中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
最初に左下の“カテゴリー”を選んで,クリックして下さい.

台湾訪問記(7) エピローグは新たなプロローグ

2012年03月12日 06時43分48秒 | 東南アジア訪問記 

[復刻版     台湾訪問記(7) エピローグは新たなプロローグ
       (国際比較管理学術会議(高尾)参加記録)
       1997年5月24日(木)~28日(月)
 


             *************************

2012年注:この前文は1997年秋に書いたものである
 数日前からコーロギの声が聞こえるようになった.もう秋がすぐそこである.そして,われわれのクアアラランプール,シンガポール出発の予定日も,もう数日後に迫った.そうなると,何時までも,この「再見!台湾」にお付き合いしているわけにはいかないので,いそいで最終回をアップすることにしたい.

             **************************

■朝の散歩
 8時.朝食を摂るためにレストランへ行く.
 たまたま「勉さん」「ソカさん」が,間もなく現れたので,3人で集合時間の11時まで,ホテルの付近を散歩することになった.
 「ソカさん」は,ホテルに置いてある簡単な市街地図と,日本から持参したガイドブックを参照しながら,
 「近くに蒋介石の記念碑のようなものがあるらしいんで,見に行きませんか?」
という.そして,市街地図を見ながら,
 「多分,この辺りだと思います」
と自信たっぷりである.
 私もホテルの市街地図を貰ってきて,念入りに見たが,どう見ても記念碑らしいものは見当たらない.
 「ソカさん」に,
 「そんなところは,この地図では見当たらない」
というと,自信たっぷりに,
 「いえ,このあたりですよ」
という.
 私達も,特に見物したいところがあるわけではないので,「ソカさん」の目指すところまで同行することにした.この市街地図によると「ソカさん」の行きたいところは,ホテルから東へ500メートルほど行った交差点にある筈である.
 カンカン照りの蒸し暑い通りを,地図の通りに500メートルほど歩いたが,ごみごみとした住宅街の中に迷い込んでしまった.
 「あれ~ この辺にある筈だがなぁ~」
と「ソカさん」が不思議がる.
 私は,たまりかねて,
 「「ソカさん」,ちょっとガイドブックを見せて下さい.」
 「ソカさん」が抱えているガイドブックを見ると,そこには広域の市街図が書いてある.この市街図は縮尺が大きいから,国道級の主要道路しか書いてない.
 「ソカさん」の言うように,確かに主要道路では2本目に目指す記念碑はあるようだが,今居る所から,まだ数キロ先の位置である.
 「なんだ.この地図で2本目の角になっていたんで,すぐ近くかと思ったのに・・・」
と「ソカさん」は不満げである.
 いつも「ソカさん」のソソッカシさに惑わされているのに,またもや油断してしまった.

市役所やスーパーマーケットを見物
  仕方なく3人は,今来た道を引き返し,昨日行ったスーパーマーケットを,再度尋ねて,時間を潰すことにした.
 途中に市役所があったので,中を覗いてみる.市役所の職員が,大部屋の中で仕事をしているのが見える.かなり女性の職員がいる.男も女も良いものを着ている.特に女性の服装は明るく華やかに見える.ところどころにパソコンが置いてある.日本の大きな市の市役所に良く似ている.
 途中,少々,迷ったが無事にスーパーマーケットに着いた.
 スーパーマーケットには,「髭さん」が先客で来ていた.そして,いろいろと漁っていた.何だかちゃちな造りの電話機を買っている.日本で使うつもりだろうが,法律違反にならないのだろうか.
 「ソカさん」は,何を思ったのか,台湾の演歌が入ったCDを,10本ほど,ごっそりと衝動買いする.「勉さん」もやたらと小物を買っている.ガイドが連れていくお土産屋や,デパートに比較すると,品質は劣るだろうが,全てがマル一つ違うのではないかと思えるほど安いのは確かである.
 ちなみに私は,飛行機の中で食べたいと思った煎餅を一袋買っただけで,後は何も買わない.

