<懐古園天守台からの眺望>
紅葉の浅間山・小諸;懐古園・湯の平・北国街道散策(2):懐古園
(単独または小諸グループ)
2011年11月1日(火)~3日(木・文化の日)
第1日目;2011年11月1日(火)(つづき) 晴
<小諸駅・懐古園周辺散策地図>
※小諸観光案内所のパンフレットから引用
<動物園>
■茫々昔を思い出す
懐古園の中をどんな道順で廻ろうかと迷ったが,結局,三叉路の左側の坂道を登って,まずは動物園に向かうことにする.
動物園入口手前の崖の上に,今でも小さな建物があるだろうか.もしあれば,この建物には大変懐かしい思い出がある.
私は昭和20年,つまり大東亜戦争敗戦の年に,上田にある旧制中学に入学した.小諸からの汽車通学である.入学して暫く経った頃,小諸から中学に通う全生徒が,この小さな建物に集合させられた.そして,中学伝統の校歌,応援歌,凱歌・・・等々を上級生から教わった・・・やがて,敗戦後,この中学は中学校併設中学校,新制高校と慌ただしく変わって,同じ学校に6年間も通ってから,新制駅弁大学に進学した.
懐古園のこの辺りを散策すると,茫々,混沌とした戦後の動乱期のことを懐かしく思い出す.同時にあの混乱期から今日まで生き延びてきた自分の人生が,掛け替えのないいとおしいものに思えてくる.
紅葉の木立に覆われた懐かしい道を登って,13時54分に動物園入り口に到着する.
■ユーモラスなオウム
懐古園の中の動物園は,小規模である.でも,佐久界隈では唯一の動物園の筈である(昔は・・・今はどうか知らない).
園内に入ると,放し飼いのオウム(だろうか?)が2羽,ユーモラスな仕草で,見物客を楽しませている.居合わせた年配の客が,
「おたけさぁ~ん・・・」
とオウムに話しかける.
“なるほど・・!.そういえば,オウムに’おたけさぁ~ん・・’って呼びかけたな”
と,呼び方に懐かしさを覚える.
オウム返しに,オウムが何か言うかと思ったが,2羽のオウムは,この呼びかけを完全に無視.そして,
「ぎゃあ~・・ぎゃあ~・・」
と変な声を出しながら,嘴を器用に使いながら木の枝を上り下りする.
■フラミンゴ
沢山の小動物が飼育されている金網張りの飼育舎の前を通過する.いちいち見るのが面倒である.
そして,フラミンゴが数羽立ちん坊をしている池に到着する.
数年前,キリマンジャロ山に登ったときに,ンゴロンゴ自然公園で遭遇したフラミンゴの大群のことを連想する.動物園のフラミンゴは可愛そうだなと思いながら通過する.
■ライオンの雄叫び
突然,「ガオー・・・」というもの凄い雄叫びが聞こえてくる.
声の方も見ると,大きなライオンが居る.雄雌の2匹が,狭い檻の中を行ったり来たりを繰り返している.雄ライオンは格好いいけれども,さすがに怖い.
私は高いところや,怖いものが嫌いなので,遠くからライオンを眺めただけで,そそくさと退散する.
■恐ろしい吊り橋
動物園をザッと一回りして,白鶴橋に到着する.深い谷間に架かる吊り橋である.
私は子どもの頃から,何回となくこの吊り橋を渡っている.吊り橋の中央から谷底を見下ろして怖がったものである.
<馬場から天守台へ>
■富士見台
白鶴橋を渡ってから,すぐに左折して富士見台に向かう.今日は良く晴れているが,遠くに霞が掛かっていて,残念ながら富士山は見えない.
女性二人連れの観光客が私を追い越していく.
「ここに,富士見台って書いてあるよ・・富士山が見えるのかしら.でも何も見えないね・・・」
「こっちが富士山の方向って言う意味ですよ・・」
私はお二人の会話を来ていて,すこし悲しくなった.というのも,空気が透明な冬晴れの日には,ここから確かに富士山が見えるのに・・・見えないと断定されたのが悲しい.
よほど,「見えますよ」と言いたかったが,お節介なことを言うと,知ったかぶりをしている方のメンツを傷つけることになるので,知らんぷりしている.
■菊花展と天守台
馬場へ廻る.
馬場では,丁度菊花展が開催されている.私は,毎度言うように花のことは分からないので,ただ何となく会場を見回しただけで,シオシオと立ち去る.そして石垣の上の天守台に登る.
