<山頂付近から樹氷と相模湾を見下ろす>
紺碧の空と樹氷鮮やかな丹沢:塔ノ岳(今年6回目)
(T中さんと山頂まで往復)
2012年1月25日(水) 快晴
■毎度のことながら早出は辛い
毎度同じ書き出しだが,厳冬期の早朝はとにかく寒くて暗い.
何時ものように,今日は塔ノ岳へ行こうか,それとも自宅で過ごそうか迷った末,やっと出掛ける気になる.月額315円也の天気予報を見ていると,この時期の最低気温を鎌倉と秦野で比較すると4℃ほどの差がある.日中はほぼ同じ気温なのに,内陸にある秦野は一日の間の寒暖の差が随分と大きいようである.
それに山岳の天気予報によると,今日の塔ノ岳山頂の最低気温はマイナス13℃,最高気温はマイナス3℃と寒い一日のようである.
昨日降った関東地方の雪で,東京や小田原では辺りが真っ白になるほど降り積もったようだが,私が住んでいる鎌倉付近では,朝の内,北側の屋根に白いものが少し残ったものの道路に雪が降り積もることは全くなかった.
例によって小田原駅の駆けっこを何とかクリアして小田急電車に飛び乗る.新松田を過ぎる頃,車窓からほんの少し明るくなり始める.車窓を見ると,辺り一面が霜で真っ白になっている.今日も寒そうである.
渋沢駅で大倉行バス停に向かう.すでに先客20名ほどがバス待ちをしている.列の先頭の方に,T中さん,Y口さん,三角髭のTさん,F田さんなどの姿が見える.
私が近付くと,どなたかが,
「・・・今,FHさんの噂話をしていたところですよ・・」
という.
「ええっ・・?」
「あなたのブログを見ていると,この頃,塔ノ岳の記事がないので,『そろそろ今日辺りは塔ノ岳じゃないか』って噂していたんですよ・・・」
なるほど,言われてみれば,このところ,いろいろな行事があって,前回塔ノ岳を訪れてから丁度1週間間が間が空いている.
バスに乗り込んで雑談をしていると,まもなく下り電車の乗客が到着する.ドヤドヤと乗り込んでくる登山客の中に,韋駄天のTさん,S藤さんなどご常連の顔が見える.バスはほんの数席が空いている程度に混雑している.この時期の平日にしては,結構,乗客が多いようだ.
■光る相模湾を見下ろす
私が登山届を出したり,リュックの始末をしている間に,大方のご常連は早々と出発していく.その後,たまたま居合わせたT中さんと一緒に,7時08分にバス停大倉を歩き出す.
毎度のことながら,T中さんの歩き出し直後の歩行速度は,かなり速い.スロースターターの私は,出だしの暫くの間は,T中さんの後に付いていくのが結構大変である.私にはちょっと早すぎるなと思いながらも,懸命にTさんの後を追う.
道路には全く残雪はないが,沿道の集落や畠は,霜と残雪で真っ白である.
ところが,観音茶屋を過ぎると,登山道に少しずつ残雪が見えるようになる.途中でF田さんに追い付く.
7時41分,雑事場ノ平に到着する.雑事場ノ平のベンチで,三角髭のTさんが衣服調整をしている.私も,ここで,一番外に着ているフリースを1枚脱いでリュックに仕舞いこむ.そうこうしている内に,再びF田さんに追い抜かれる.
7時43分,見晴山荘に到着する.山荘から相模湾が淡い太陽の光を反射して光っている.同行のT中さんが,
「素晴らしい景色ですね・・・」
と言いながらカメラを構える.もちろん私もこの眺めをカメラに収める.
<見晴山荘から光る相模湾を望む>
■斑雪の見晴階段
見晴階段に差し掛かる.残雪で階段は真っ白である.
この辺りまで来ると,身体の方も何とか山登りに馴れてくる.今日は残雪がありそうなので,登りはじめからストック2本を使っている,平素,登りでは,ストックは全く使わないが,使ってみると,急な見晴階段も随分楽に登れるのに驚く.
