行の列車が分岐する。マローを過ぎると,車窓からの風景が次第に平野から丘陵地帯に変わってくる。うねうねとした小さな丘が連続するようになると,次第に民家が点在し始める。
そして,定刻の13時37分,私達を乗せた列車は,無事,コーク駅に到着した。
<長閑なコーク駅ホーム>
※もう,ホームには誰も居ない。
<コークへ到着>
■コーク駅構内
コーク駅はこぢんまりとした小さな駅である。列車マニアの私は,ユックリと駅を見物したかったが,そんなことに興味のない仲間は,ドンドン先へ言ってしまう。私は慌てて2本のホームをスケッチして,待合室に出る。日本の田舎町の駅舎という雰囲気である。中央コンコースの片隅に,青色の古い機関車が展示されている。帰還者の前のベンチに,4人の旅行者がボンヤリとした顔つきで座っている。
<コーク駅のアンチーク機関車>
※こんな素敵な機関車を見ると,とても嬉しくなる。
良く見ると,コンコースの左手にもホームが1本あるらしい。この駅にはどうやら4番線までホームがあるようである。Flower-hillが良く利用する大船駅とは比較するまでもないが,大船駅のホームは10番線まである。乗降客の多さは,コークとは桁が違うような気がする。
<コーク駅のコンコース>
※狭い駅だが,何だかワクワクするような雰囲気がある。
■コーク大学ドミトリーへ
駅前の広場に出る。狭くて閑散としている。私達は2台のタクシーに分乗して,コーク大学(University College of Cork)のキャンパス内にあるドミトリー「白い城(Castle White)」まで行くことにする。
タクシーの運転手から,
「泊まる部屋は,何番か・・?」
と聞かれる。私達にはそこまで分からないので,レセプションオフィスまで行って貰うことにする。
私達を乗せたタクシーは,13時54分に,コーク駅を発車する。余り雰囲気が良くない下町を出ると,綺麗な町並みになる。そして,14時10分に,コーク大学のレセプションオフィスに到着する。タクシー代は,案外安くて,10EUだった。
■レセプションオフィスで手続き
まずはレセプションオフィスに入る。ここでInSITE(Informing Science IT Education Joint Conferenceの略)参加の手続きを行う。受付係は,もの凄く巻き舌の英語を話す女性,2人である。どうも聞き取りにくい。
私達は1人1部屋ずつドミトリーを割り当てられる。取りあえず荷物を自分の部屋に置いてから,一同揃って,大学のキャンパス周辺を散策してから,軽く夕食を一緒に摂ることに決める。大学周辺の様子が分かったら,後は例によって各自の自由行動である。
(つづく)
最新の画像[もっと見る]
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前