ライオンの雄叫びが,こんなところまで聞こえてくる.
私は高いところが苦手である.天守台に登ると,足許に先ほどの馬場が見下ろせる.
以前は,ここから浅間連峰が見えたが,何時の間にか樹木が繁茂していて,今は全く山の姿は見えない.
<紅葉に囲まれた馬場の茶店>
<古城の石垣>
<石垣の上;天守台への道>
<藤村記念館>
■懐古神社
天守台から降りて,懐古神社を詣でる.
団体で観光に来られている方達だろうか,かなり年配の方々が参拝している.私も形ばかりだが,神社に向かって手を合わせる.
懐古神社のすぐ側に,山本勘助が愛用していたと伝えられる鏡石があるが,今日は見物を割愛して先を急ぐ.
<木の間から浅間山が見える>
■素晴らしい紅葉
懐古神社から藤村記念館に廻る.
その途中,見事に紅葉した大木がある.木の下で風景画を書いている人たちがいる.なんとなく羨ましい.
14時16分,藤村記念館に到着する.これまでにも,何回となくここを訪れているが,また館内の展示物を見て回る.
<紅葉の中の藤村記念館>
<藤村詩碑と水の手展望台>
■藤村詩碑
30分ほど展示物を見学してから,藤村記念館を出る.
再び馬場の西側を通り抜けて,14時26分に藤村詩碑(ただしくは千曲川旅情の詩碑)に到着する.ここは,幼少の頃から何回となく訪れているところである.
■水の手展望台
続いて水の手展望台を訪れる.
昔と変わらず千曲川の流れが美しい.千曲川の水面に空が反射して,蛇行する川が輝いている.
幼少の頃から,ここからの眺めを,それこそ何十回となく画いてきた.
そういえば,小諸出身の偉大な画家,小山敬三画伯の作品の中にも,ここからの長めを画いたものあったと思う.
<酔月橋を渡る>
■鹿島神社
数十段の階段を下ってから,酔月橋を渡る.渡った先の台地には,鹿島神宮,渥美清寅さん会館,郷土博物館(休館中),小山敬三美術館がある.
まずは鹿島神社(正確には鹿嶋神社)を参拝する.境内には全く人影がなく静まりかえっている.
浅間山の方から,境内の雑木林の中を千曲川の方へ吹き抜ける風の音だけが聞こえる.
この神社は,もともと,小諸駅前にあったが,戦後まもなく駅の拡張工事に伴って,現在の場所に移された.
戦争中は,度々,この神社に集まって宮城遙拝をした.そんな茫々とした昔のことを思い出しながら,風の音に聞き入る.
■小山敬三美術館
ついで,小山敬三美術館を訪れる.
私は,小諸を訪れるときは,必ずこの美術館を訪れている.そして,小山敬三画伯の浅間山の絵を眺めるのが,何よりの楽しみである.
この絵を見ていると,本物の浅間山よりも,もっと浅間山らしい情景に,とても勇気付けられる.
小諸出身の私には,浅間山は神様である.
小山敬三画伯の描く浅間山は,形状,色ともに極端にデフォルメされている.でも,その一見非現実的に見える形状や色こそ,真の浅間山なのだ.
私は,これらの浅間山の絵が見たくて,何回も,何回も,ここを訪れている.
<紅葉の中の小山敬三美術館>
<懐古館と小諸義塾記念館>
■可愛いネコ
時間も押してきた.
私は後ろ髪を引かれる思いで,小山敬三美術館を出る.
郷土博物館の屋上から,暮れゆく浅間連峰を見たいなと思ったが,あいにく休館中である.近くにある寅さん会館は,以前入ったことがあるのでパスする.
再び酔月橋を渡って馬場の西端を通過して,黒門橋を渡る.
三の門の方へ向かうと,ネコに首輪を付けて散策している男性に会う.犬ではなくネコが散歩している.
早速,男性に伺ってみる.
「ネコが散歩のお供をするなんて,見たことがないので,是非,写真を撮らせて下さい・・」
ネコが散歩をいやがらないか伺ってみる.すると,
「実はネコが外を歩きたがるんで,・・・一緒に歩いていたら,ネコの方が散歩が好きになっちゃったんです・・・」
■懐古館
ネコとお別れして,三の門の方へ向かう.