<雪が残る見晴階段>
■堀山の尾根から富士山を眺める
標高が高くなるにつれて,登山道の積雪もだんだんと多くなる.
8時14分,駒止茶屋を通過する.大倉を出発してから1時間06分経過している.残雪道のことを考えると,まあ,まあ,の歩行速度である.
堀山の尾根に差し掛かると,さらに雪が多くなる.
今日は快晴.堀山の尾根からの富士山が実に見事である.新雪が降り積もっているのだろうか,朝日の中で富士山が真っ白に輝いている.早速,ここで写真タイム.ただ,私の写真技術が下手なのか,いつも富士山が背景の青空に潜り込んでしまったようにしか撮れない.今日もどんなに工夫しても,富士山がクッキリと撮れないのでガッカリする.
<堀山の尾根からの富士山;もっとクッキリ見えるのだが・・・>
■雪の萱場平
8時32分,堀山の家を通過する.小草平からも富士山が良く見えているが,ここからの富士山も,私の腕では,空と富士山の無別が付かないような写真しか撮れない.
登るにつれてますます雪が多くなる.
8時50分に萱場平に到着する.今日の萱場平は雪だらけである.
ここで,4本爪軽アイゼンを装着する.リュックからアイゼンを取り出してアイゼンを装着するのに5分ほどのタイムロスを生じる.
<雪の萱場平>
■ボンちゃんとチャイちゃん
8時55分,萱場平を出発する.
平素は礫や小石がゴロゴロしている登山道が,今日は,ほぼ完全に雪に覆われている.そのため,随分と歩きやすい感じがする.
上の方から,突然,Y沢さんが,ドドドドッ・・と駆け下りてくる.あっけにとられていると,すぐに視界から遠ざかる.
急な階段道を登っていると,ボンちゃんと愛犬のチャイちゃんが下ってくる.チャイちゃんが温和しく抱っこしている.
「おや,もう下山ですか,随分と早いですね・・・」
「いえ,,実はこの子が足を一寸痛めてしまったので,引き返すことにしたんです・・」
温和しく抱っこされているチャイちゃんが実に可愛い.
<ボンちゃんとチャイちゃん;主人を頼り切ったチャイちゃんの表情が可愛い>
■花立山荘
9時09分,後7分坂に到着する.振り返ると眼下に,光る相模湾が見えている.素晴らしい風景である.
後7分坂の階段の半分は降り積もった雪の中に埋もれている.そのため何時もよりも登りやすく感じる.
9時17分,花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は,2時間09分.2時間を大幅にオーバーしているが,途中で写真を撮ったことや雪道を考慮すれば,まあ,こんな所だろうと納得する.
相変わらず富士山が良く見えている.花立山荘でも何枚かの写真を撮る.
<花立山荘から富士山を望む>
■花立山からの眺望
花立山荘から花立山までのガレ場は,すっかり雪に覆われているので,とても歩きやすい.登るほどにますます視界が開ける.
9時29分,下山してくる韋駄天のS藤さんとすれ違う.まもなく,N村(弟)さんともすれ違う.
相変わらず富士山が良く見えている.この辺りからの風景が圧巻である.花立山辺りで十分に時間を取って,富士山や南アルプスの写真を撮りまくる.そのために,花立山荘から花立山までの所要時間は12分を越えてしまう.
<韋駄天のSさんとすれ違う>
<雪原と富士山>
<鍋割山稜と富士山>
<馬の背>
■見事な樹氷
途中で何枚も写真を撮りながら,9時36分に,漸く金冷シを通過する.
金冷シから先の階段道はすっかり雪の中である.雪道はかえって歩き易い.同じ階段道でも,階段が分からないので,距離が短く感じる.
周囲の樹氷が素晴らしい.登山道を少々外れて,樹氷の写真を撮りまくる.
随分と道草しながら,最後の階段に差し掛かる.
下山してくる韋駄天のTさんとすれ違う.
「今日は,綺麗な写真を沢山撮りましたよ」
と報告する.
次いで下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.
「あれ,先ほど追い越されましたよね・・・」
とTさんが不思議がる.
「いえ,私たち,横道に逸れたりして写真を撮りながら登ってきました」
と返事をする.でも,内心では,Tさんを追い越した記憶はないが・・・と不思議である.
