中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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泥んこと富士山に春を予感する丹沢;塔ノ岳(今年13回目)

2013年03月07日 05時50分17秒 | 丹沢の山旅

                           <馬の背付近から富士山を望む>

   泥んこと富士山に春を予感する丹沢;塔ノ岳(今年13回目)
             (単独山行)
           2013年3月6日(水) 晴

■三日月と矢倉岳

 この所,随分と春めいてきた.寒い寒いとは言いながら,朝晩の冷え込みは,大分,和らいでいる.
 今日は久々に塔ノ岳へ出掛けようと思い立つ.この所,甲州道中の旅に出掛けたり,水彩画の方が忙しかったりで,ついつい塔ノ岳の方はお留守になってしまった.そのため,前回塔ノ岳に登ってから1週間近くも経っているので,スタミナが落ちていないかが心配である.
 5時10分,定刻に家を出る,南の空には三日月(正確な呼称は知らないが・・)が輝いている.今日は天気が良さそうである.
 大船駅から5時44分発東海道本線下り電車に乗車する.前回は駅の緊急ボタンを押す板面があって,電車が遅延.結局,渋沢発大倉行の1番バスに間に合わなかった.今日も前回の悪夢が心の中に蘇る.
 “何とか無事に小田原まで行ってくれ~ぃ・・・・!”
 願い通り電車は定刻に小田原駅に到着する.
 …で,例の階段2段跳び乗換も無事成功.小田急電車にやっと間に合う.このときは,もう,
 “はあ,はあ,・・・ぜー.ぜー,・・・”
それこそ青息吐息である.
 辺りはもうすっかり明るくなっている.新松田の手前で,本当に久々に,富士山と矢倉岳が重なる写真を撮ることができた.青い空をバックに真っ白な富士山が輝いて見えている.
 “今日はさい先が良いな・・・”
 私は一人悦に入っている.
 予定通りに,渋沢発大倉行1番バスに乗車する.バスは何時もより空いている.一緒に1番バスに乗車したご常連は,超韋駄天のN村さん,三角髭のTさん,Y川編集長,大三郎さん,M田さん,ホッシーさんなど.
 
<煌々と輝く月>                             <矢倉岳と富士山>

■大倉のネコ
 バスは6時58分に大倉に到着する.
 私が勝手に華伊達美弥雄さんの子どもだと信じている可愛いネコがベンチで日向ぼっこをしている.
 このネコの名前は分からないが,とにかく人懐こくて可愛い.
 「やあ,やあ,お前さん・・元気そうだな・・・」
とネコに話しかけながら,暫くネコと戯れる.

<大倉の可愛いネコ>

■可愛いシカの群れ
 7時05分,たまたま三角髭のTさんと一緒に大倉から歩き出す.途中までは何とかTさんの後を追って歩けるが,堀山の家を過ぎた辺りから,私の登攀速度がガクンと落ちるのは先刻承知の助だが,まあ,当面はご一緒することにする.
 雑談をしながら歩いている内に,今度の土曜日に,大山北尾根に登らないかというお誘いを受ける.参加予定のメンバーを伺うと,ご常連の中でも超健脚組ばかり.私が参加したら足手まといになるなとは思うが,大山北尾根には興味があるので,参加したいなと思っている.
 7時26分に観音茶屋を通過する.私には少し速い速度だが,まあ,この程度なら付いて行ける.
 そろそろ雑事場ノ平に近付く頃,数頭のシカの群れに遭遇する.盛んに新芽を食んでいる.私達が近付いても,全く怖がる気配もない.シカ達は実に可愛い.
 シカは食害やヒルの運び手として忌み嫌われているが,何とか人間と共生できないだろうか.