15時19分,三の門近くにある懐古館に入る.展示物は前回見学したときと殆ど変わっていない.館内を一回りして,外に出る.
■小諸義塾記念館
三の門脇の坂道を小諸駅の方へ向かう.
15時32分,小諸義塾記念館に到着する.記念館の中に入るには登山靴を脱がなければならない.それが面倒なのと,これまで何回も見学しているので,今回は外観だけを見学して,シオシオと立ち去る.
<北国街道小諸宿>
■観光案内所
15時34分,懐古園を出る.
しなの鉄道のガードを潜って,小諸駅近くの観光案内所(観光交流館)を訪れる.
ここで,沢山のパンフレットを頂戴する.係員の女性が,
「何か,お探しですか・・・」
と親切に私に質問する.
「いえ,ソノ,はあ,・・・特に・・パンフレットを頂戴できれば十分です・・・」
田舎者の私は,本当に会話が下手だなとつくづく思う.
■大手門
まだ,暗くなるまでには少し時間がある.
私は近くにある大手門を訪れることにする.昨年,ここを訪れたときには,門の側にボランティアガイドが居て,いろいろと説明をしてくれた.そして,門の中も見学できたが,今日は,辺りに人の気配はなく,門の中にも入れない.
■浄齋坂から権兵衛坂を経由して養蓮寺へ
大手門から浄齋坂を登り,一旦,国道141号線に出る.左折してすぐに北国街道に交差する.交差点から権兵衛坂を少し下って,左折.路地に入る.
再び,国道141号線を横断して,草むした小径に入る.この小径の突き当たりが養蓮寺である.
この寺の曰く因縁は知る由もないが,古刹の趣一杯の寺である.
■旧本陣
再び本町に出る.この道をどもまでも下っていくと,“牛に引かれて善光寺”で有名な布引観音まで行けるが,今日はとても行っている時間がない.
本町の道沿いにある旧本陣(重文)を,外からだけ見学する.
旧本陣の近くに旧脇本陣があるはずだが,どの建物が旧脇本陣か良く分からない.
<懐かしの小諸>
■相生町を上る
そろそろ日が暮れてきた.
この辺りで,小諸散策を終えて,市内某所にある私の生家に向かうことにする.生家には私の弟が住んでいる.
一旦,小諸駅前まで戻る.小諸は坂の道である.駅前からの坂道は,小諸市最大の繁華街,相生町である.私が幼少の頃,父や母に連れられて良く散策したところである.とにかく懐かしい街である.
長野新幹線が開通してから,この街も大分寂しくなってしまった.心が痛む.
■生家に一泊
15分ほどで,私の生家に到着する.
ここで,一泊.明日は,弟,姪,それに私の3名で,浅間山に登る予定である.
<ラップタイム>
13:46 小諸駅前歩き出し
13:48 懐古園入口
13:54 動物園
13:59 吊り橋
14:02 富士見台
14:04 馬場
14:10 天守閣跡
14:16 藤村記念館(14:24まで見学)
14:26 藤村碑
14:26 展望台(14:29まで休憩)
14:32 鹿島神宮
14:36 小山敬三美術館(15:00まで見学)
15:02 小諸市郷土博物館(閉館中)
15:19 懐古館(15:25まで見学)
15:32 小諸義塾
15:34 懐古園発
15:34 小諸城大手門(15:37まで見学)
15:47 養道寺
15:51 小諸宿本陣
15:58 小諸宿主家入口
16:00 小諸市観光会館(16:05まで資料収集)
16:30 赤坂某所(宿泊)
[散策記録]
■水平歩行距離 4.0km
■累積登攀高度 132m
■累積下降高度 111m
■所要時間(休憩時間込み)
小諸駅前発 13:46
赤坂邸着 16:30
(所要時間) 2時間44分(2.73h)
水平歩行速度 4.0km/2.73h=1.47km/h
(つづく)
「関東・上信越の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/adfc163b2f5ce2caf19fae4680e52122
「関東・上信越の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5f7e005fcc31e99c677f48c0bf408df4
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[編集後記]
2011年11月5日(土)
小諸の旅から帰ってきて,今日は2日目.
天気予報では,少なくとも午前中は晴ということだったので,急遽,塔ノ岳を往復した.
塔ノ岳中腹の紅葉も,ようやく見頃を迎えている.紅葉の写真を沢山撮ってきたが,浅間山の写真と,どっちを先にブログで取り上げようかと迷っている.
(おわり)
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