樹氷がますます見事になる.
登山道から少し外れて断崖の上から,相模湾方面を見下ろす.すると,樹氷の向こうに秦野の街,さらにその先に光る相模湾が見下ろせる.雄大な風景である.同行のT中さんに,
「ここからの景色,凄いですよ・・・」
と写真を撮るように促す.
<相模湾を見下ろす>
<樹氷の先に相模湾>
<樹氷の先の大山遠望>
■雪が深い塔ノ岳山頂
山頂付近の階段が完全に雪の中に埋まっている.そのために自分がどの辺りを登っているのか良く分からなくなる.階段がなくなっているので,山頂直下の階段は,急傾斜の雪道に変わっている.この辺りだけは4本爪ではなく,6本爪のアイゼンが欲しくなる.
何時も,山頂の木の階段に達すると,ヤレヤレご到着とホッとするが,今日はこの階段も雪の中である.アレアレ何処だと思っている内に,9時50分,塔ノ岳山頂に到着する.
大倉からの所要時間は,2時間48分.この雪道で,しかも随分と道草をしながら登ってきたにしては,まあ,まあのラップである.山頂の気温はマイナス6.0℃.結構寒い.とにかく寒い.
山頂は,50~60センチメートルほどの雪に覆われている.踏み跡が堀のようにクネクネと続いている.この堀道を伝って,尊仏山荘に向かう.ついでに,山頂から四方八方の写真を撮る儀式を済ませる.
<雪に覆われた塔ノ岳山頂>
<山頂付近の樹氷>
■尊仏山荘でネコ談義
尊仏山荘入口でアイゼンを外す.入口の腰掛けが雪に埋まっているので,立ったまま.
ストックを縮める.手先が冷たい.
やっと山荘に入る.先着のご常連が何人か居られる.今日の小屋番は,ネコに優しいW田さん.300円也のお茶を所望する.
小屋番が和田さんのためか,ミー君が,しっぽを回しながら,
「にゃ~,・・」
と透明な声で鳴いて甘えている.そしてバケツに首を突っ込んで水をピシャピシャと飲んでいる.当然,ネコ百体の写真を撮りまくる.
客のどなたかが,
「このネコ,幾つですか?」
とW田さんに聞く.
「この春,丁度12歳になりました・・・」
近くに居た常連が私に,ネコの1歳は,人間の7歳に当たるんですかという趣旨の質問をする.私が,以前,このブログで,そんなことを書いたことがあるので,その記事を読んでいたのだろうか・・
「良く分からないけど,『犬の1年は人間の7年』と言いますね.ネコも犬も同じかも知れませんね」
と返事をする.
「このネコも若い頃は毛並みが良かったですね・・・」
とどなたかが言う.
F田さんが,
「このネコ,老けたねと言ったら,K井さんに『あんたもだよ』って言われちゃいましたよ・・」
と苦笑する.それを聞いた一同,大爆笑.
■雪道を堪能しながら下山開始
10時35分頃,そろそろ下山しようかと思う.
何人かの常連と一緒に,尊仏山荘を出る.外で軽アイゼンを装着する.外は手がかじかむほどの寒さである.でも,辺りの風景が余りに美しいので,また,また,山頂をウロウロしながら写真を撮りまくる.
そして,10時47分,漸く下山開始である.目指すバスは,大倉12時52分発.まあ,バスの時間に合わせて,早くもなく遅くもなく下るつもりである.
所々で立ち止まって写真を撮る.T中さんと前後しながらノンビリと下る.礫や砂利が雪で隠れた登山道は案外歩き易い.そのために,途中で道草をしても,案外早く下山できる.
花立山荘からの展望を,また何枚も写真に収める.
雪に覆われた,後7分坂は随分と下りやすくなっている.
11時30分,堀山の家を通過する.ここでアイゼンを外そうかと思ったが,ままよと思いとどまる.
11時47分,富士山が良く見えるところに到着する.富士山の山頂付近に雲が湧いている.登りで見た富士山とは,また趣の違う富士山である.また,また,ここで写真休憩である.