 
<シカの群れ>

■ご常連と一緒
 私は三角髭のTさんの後ろを歩き続ける.歩きながらTさんが,
 「今日はリュックが重く感じる・・・シンドイ,シンドイ・・」
を繰り返す.私もつられて,
 「シンドイ,シンドイ,・・・」
を繰り返しながら登り続ける.そして,私達より少し前に大倉から歩き出していたM田さん,ホッシーさんに追い付く.
 ここから,暫くの間,ご常連の皆様と一緒に歩き続ける. 

<ご常連と一緒に登る>

■見晴階段
 7時43分,見晴山荘を通過する.そしてすぐに見晴階段へ.
 階段を見上げながら,定点観測用の写真を撮る.私のすぐ先をご常連お一人が登っている.その他の登山者の姿は見えないようである.
 7時59分,一本松を通過する.私は相変わらず三角髭のTさんの後ろに従っている.

<見晴階段>

堀山の尾根からの富士山
 8時14分,駒止茶屋を通過する.大倉から駒止茶屋までの所要時間は1時間09分,すこし遅めである.
 堀山の尾根に入る.登山道の泥が融け始めている.帰りはもの凄い泥んこになりそうである.
 今日は藤山河と手も良く見えている.私のバカタレカメラでも,何とか富士山を撮すことができたようである.

<堀山から富士山を望む>

■萱場平
 8時32分,堀山の家を通過する.
 私は常に自分の年令を意識しながら,歩行ピッチが上がらないように気遣いながら登り続ける.登りながら,
 “今日の私はスタミナ不足だな・・・”
と実感している.
 8時51分,萱場平を通過する.ここで定点観測用の写真を撮る.萱場平の前方には青空が見えている.手許の温度計では気温10℃,実に心地よい気温である.

<萱場平>

■雪交じりの泥んこ道
 萱場平を通過すると,雪交じりのもの凄い泥んこ道になる.帰りが思いやられる.
 萱場平を過ぎて最初の階段を登り切ると,道幅が広くなる.この辺りから凍結した残雪道が続くようになる.
 私は安全のために,4本爪軽アイゼンを装着することにする.
 「私はアイゼンを付けますので,お先にどうぞ・・・」
と三角髭のTさんに言う.
 すると,Tさんだけでなく,遅い足の私に追い付いていた大三郎さん,M田さんが一緒になって,私を追い抜いていく.
 アイゼンを装着して,再びリュックを背負ったときには,Tさん他の皆さんの後ろ姿が,すっかり遠くなり,小さく見えている.私は,皆さんに追い付くのを諦める.同時に,何となく拍子抜けがして,一生懸命に歩こうという気力が消えてしまう.
 “もういいや・・・ウニャウニャ登ろう・・・”
と気抜け登山モードになってしまう.
 
<萱場平付近の泥んこ道>                      <アイゼンを付けている内に皆さんの後ろ姿が小さくなる>

■腑抜けモードで後7分坂を登る
 だらだらと腑抜けモードのまま登り続ける.折角,アイゼンを装着したのに,日陰の階段を過ぎると再び雪のないガレ場になる.アイゼンが邪魔なので,アイゼンを外す.また,ここで時間をロスる.
 腑抜けモードで登り続けて,後7分坂に到着する.階段下から富士山を望む風景をデジカメに収める.今日は正に富士山日和である.

<花立階段登り口から富士山を望む>

■花立山荘
 階段の中腹で,下山してくる超韋駄天のN村さんとすれ違う.相変わらずの超韋駄天振りである.実に羨ましい.
 9時18分,漸く花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は2時間13分.いくら何でも2時間を13分も超過するとは・・・全く遅すぎる.
 山荘前から富士山が,とても良く見えている.広場には昨日か一昨日降ったと思われる残雪がある.

<花立山荘からの富士山>

花立山からの素晴らしい富士山
 花立山に差し掛かる.
 高度が上がるにつれて,素晴らしい風景が広がりはじめる.毎度のことながら,もう,こうなったら,ラップタイムなど,“クソクラエ”である.私は素晴らしい風景を絶え間なくデジカメに収める.