■執拗に買えとねちっこいお土産屋
 10時半ころホテルへ戻った.
 私は,ごく身の回りの限られた荷物しか持っていないので,荷物のパッキングの時間は不要である.11時15分のチェックアウト時間まで,テレビでたまたま放映している「あぶない刑事」を見て過ごす.
 さて帰国である.以前にも記述したが,私たちはダイナスティックツアーという旅行社主催の4泊5日フリータイムツアーを利用している.つまり,羽田から現地往復だけがパックになっているツアーである.
 11時30分,旅行社の手配したバスに乗車する.
 真っ直ぐ飛行場へ行くのかと思ったら,お土産屋で途中下車である.まあ,パックツアーだから仕方がない.
 下車したところは,大きなデューテイフリーショップである.多くのメンバーは,この期に及んでも,結構,何やかやと買い物をしている.私は,海外では,何も買わない主義である.所在がないので,売り物の絵や,掛け軸を眺めている.これでいて,私は結構,絵が好きなのである.
 店員がやってくる.
 「これ,どうですか.安くしますよ」
 「いえ,ただ見ているだけです・・・」
 「いくらなら買うんですか?」
 「買いません.ただ見ているだけです」
 「ちょっと,旦那.今,見ている「これ」は19000NT$だけど,15000NT$でいいですよ・・・・・どうですか?」
 「いえ,ただ見ているだけです」
 こんなやりとりを10回以上も繰り返す.
 この「しつっこさ」,この「ねばり」,これこそ台湾の人たちの凄いところだ.いつも台湾に来るたびに辟易とさせられる.
 あまりの「ねちっこさ」に呆れて,私は,絵の売場を離れて,所在なげに,他の売場をぶらぶらしている.
 それでも,先ほどの店員が私を追いかける.
 「ちょっと,一体,いくらなら買ってくれるの・・・」
と真顔で迫ってくる.
 私は,全く買う気がない.でも,こうまで,まとわり付かれると,何時も本性の短気を,努めて隠蔽して,生活している私の「へその緒」がおかしくなる.
 「分かった!! そんなら1万円にしたら買ってやるよ!」
と捨てぜりふを大声で返す.
 内心「1万円なら買ってもいいか」とも思い始めている.
 途端に,売り子の顔色が変わった.
 「お客さん! うちは信用第一の店だから,いくらなんでも,そこまでは値段をふっかけていないよ!」
 「だから,何回も買わないといっているだろう・・・・買わないと言っている私に付きまとうより,買いそうな客の相手をしたらどう・・・」
 これで,やっと売り子は私の側を離れた.私の腹の虫も治まった.
 私は,それから時間の許す限り,好きな絵を鑑賞していた.

■厳重なセキュリティチェック
 やっと空港に着いた.われわれの飛行機は30分早発になるという.
 厳重なセキュリティチェックを受け,出国手続きを済ます.
 何という機種か知らないが,真ん中の通路を挟んで,左右に3列の席が並んでいる.離陸すると,すぐにハンバーグとジュースが配られる.これでも国際線である.
 ゆっくりと,食事をする間もなくトランシットの台北の中正国際空港に着く.
 この空港,馬鹿でかい.
 高雄からの便は,この空港の端っこに着く.羽田行きの便は,反対側の端っこから出発する.手荷物を引っ張りながら移動する.私のトランクは車がちゃちなためかゴロゴロとやたらに大きな音を出す.
 形は同じでも「ソカさん」のトランクはほとんど音を出さない.
 「先生,こんな鏡のような床で大きな音がでるんなら,朝,団地中の犬に吠えられるのは当たり前ですよ・・・・」
と「ソカさん」に冷やかされる.
 私は,内心,
 「このトランク,そろそろ買い換えようか」
と思案しだしている.
 何しろ3年前に,シンガポールで3000円程で買ったボロ鞄だから,もう棄てても惜しくない.
 通路の曲がり角で,空港の職員が,何か大声で乗客に促している.
 「もう一度,セキュリティチェックを受けて下さい」
と言っているようだ.
 「もう,高雄でセキュリティチェックを済ませましたよ.それでもまた受けるんですか?」
と質問すると,
 「規則ですから受けて下さい」
という返事が返ってきた.
 荷物を引きずって,混雑するセキュリティチェックのコーナーを廻った.

