中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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東南アジア紀行[11] オーチャード通り

2012年02月25日 07時39分29秒 | 東南アジア訪問記 

[復刻版]         東南アジア紀行[11] オーチャード通り
          (マレーシア・シンガポール駆け足の旅) 
                   1997年8月26日(火)~9月4日(木)

■朝のひととき
 1997年8月31日.日曜日.
  シンガポール,2日目である.今日は休日,観光日である.
  午前中は自由行動.午後は一行全員で行く観光ツアーに出掛けることになっている.
 例によって,5時頃,目が覚めてしまう.某外資系企業から依頼されている2000字の原稿を,また最初から書き直してみる.でも,また途中で行き詰まってしまう.また途中で放り出す.もう,かれこれ,5~6回も,原稿を途中で放り出している.
 朝風呂に入る.
 シンガポールのホテルは中級なので,クアラルンプールのホテルに比較すると,全体に何となくせせこましい.バスルームの備品も貧弱である.でも安いに越したことはない.
 はじめて,しげしげと部屋の中を見回す.中級ホテルだけあって,五つ星のクアラルンプールのホテルの部屋とは大違いである.
 大雑把な配置は次の図の通りである.
 それでも,ダブルベッドが2
台置いてある.2台ものダブルベッドを,どうやって使うのだろう.これがまた不可思議である.バスは狭いが,洗濯物を干す「ひも」はちゃんと付いている.「ソカさん」も安心したろう.ただ,洗面道具は必要最低限度のものしか置いてない.でも,考えて見れば,これで十分である.

      |______________________
      |  ○      |   |□|   | |  |  | _|
     / ◇        |   |  |   | |  |  | | ||    
       | ○椅子          ダブルベッド   | | ̄ |  |バス|
    |            |__|  |__|   |○ |洗面 ||||
    |                         |  |  | ̄ ̄|
     \ _                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~~∥←入り口
     |||デスク _TV__  __物入れ_クローゼット
     |||    | □ | |      |   |      |
 
     | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~~|
 

■ソカさんと散策に出掛ける
 7時過ぎに,朝食をとりにレストランへ行く.コーヒーを飲みながら,ぼんやりとしていると,「ソカさん」が現れた.
 「食事済んだら,どこかへ,一緒に行きませんか?」
とソカさんに誘われる.別に異存はない.
 8時20分に「ソカさん」とロビーで落ち合った.とにかく目抜き通りのオーチャード通りを散歩してみようということになった.
 「ソカさん」は,シンガポールは初めて,私は過去に数回来ている.が,私は忘れっぽいので,あまり地理に詳しくない.
 とにかく地下鉄で,オーチャード通りまで行き,そこからホテルの方向へ,ひたすら歩こうということになった.
 「ソカさん」は,何時も用意がよい.シンガポールの明細地図をちゃんと持参している.いろいろと蛍光ペンで,行きたいところにマークしている.私は,過去に数回も,シンガポールへ来ているが,しばらく経つと,見聞きしたものを何もかもすっかり忘れてしまう.だから何時も,方向音痴で迷う.さらに,私は用意が悪く,ホテルのロビーにあった簡単な地図を間に合わせに持ってきただけだ.

 ■まずは地下鉄の駅へ
 地図を縦にしたり,横にしたりして,まずは自分の位置を確かめる.広い道路を横切って,地下鉄の City Hall 駅へ辿り着く.Orchard 駅まで,自動販売機で切符を買う.自動販売機の使い方が飲み込めなくて多少手こずる.1人,0.70 ドル.
 「ソカさん」は,駅構内に設置されているATMを切符の自動販売機と間違えそうになる.地下鉄の構内に入る.Orchard 行きのホームへ降りるエスカレータが見当たらない.仕方なく,事務室へ行って聞く.同じことを聞く観光客が沢山居るらしくて,一言質問した途端,駅員は,日本語で「一番線!」といって,とんでもない方を指さす.成る程!
 そこには1番線に降りるエスカレータがガタンガタガタガと音を立てて動いている.
日本のJRの駅のエスカレータに比較すると随分と高速である.