<花立山から鍋割山と稜富士山を望む>


<花立山山頂からの富士山>


<花立山山頂から南アルプスを望む>

■F田さんが追い抜いていく
 花立山山頂で,再びアイゼンを装着する.
 そして,周囲の写真を撮りながら歩き続ける.
 9時38分,馬瀬に向かう途中で,後ろから,突然,
 「おや・・・FHさん・・・」
と声を掛けられる.次のバスで来られたF田さんである.長靴を履いておられる.
 「写真を撮りながら登りますので,お先にどうぞ・・・」
 内心では写真など撮らなくても,到底,F田さんと一緒に歩けるほどの脚力がないのに,
 “何を格好付けて言い分け言っているんだ”
と,もう一人の私が,私を揶揄する.
 “ご尤も…写真など撮らなくても,一緒に歩くなんて,到底,無理だよ”
やるせない気分である.

<馬の背の手前でF田さんに追い抜かれる>

■タップリの残雪
 9時37分,漸く金冷シを通過する.
 もう春だというのに,ここから先はタップリの残雪である.それも,いわゆる“腐れ雪”.タップリ水分を含んだザラメ状の雪である.
 ここ1週間ほどの間に,残雪は確かに減ったが,まだ,大部分の階段は深い雪の中である.
 残雪が多いと歩くのは大変だが,もともと雪国出身の私には,雪道を歩いていると,妙な安堵感を覚える.
 “この残雪,後何週間楽しめるんだろう・・・”
と思いながら登り続ける.

<階段を覆い尽くす残雪>

■塔ノ岳山頂
 9時57分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.
 早速,周囲の展望をデジカメに収めるという日課業務を済ませる.今日の天気は上々.素晴らしい富士山が望める.
 “気分最高!”
 でも,大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間55分も掛かっている.過去のデータを正確に分析しているわけではないが,つい数年前までは2時間20分前後で歩いていたことを思うと,体力の減退は歴然としている.馬齢を重ねれば,これも致し方ないことだとは,十分に分かってはいる.とはいえ,やっぱり一抹の寂しさを禁じ得ない.

<塔ノ岳山頂から富士山を望む>

■山頂は意外に寒い
 写真を撮りながら,塔ノ岳山頂を一回りする.
 山頂のポール裏に取り付けてある寒暖計を覗き込む.今,丁度0℃.無風なので寒さは感じないが,意外に低温なので驚く.

<塔ノ岳山頂の温度計は0℃を示している>

■尊仏山荘
 山頂の儀式を終えて,尊仏山荘に向かう.
 山荘の前には,まだ雪が残っている.山荘の窓から中を覗くと,私とほぼ一緒に大倉を歩き出した常連の皆さんが,もう,何時間も屯しているかのように歓談をしている.
 「やっとご到着…!」
私は,遅参するのが少々恥ずかしいが,こればかりは実力のなせる業,仕方がないことである.
 今日の小屋番は,W田さん.山荘の中は常連ばかり.何時ものように300円也のお茶を所望する.そして,暫くの間,四方山話で花を咲かせる.過去の前歴などとは無関係に皆で話し合える.これが山の知人との会話の醍醐味である.
 “ネクタイを締めて交わす会話と違って,素晴らしいな”
 私は山の知人との会話を通じて,何時も山の素晴らしさ,有り難さを実感している.
 雑談の中で,今度の土曜日に,三角髭のTさんが企画している大山北尾根登山の話が出てくる.話を伺っている内に,是非,私も参加しようという気になっている.一方では,足の遅い私が参加したのでは,皆さんに迷惑が掛けてしまうかなと心配にもなる.
 
<尊仏山荘>                               <尊仏山荘の常連>

山頂付近のシカの群れ
 12時42分,下山を開始する.
 尊仏山荘で雑談していた常連の殆どが一緒に下山し始める.雪山の下山は実に楽しい.4本爪の安物のアイゼンも実に良く利くので,かなりの速度で下山することができる.これがまた楽しいのである.
 山頂から少し下ったところで,シカの群れに遭遇する.実に可愛い.無心の草を食んでいるシカの写真を撮る.

