中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ミルフォードサウンド(9):第5日目(トレッキング3日目)(1):マッキンノンパス

2011年02月25日 11時10分23秒 | ニュージーランド:ミルフォードサウンド

                                  <マッキンノンパス>

  ミルフォードサウンド(9):第5日目(トレッキング3日目)(1) :
       マッキンノンパスを越えて
         (スケッチ旅行)
     2003年1月28日(火)~2月5日(水)

第5日目:2003年2月1日(金)

■第3日目全行程



■トレックキングルートの概要
           (区  間)             区間距離
 ポンポローナロッジ  → DOCミンタロハット    4.0(km)
 DOCミンタロハット  → マッキンノン記念碑    5.6
 マッキンノン記念碑  → マッキンノンパスハット   1.6
 マッキンノンパスハット → クインティンロッジ     3.5
 クインティンロッジ   → サザーンランド滝(往復) 5.6
           (合  計)              18.9(km)

        ※写真は次回纏めて掲

<ボンボローナロッジからボンボローナ川へ>

■快晴の朝
 夜半,激しい風雨が続く.まさに大嵐である.朝食時に,ガイドから,昨日1日の降水量が230ミリメートルに達したという報告があった.
 今朝は台風一過,直前までの大雨が嘘のようなすばらしい快晴である.昨日は何も見えなかったが,ポンポローナロッジは,四方を高い岩壁で囲まれていることが分かった.岩壁には幾筋もの滝が流れ落ちている.辺りのダイナミックな光景に圧倒される.
 われわれが宿泊している部屋の前に,早朝からいたずら者のグイが1羽来ている.側に近づいても一向に逃げない.何かいたずらするものはないかなと首を傾けながら動き回る仕草が可愛い.
  今日,3日目の歩程は約19キロメートル,標準歩行時間は6時間である.2日目に引き続き,18km地点から歩き出す.
 途中,マッキンノン峠(海抜,1154m)を越えてクインティンへ向かう予定である. スタッフからは,
  「7時までには出発してください」
と厳重に言い渡されている.
 それにもかかわらず,私達は何となくぐずぐずしていて,スタッフに促されるようにして,結局一番遅く,8時頃出発する.

■地図(18~20km)


■ボンボローナ川
 ポンポローナハットを出ると,なだらかな下り坂になる.そして,間もなく11マイル地点で,クリントン川の支流であるポンポローナ川に掛かる吊り橋を渡る.
 ポンポローナ川が激しい勢いでクリントン川に流れ込んでいる.この辺りは,大雨の度に荒れてしまうという.添乗員のK島氏の話だと,この吊り橋は良く流されてしまうので,ポンポローナ川を徒(カチ)で渡らなければならないこともしばしばだという.


<マッキンノンパス>

■地図(20~24km)


■ミラーハット
  18キロメートル(注;トレッキングルート起点からの距離,以下同じ)付近で,幾つかの吊り橋を渡る.そして,19キロメートル付近には,大きな雪渓が残っている.雪渓というよりも氷河と言った方が適切かも知れない.
 20キロメートル手前は崩落多発地帯である.ここを通過すると登り坂になる.そして,左側眼下にミラー湖が見下ろせる.
 22キロメートル付近のミラーハットを通過する.正面に大きなテラスがある.その奥にトイレや休憩室が並んでいる.私は,まだ,全く疲れていないので,ミラーハットはそのまま通過する.

■スイングブリッジ
 23キロメートル手前で,クリントン川西支流に掛かる大きな吊り橋を渡る.一歩歩くたびに吊り橋が大きく上下左右に揺れる.
 ここから,このコースのハイライトである11曲がりの本格的なジグザグとした登り坂が始まる.23.5キロメートル付近から,クリントン川の水源地が見渡せる.
 6番目のジグザグ曲がりは丁度24キロメートル付近である.ここからクック山百合(Mt. Cook lily; Ranun culus lyllii)の白い花が沢山咲いている.また,黄色い花(Yellow flowering bog lily),マウンテンデージー(Celmesia spp),ハーブなどが咲き誇っている.
 25キロメートル地点を通過すると,右手にクリントン川の源流域が見下ろせる.アイグイレルレルージ(Aiguille Rouge,海抜1779m)からクイル湖(Lake Quill)に向かってクリントン氷河が流れ出している.

<10時10分頃.素晴らしい岩稜が連なっている>

<マッキンノンパス>

■地図(24~28km)



■マッキンノン記念碑
 26キロメートル手前で,登り坂を登り切ったところにマッキンノン記念碑が建っている.ちょうどここは海抜1073メートル,マッキンノンパスのサドル部分に当たる.
     