<花立山荘付近を下る;同行のF田さん,T中さんが下山してくる>
■凛とした表尾根
11時48分,駒止茶屋に到着する.私がノートに到着時間を記録している間に,F田さんが追い越していく.
T中さんと私はノンビリと階段道を下る.瞬く間にF田さんとの距離が開く.
「あれ,もうF田さんが見えなくなっちゃった・・・」
駒止茶屋の階段を通過してから,一本松までのなだらかな尾根道を楽しむ.沿道の木立の間から,雪を被った表尾根の山々が見えている.凛とした厳冬期の姿である.あまりに美しいので,またまた写真撮りである.
<凛とした表尾根の山々>
■一本松でアイゼンを脱着
一本松で,アイゼンを外す.私たちよりすぐ下で,アイゼンの脱着を終えたF田さんが,丁度歩き始めるところである.私たちが,アイゼンを仕舞って歩き出す頃には,F田さんは遙か下の方を歩いて居られる.
その後も,時間を見ながら,速からず遅からずの速度で下り続けて,12時48分,大倉に到着する.予定通り12時52分のバスに乗車する.
朝方,行く,行かないで,随分迷ったけれども,終わってみれば何ともいえない達成感と爽快感がある.だから山登りはやめられないなと実感する.
■大船でコーヒーを賞味してから帰宅
順調に小田急電鉄と東海道本線を乗り次いで,14時を廻った頃,無事,大船に到着する.このまま家に帰っても何となく勿体ない.そこで,駅ビルにある某喫茶店に入り込んで,200円也のコーヒーを賞味する.何のかんのと言いながら,このところ,毎日のように大船駅近くで,200円程度のコーヒーを飲んでいる.困ったものだ.
15時頃,帰宅.
夕方,例によって,少々熱めの風呂に入る.熱いと行っても温度42℃程度の風呂である.暖まった身体のまま,横になると,実に気分が良い.
「このまま寝ちゃおう・・・」
という気持ちになる.
丁度,19時30分である.いくら何でも寝るには早すぎるかと思ったが,まあ,いいかである.
…で,翌日,つまり1月26日,深夜2時半に起床して,このブログ記事を書いている.
でも,今,4時丁度.もう一度うたた寝してから,朝食にしようかと思っている.
<ラップタイム>
7:08 歩き出し
7:29 観音茶屋
7:43 見晴茶屋
8:14 駒止茶屋
8:32 堀山の家
9:17 花立山荘
9:36 金冷シ
9:50 塔ノ岳山頂着(-6.0℃)
10:47 〃 発
10:57 金冷シ
11:09 花立山荘
11:30 堀山の家
11:48 駒止茶屋
12:15 見晴茶屋
12:23 観音茶屋
12:48 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:52
(所要時間) 2時間48分(2.80h)
水平歩行速度 7.0km/2.80h=2.50km/h
登攀速度 1269m/2.80h=488.9m/h
■下降所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳 発 10:47
大倉 着 12:48
(所要時間) 2時間01分(2.02h)
水平歩行速度 7.0km/2.02h=3.46km/h
下降速度 1269m/2.02h=628.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1e1277aacd799299428c325fbe655e3f
「塔ノ岳」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5b774409d6f87f74b0a845e963d580eb
「丹沢の山旅」の次の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ef54b9fff1e9e0d7d731d94ec48bb530
「塔ノ岳」の次の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9a4b158409cb01ea1ea953b75d57d987
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コメント有り難うございます.
ご指摘の通り.毎朝3時半には起床していますので,当日の予定がなければ,その気になりさえすれば,すぐ丹沢へ出掛けられます.
それにしても,丹沢は良いですね.
午前中に,塔ノ岳を往復すると,その後,1~2日は気分がとても良いです.
今度の土日は,別の用件(その内,日曜日は山登りですが)があって,塔ノ岳には行けません.とても残念.
でも,来週早々には,また丹沢の雪景色を見に行きたいなと思っています.
また,どうぞ当ブログにお立ち寄り下さい.
どうも有り難うございました.
早寝、早起きで
毎朝4:00に起きてれば
何時でも出掛けられますネ