<山頂付近のシカの群れ>

■花立山でアイゼン脱着
 10時58分,花立山山頂でアイゼンを脱着する.
 今日は上天気.素晴らしい眺望が広がっている.特に箱根,伊豆方面の山々が良く見えている.山麓には春霞がうっすらと掛かっている.
 “春だなあ・・・・”
 素晴らしいパノラマを堪能しながら,何回も深呼吸する.

<花立山でアイゼン脱却>

■バスの時間に合わせて
 相変わらず,萱場平と堀山の尾根の泥んこは,まるで田んぼのようである.でも,1週間前に比較すると,チョッピリ泥んこ度は下がっているかな.
 その後も,F田さん,M田さんと一緒に,大倉発12時52分のバスの時間に合わせて,ユックリと下り続ける.途中まで一緒に下山していた大三郎さんは,後7分坂を下山し始めた頃から,どんどん先へ行き,見えなくなる.また,三角髭のTさんとの間も,駒止階段を通過する辺りから開き始めて,だんだんと見えなくなる.
 12時22分,観音茶屋手前の分岐を通過する.このままでは,バスの時間よりかなり早く下山してしまうので,
 “折角なのに勿体ないな~ぁ・・・”
という気分になる.そこで,F田さんとM田さんに,
 “どうぞ先に行って下さい”
とお願いする.
 私は,下山途中で記録してきたメモの不備を整理しながら,ユックリ,ノンビリペースで下山し続ける.そして,12時45分,無事,バス停大倉に到着する.
 ご一緒していた常連の皆様と到着時間に多少の時間差ができたので,水道で余り待たずにゆっくり靴の泥を落とすことができる.
 予定通り,12時52分発のバスに乗車する.
 ところが,途中の信号との折り合いが悪く,渋沢発13時06分小田原行の電車に間に合わない.次の電車は,随分と時間が空いて,13時18分である.小田原でも接続が悪く10分以上も待たされる.さらに大船でもタッチの差で14時32分発のバスに間に合わない.次のバスは14時55分である.
 “仕方がないな,では,コーヒーでも賞味しながら時間つぶしをしよう・・・”
と都合の良い言い訳をして,大船ルミネ1階にあるコーヒーショップに入る.200円也のブレンドコーヒーを賞味している内に,登山の疲れもすっ飛んでしまう.
 “結果良ければ,すべて良し”
 今日もハッピー,ハッピーだった.神仏に感謝.

<200円也のブレンドコーヒー>

 <ラップタイム>

 7:05  大倉歩き出し
 7:26  観音茶屋
 7:43  見晴山荘
 8:14  駒止茶屋
 8:32  堀山の家
 9:18  花立山荘
 9:37  金冷シ
 9:57  塔ノ岳山頂着(0.0℃)
10:41      〃  発
10:54  金冷シ
10:58  花立山(11:01までアイゼン脱着)
11:06  花立山荘
11:33  堀山の家
11:49  駒止茶屋
12:10  見晴山荘
12:26  観音茶屋
12:45  大倉 着

[山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

 ■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発       7:05
  塔ノ岳  着       9:57
  (所要時間)  2時間55分(2.92h)
  水平歩行速度   7.0km/2.92=2.40km/h
  登攀速度    1269m/2.92h=434.6m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発       10:41
  大倉   着       12:45
  (所要時間)  2時間04分(2.07h)
  水平歩行速度     7.0km/2.07h=3.38km/h
  下降速度     1269m/2.07h=613.0m/h
                                    (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2b10baa992e7cc4e8185dd245e316b45
「丹沢の山旅」の次回の記事(大山)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0fab24986945a4ae9e300e6d6dec8192



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