オーチャード通りを南東に歩く
 オーチャード駅で降りる.切符を自動改札口に差し込んで,外へ出る. 「ソカさん」が,
 「切符が戻ってこない・・・」
と不満そうである.Single ticket を買ったのだから,戻ってこないのが当たり前だが,そこを納得するのに若干の時間を要する.
  オーチャード通りを南東方向にゆっくりと歩く.
 まだ,時間が早いので,開店しているところは少ない.
 大きな百貨店が両側に見える.日本でお馴染みの百貨店である.だから,特に入ってみたいという気にはならない.要するに私は「へそ曲がり」なのである.

■マクドナルトで小休止
 のどが渇いた.左手にマクドナルドがある.半地下の店である.ここで小休止.結構,沢山の人達が入っている.ほぼ満席である.Small Juice 1本が2ドルである.現地の人に混じって,しばらく休憩をとる.
 9時55分.オーチャード通りの左手に大きな公園のような場所が見え隠れする.
 「あそこへ行きましょう.入口は何処かな?」
と「ソカさん」が張り切る.
 しばらく進むと,公園の入口のような場所に出る.入口に衛兵が2人いる.どうやら,ここは公園ではなく大統領官邸のようだ.やむなく,ここへ入るのを諦めた.
 「写真 写したら,怒られるかな・・・」
と言いながら「ソカさん」は,遠くの方から,この入口にカメラを向け,恐る恐ると得意のスナップ写真を撮る.

■廃墟のようなヤオハンの建物
 突然,中近東から来たと思われる若い2人連れに,道を聞かれる.地図を見ながら,多分こっちのほうだろうと説明する.
 道がなだらかな下り坂になる.大きな廃墟のような白い建物の前を通る.ヤオハンがあったところである.入口に庭園が設えてある立派な建物だ.建物の前面にロープが張られていて,中には入れない.白い建物に沿って左折する.またすぐ右折して,オーチャード通りの裏道を歩く.
 暗渠から出てきた掘り割りが道に並行して流れている.200メートル程先で,また暗渠になっている.掘り割りを流れる水は汚れきっていて,すえたような悪臭を発している.日本では,これほどひどく臭う下水には,お目に掛かったことはない.
  「ソカさん」は,この暗渠に強い関心があるらしく,暗渠を盛んに写真機に納める.
 「ソカさん」の好奇心旺盛なのには,ほとほと感心する.
 10時30分.ここまで下ってくると,オーチャード通りも,何となくうらぶれて寂しくなる.もうそろそろ,この道も終わりに近付く.

■国立シンガポール博物館
 右手に広い公園が現れる.左手には国立シンガポール博物館( National Singapore Museum) の白い建物が見える.まずは博物館付属の売店に入る.品の良い中年のおばちゃん店員が一人居る.客はわれわれ以外にだれも居ない.博物館オリジナルのTシャツや,ちょっとした小物が置いてある.品数はそれ程多くない.
 「ソカさん」がTシャツなどのお土産を買う.
 売店を見ている内に,なんとなく博物館に入ってみたくなる.
 窓口へ行く.
 "Are you a senior member?"
といきなり聞かれる. 何となく入場料が安くなりそうな雰囲気だったので,あまり考えもせずに,「そうだ」と答える.すると,3ドルの入場券が,1.50ドルになる.
 シニアメンバーって何歳からか良く分からないが,私達がそう見えたのだから,「ソカさん」も私も,俄シニアメンバーに変身する.でも私たちの年齢なら本当にシニアメンバーかもしれない.間違っていたら, 「英語は分からない」 って言うさ.
 館内に入る.最初の部屋には壁かけ画が飾られている.これを見て,「ソカさん」が,  「敷物か?」 と,とてつもないことをいいだす.ここが「ソカさん」の真骨頂である.奇想天外な発想,大いに気に入った!
 次の部屋には,性器を題材にしたグロテスクな彫刻が並んでいる.逆さまになった歪んだ顔の彫刻など,見ているうちに気分が悪くなる.
 いろいろな色の千切れた布が,丁度,破れた障子のように,格子枠から,沢山ぶら下がっている作品がある.どうしてこれが芸術品なのか理解に苦しむ.また,紙の真ん中に,ただ一つ大きな円が切りぬかれているだけの作品もある.
 こんなものわが家の孫でも作れる?
 何のことだかさっぱり分からず,またまた理解に苦しむ.
 何かにつけて勿体ぶっているように見える.これも私の美術心がないからだろう.この美術館を見て,何だか時間の損をしたような気分になる.