■故宮博物館のレプリカ
 待ち合わせ時間が2時間もある.
 時間の潰しようがない.
 コーラを買う.30元.30分はコーラで持った.
 故宮博物館の売店がある.私は,台湾に来る度に,故宮博物館の絵のレプリカを買うのを楽しみにしている.早速,レプリカの掛け軸を1000元で買う.帰宅したら床の間に飾る.これが楽しい.
 しばらくの間,この売店でレプリカ物の掛け軸や壺を楽しんでから,待合室のベンチにもどる.「髭さん」と「勉さん」が私の掛け軸の長い包みを目ざとく見つけて,
 「これ何ですか?」
と尋ねる.故宮博物館の売店があると知ると,暇を持て余している2人は,早速,見物に行く.間もなく,小物を数点ずつ買ってきた. 

■満席の羽田行フライト
 羽田行の飛行機は満席であった.台湾人が過半数のようだ.
 機中の夕食は,フライドフィッユ.結構,旨い.中華航空の食事は,どうやら他の航空会社より,大分,質が良いようだ.
 私は,下戸ではあるが,周りの雰囲気に押されて,台湾ビールを賞味する.飲むほどに,食べるほどに,隣に座った「勉さん」などと埒もない話に花を咲かせる.ECの話,モンデックスの批評,来年の大会での発表など,結構,真面目な話が続く.そうしている内に,来年の大会での発表の仕方も,何となく決まっていく.

■入国手続き
  飛行機が遅れた.
 羽田に着いたときには21時をとっくに廻っていた.
 税関が結構厳しい.私のパスポートを,ぺらぺらと,めくって,見ている.
 「何か申告するものはありませんか」
 「何もないです」
 「では,荷物を開けて下さい」
税関の職員は荷物の底まで手を入れて,不審なものがないかチェックをする.そして,
 「はい,結構です」
という.通り抜けようとすると,掛け軸を見つけて,
 「それ,絵ですか?」
と鋭く聞く.
 「そうです.故宮博物館のレプリカです」
 「あぁ,レプリカですか」
と苦笑しながら,「どうぞ」と手で合図をする.
 どうやら全員が同じ程度のチェックを受けているらしい.
 手廻りの荷物しか持っていない私は,ダッシュして,京急横浜駅行最終バスに何とか間に合った.後で聞くと,沢山お土産を買って,飛行機に荷物を預けた人たちは,税関で時間が掛かって,全員,最終バスに乗れなかったようだ.
 京急で横浜まで出て,JRで大船まで帰った.

■帰国直後の印象
 帰国直後の第一印象は,「日本は,清潔で,華やかで,静かな国だな」ということであった.
 電車の乗客の身なりが良い.おとなしく電車に乗っている.それに涼しい.
 初めての試みであったI××の海外オフミは,お陰様で,どうやら成功裏に終わった.
 海外へ出てつくづく思うことは,われわれ日本人は,もっと海外へ積極的に出掛けていって,情報発信をしなければ駄目だということである.日本人だけで,かたまって,日本語だけ使って,海外旅行をしていたのでは駄目だ.ブロークン英語(テレビでやっているファニーイングリッシュ)でも良いから,とにかく英語で発言することが,大変重要なことなのだと実感している.
 来年も,是非,この学会で発表できるように頑張ろうと,オフミ参加者一同,気を引き締めている.

■エピローグはプロローグ
 エピローグは,新たなプロローグである.
 来週,8月26日から,「ソカさん」達と,クアアランプール,シンガポールの日系企業の調査を始めることになっている.そのために,慌ただしく,この「再見!台湾」シリーズを完結させた次第である.
 それと同時に,クアアランプール,シンガポール版のプロローグが始まるのである.
                                                  (完)

注:台湾を訪問した3ヶ月後の8月に,取材旅行のためにマレーシアとシンガポールを廻った.このときの様子は,このブログに記録済みである.

「台湾訪問記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/38da53732f4f28493dd735bc4168918b
「台湾訪問記」の次回の記事
(なし)
「台湾訪問記」の最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/04f3897aaaef2734af3caecf3e2a4094
「マレーシア・シンガポール」の最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/69089d3ed134b200e641d549e9f62a9c



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。