 
<マッキンノンメモリアル直前から振り返る>

■サドルでコーヒーブレーク
  10時54分,私はサドルを形成している尾根の上にいる.サドル一帯は,風をまともに受けて,とても寒い.しかし,サドルの左右から素晴らしい風景が見下ろせる.稜線には小さな湖が幾つかある.その湖面がカガミになって,周辺の山並みを映している.向かい側の峨々とした山稜には白いちぎれ雲が掛かっている.雲間から岩肌が見えている.
 これらの池には「微生物が生息しているので飲用には適さない」という趣旨の注意書きが立っている.
 記念碑付近の広場で,スタッフからスープのサービスを受ける.寒い中で温かいスープは有り難い.この付近は,今回のトレッキングコースの最高地点,海抜1154メートルの高度がある.温かい飲み物は,とても有り難い.
 飲み物を頂戴しながら,スタッフと雑談する.
「こんなに沢山の飲み物,どうやってここまで運んだんですか・・? ヘリコプター・・?」
と聞いてみる.
 「いえ,私がふもとから背負って運んだんですよ・・」
 「え,え~っ・・!.本当ですか? 一体何キロあるんですか・・?」
彼はニヤリとして,
 「そうさな,・・・,まあ,大体,50キロぐらいかな」
と答える.
 50キロを1人で背負うなどとは,すぐには信じにくいが,それにしても大変な労力が掛かっていることだけは確かだ.
 サドルの北側には氷河か削ってできた素晴らしいU字谷が広がっている.もう少しサドルの縁まで近づいて見事な谷を見下ろそうと思ったが,行く先に「危険」と書いた看板があるので引き返す.



<26kmを過ぎた頃.緩やかな下り坂が始まる>

<ローミングバーン谷を下る>

■地図(28~32km)


■広いU字谷を見下ろす
 11時15分頃,尾根道からプラットフォームセクションの美しい谷間を望むことができる.広いU字形の谷底には氷河が流れている.嶮しい山並みが切り立つように連なっている.


■素晴らしい山並みの連続
 11時35分頃,私はサドル沿いの尾根道を歩いている.尾根道の周囲には素晴らしい山並みが連なっている.吹きさらしの尾根道は風が冷たい.
 山自体の標高はそれ程高くないが,高緯度の地域なので,標高3000メートル級の日本の北アルプスを縦走しているような気分になる.風格のある山並みに圧倒される.
 時間の許す限り,この素晴らしい風景を楽しんでいたいという衝動に駆られる.


■尖峰を望みながらトラバース道を下る
 途中,右手にマッキンノンパスハットが見える.特に寄り道をする気にもならなかったので,そのまま通り過ぎる.
 サドル道は下り坂にさしかかる.12時02分,左手に,まるで槍ヶ岳のように鋭い穂先を持った山が見える.山の名前は分からないが,その偉容に圧倒される.
 すでに標高800メートルぐらいまで下っている.低い位置から1000メートルを越える山脈を見上げていることになる.


■ローミングバーン谷
 ローミングバーン谷に沿って谷間を進む.やがて大きな滝の麓を迂回するようにして谷底の道を進むようになる.既に12時を大分回っている.どこか適当なところでランチにしようかと思うが,なかなか座るのに適当なところが見あたらない.
 さきほどのマッキンノンパスハットで昼食を済ませておけば良かったと,ちょっと後悔する.そして,河原の中の石を見つけて腰を下ろす.
 しばらくすると,同行の夫婦が私に追いつく.私がランチを摂っているのを見て,この夫妻も私のすぐ側の川原石に腰を下ろす.
 「食事をする適当なところがなくて迷っていました・・・」
と私に挨拶する.
 一足先にランチを済ませた私は,
 「お先に・・」
と挨拶して先を急ぐ.やがて,木道と階段が多くなる.右岸に沿って,いくつもの階段を下る.滝が何段も続くようになる.ザーザーと激しい水音を立てながら 豊富な水が流れ落ちている.
 途中に木製の展望台が設けられている.そこから見事な滝が見える.
 谷が次第に深くなる.吊り橋を渡る.吊り橋は上下左右に揺れてスリル満点である.沢山の滝が流れ落ちるローミングリバー(Roaming River)沿いのトラックをひたすら下る.


■クインティンハット到着
 14時47分,クインティンハットに到着する.ハットには人気がない.恐る恐る入口からハットに入る。小太りした中年女性がどこからともなく現れて,愛想良く私を向かい入れる.受付で名前を書くように促される.
 「あなたが,2番目に早いお着きですよ・・」
と女性が言う.
 「そうなんですか・・・! 随分,ユックリと歩いたつもりですが・・・」
 入口のすぐ側に自動給茶器が置いてある.その先に広いロビーと食道がある.
 ロビーには,初老の男性が1人,座っている.私が中に入ると,男性はニッコリしながら,
 「ハァイ~・・」
と片手を上げて挨拶する.
 彼が,このハットにトップで到着した人物である.英語での雑談は面倒だなと思ったが,暫くの間,とりとめもない雑談をする.
 彼は,これから,サザーランド滝を見に行くという.彼の話によると,この滝はハットのすぐ近くにあるという.
                               (つづく)

「ミルフォードサウンド」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/933b0ba014dd013eecd4304fbd65cd9d
「ミルフォードサウンド」の次回の記事
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