 ■小さな喫茶店で昼食
 ラッフルズスクエアの「そごう」に戻って,どこかで昼食を摂りたいと思うが,なかなか適当なところがない.諦めて「そごう」の建物の外へ出る.出入り口の隣に,静かな喫茶店風の軽食屋がある.店の名は,TUNTH Cafe.店に入ると突き当たりにショーケースがある.サンドイッチ,パン,飲み物などが置いてある.
 壁に貼ってある写真のメニューを見ると,お粥,白いプリプリした豆腐状の甘い食べ物(名前が分からない)など西洋,中華,その他が入り交じっている.
  振り返ると,10脚ほどの椅子が置いてある.大きなガラスを通して外から丸見えである.
 「ソカさん」はサンドイッチとジュースなど,私はお粥,白いプリプリ,ジュースを注文する.私の分は締めて2.9ドルであった.随分と安い!
 「う~ん,食事はこここに限る・・・」
これが,毎晩,1万円の夕食を付き合って辟易としている「ソカさん」と私の結論だった. 全く!
 毎晩1万円の夕食では,たまったものではない.

■ダイアナ妃の悲報
 午後,13時から全員で観光の予定である.もう時計が,11時45分になっている.一旦,ホテルに戻る. 部屋の椅子に座って,窓の外を眺める.12階の高いところから見ると,沢山のスカイスクレーパーが,カリマンタンの山火事の煙霧で霞んで見える.
 13時一寸前に,ロビーへ下りる.
  ガイドの陳さんが待ってる.私の顔を見るなり
 「ダイアナ妃が自動車事故で死んだらしいですよ」
とショッキングなことを,いきなり言う.
 「今,テレビが大騒ぎしていますよ」
 私達は,耳を疑った.一体何が起こったのだろうか.

■半日観光へ
 13時05分.私たち一行を乗せたマイクロバスは,半日の観光コースに出発する.ガイドの陳さんは,今日はジーンズ姿である.
 早速,陳さんの観光案内が始まる.
 「・・・・・シンガポールは,面積648平方キロメートル,海岸線の総延長は約150キロメートルです.人口は約300万人,内訳は中国系が77%,マレー系が14%,インド系が7%,混血が1~2%です・・・・・・・インド人には,色の黒い人と,白い人が居ます.黒い人は南の人,白い人は北の人です.中国人は北京語を話します.みんな英語を話します・・・・」
 私は,
 「淡路島と同じ大きさなんて言われたって,私は淡路島に行ったことがないんで,良く分からない.東京都区内とか横浜市などお馴染みのところと,シンガポールを比較して貰わないと,ピンと来ないよ・・・・」
と茶々を入れる.
 「そういえばそうだな.俺も淡路島へは行ったことないよ」
 「私は,○×橋を渡って,淡路島を横断したことがあるよ」
などとあらぬ方向に話が弾む.
  私は,帰国したら,東京都や横浜の面積とどちらに近いか早速チェックしようと思う(2012年注;今日に至るまでチェックしていない).

 ■植物園
 30分ほどで植物園に着く.私自身は,ここには何回も来たことがあるので,あまり感慨は浮かばない.とはいっても,一体,どんな植物があったのか,全く思い出せない.ガイドが先頭に立って,植物園の中を進む.
 「これが Cannon Ball Tree です」
と直径10センチ余りの大きな丸い実が,沢山ぶら下がっている木を指さす.“変わった木があるものだ”と,一同,感心する.
 極楽鳥という名の植物,Fish Tail Perm Tree だの,幹が赤い「紅椰子」,コカコーラの原料となる Giant Cola,カトレア,胡蝶蘭,黄色い小さな花を咲かせた Dancing Baby など,変わった植物が沢山ある.
 植物園の地図を頼りに,皆でぶらぶらとそぞろ歩きをする.森林火災で曇り空だが,それでも,結構,暑い.「ゴムゾーリ」や「真面目」が暑さに少々音を上げ始めている.
  「煙突」はタバコが吸えないので苦しそうである.

■住宅事情
14時丁度に,植物園を出発する. 日本大使館の側を通過する.高級住宅地の一隅にある.大使館の広い緑の芝生が眩しい.
 「シンガポールの住宅は,一番良いのが土地付き住宅,次がアパート,つまり,コンドミニアムです.3番目が公団住宅です・・・・」
とガイドがシンガポールの住宅事情を話し始める.
 外から見て洗濯物を干しているのが一番安い公団住宅で,価格は600万シンガポールドル程度,コンドミニアムは,700~800万ドル程度だという.

 ■自家用車は高価
 一方,自動車はベラボーに高い.現在,シンガポールには約60万台の車があるという.車を持つには,まず車を持つ権利書を入手しなければならない.10年間の権利書が安い車でも320万円(日本円換算)もする.さらに税金が取得価格の250%もかかる.だから日産マーチでも650万円にもなってしまう.1600ccのベンツだと1000万円を越える.だから,家は持てても車がもてない.こうでもしないとシンガポールの交通渋滞は防止できないのだという.

 ■マウントハーバー
 市内へ乗り入れる車を規制するために,高速道路は無料でも,市内に入るには有効期限1ヶ月の権利書を買わなければならない.そして,プレートの色で,市内に入れる時間帯を区分する.たとえば,赤プレートは,朝7:00から夕方7:00まで市内乗り入れOK.その他,土曜日14:00から日曜日朝7:00までOKの車などいろいろな区分がある・・・・
 こんな話を聞いている内に,14時20分に Mount Harbour に到着する.ここは小高い丘になっていて,すぐ先の海峡を挟んでにセントーサ島が見渡せる.丘の上の建物から,とても高いところを通るロープウエイがセントーサ島につながっている.私は,数年前,家内とセントーサ島を遊び回ったときのことを思い出す.
 今回の観光ツアーでは,時間の関係で,セントーサ島へは行かない.大変残念である.どこかで時間を作って,セントーサ島へ行ってみたいなと心の中で思っている.
 建物の中にある土産屋 Maritaime Souveniors を冷やかすが,特段,買いたいものはない.集合時間まで,ぼんやりとして過ごす.

■ショッピングセンターとDFS
 14時40分,Mount Harbour を出発,10分ほどで,大きなショッピングセンターに到着する.途端に鞄屋に連れ込まれた.店にお客の影はない.高価なものしか置いていない.だから,だれも鞄に興味を示さない.店の中を一回りして,すぐ外へ出てしまう.そして,現地の人が,やたらに人だかりしているショッピングセンター内の出店を冷やかし回る.
 実用本位の革靴や,サンダルが所狭しと置いてある.15時20分,鞄店を出発,マーライオンの側を通り抜けて,また,DFSに連れ込まれる.ガイドの面子もあるだろうから,おとなしく店に入ったが,何も買う気がないので,ひたすら退屈する.
  17時頃,ホテルへ戻る.

■K社のKさんと夕食
  今夜,クアラルンプールでお世話になったK社のK氏が,18時一寸前にシンガポール国際空港に到着する.  われわれを,明日,シンガポールK社とジョホールバル地区の工業団地に案内してくれることになっている.
 そこで,今夜は,われわれが,逆に,Kさんを夕食に招待することになっている.
 Kさんは,ホテルに到着次第,私の部屋に電話をすることになっている.
 私は,そろそろ部屋に戻って,Kさんからの電話を待つことにする.
 18時40分.Kさんとホテルのロビーで待ち合わせる.
 夕食では,マレーシアのトイレ作法の話題やら,政治の裏話やらで,大いに盛り上る.
                                  (第10回おわり)
                                  (第11回につづく)

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