中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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歩いて巡る中山道六十九宿(第8回):第1日目(6);御代田町

2013年07月02日 20時21分57秒 | 中山道六十九宿

                    <中山道69次資料館で雑談>

[改訂版]   歩いて巡る中山道六十九宿(第8回):第1日目(6);御代田町
              (五十三次洛遊会)
          2010年6月12日
 (つづき)

※本稿の初出は2010年6月22日である.
 初稿のルート地図の作り直し,本文の誤字脱字転換ミスの訂正,加除修正,
 推敲を行った

<ルート地図>



<中山道69次資料館>

■ミニチュア版の六十九宿巡り

 15時21分,分去れ常夜灯を通過する.ここで道路はY字型に分岐する.そのY字型の分岐点に中山道六十九次資料館に到着する.
 誰が先に言したというわけではなかったが.
 “ここで一休みしよう…”
 一同,資料館の前の階段付近に,適当に座り込んで,勝手に休憩を取り始める.

<資料館の前で一休み>

■周回散策路
 資料館は三角形の敷地の中に建っている.
 資料館を一回りするように中山道中六十九宿を圧縮した周回散策路が作られている.

 散策路の入口にある小さな太鼓橋がミニチュアの日本橋である.上がりは赤い小さな橋,京都三条大橋である.実に楽しい散策コースである. 

<ミニチュア日本橋>

資料を頂戴する
 この資料館の入場料は500円.僅かばかりの入場料が惜しくて,大半のメンバーが入館しないことにする.そんな中で,リーダーの1人であるOさんが,わざわざ入場料を支払って,入館する.
 私は資料館の入口でチラシを頂戴する.入場料を払ってまで中に入る気はしないので入口だけで引き返す.
 頂戴したチラシには,今一回りした散策路の写真も載っている.



<資料館で頂いたチラシ>

■本を購入
 やがて,Oさんが,資料館から出てくる.
 手に1冊の本を持っている.

   岸本豊著,2007,『新版中山道69次を歩く』信濃毎日新聞社,1700円
である.
 早速,この本を見せて貰う.
 なかなか良い本である.横浜や藤沢,鎌倉辺りの本屋では見たことのない本である.
 「よし!・・私もこの本を買います・・」
 私は,資料館に入る.中に入るには,玄関で下足を脱ぐシステムである.編み上げ靴を脱ぐのは面倒である.私は,入口の土間で,
 「すみませ~ぇ・・ん~・・・!」
と大声で係員を呼ぶ.
 暫くして,楚々とした女性が現れる.そして,奥の方からこの本を玄関まで持ってきて貰う.
 私が本を購入したのを見ていたもう一人の方が,私に引き続いて,同じ本を買い求める.
 僅か5分ほどの間に,同じ本が3冊も売れたことになる.
 この本,これからの旅に大変役立った.素晴らしい本である.

 
<入手した本>

■お茶をご馳走になる
 突然,先ほどの女性が外に現れる.
 「お茶でも入れましょうか・・?」
と親切な提案をしてくれる.
 確かに本は3冊購入したが,入場料を支払って入館したのはOさんだけ(あるいはOさん以外に入館した人が若干居るかも知れないが・・).それなのに,お茶などご馳走になって良いのかな.
 どうも気が引けるが,蒸し暑いので喉が渇いている.遠慮なく馳走になることにする.
 一寸時間が掛かる.5~6分だろうか.
 館内に入っていた女性が,瀬戸物の湯飲みとお茶を持ってくる.お茶は紛れもなく玉露.人肌の温度でねっとりとした素晴らしいお茶である.
 「自宅で飲んでいるお茶より数段美味しいな」
と思ったが,自分の家のお茶がまずいことは悟られたくない.何気ない顔をしながら,美味しいお茶を頂戴する.
 お茶をご馳走になりながら,女性から購入した本の著者の話を伺う.
 この本の著者は徳島県の出身.高校で地理の先生をされていたが,その間,中山道を何回も歩かれた.現在は軽井沢にお住まいである.先生は中山道を歩かれる傍ら,分かりにくいところに「中山道」と書いた小さな立て札を設置し続けているという.言われてみれば,これまで,何回もこの立て札に助けられた.
 15時48分,私たちは資料館を出発する.

<資料館でお茶を馳走になる>

<御代田へ>

■明治道
 私たちは,北国街道と分かれてから,中山道を西北に歩き始める.なだらかな下り坂が続く.往来する自動車の数も,これまでと比較すると極端に少なくなる.
 15時59分,追分と塩名田の方向を示す案内杭の前を通過する.道幅が狭い2車線の道路が続く.道路の中央にセンターラインがない.
 16時04分,前方に,カーブミラーが2基見えはじめる.道路の両側には翠が美しい林が続く.
 二つ目のカーブミラーのところで,右側の野道に入る.道路は舗装されていない.柔らかい土の感触が靴底から伝わってくる.気持ちがよい.道路の両側には手入れの行き届いた野菜畑が続く.やがて,やや急な下り坂になる.
 カーブミラーのところで,左側に分岐した舗装道路は,切通の中を下っている.先ほど購入した資料によると,この左側の道は明治になってから作られた道路のようである.
 野道を先へ進むと,宅地造成地になる.造成地は作られてから,長い間放置されているらしくて,夏草が繁茂している.雑草を踏み分けながら先へ進むと,急斜面の土手に突き当たり,道は途絶える.土手の上から下を見ると,少し無理をして土手を下れば,何とか下りられるが,土手下に建っている民家の敷地内を通らなければ先へ行けないようである.
 一人二人なら,少々失礼して敷地内を通して貰うこともできるが,大人数では気が引ける.そこで,私たちは,元の分岐に戻って,明治道を下ることにする.

<行き止まりになる道>

■大山祇神社
 8分ほど時間ロスをした私たちは,カーブミラーの所まで戻り,切り通しの中の明治道を下る.進行方向右手には,先ほど分け入った高台が続く.そして,切通が終わるところで,先ほど見下ろしていた民家の前を通過する.
 下から見上げると,先ほど建っていたところから土手を下れば,民家の庭先を通らずに,何とか下りられそうなことが分かる・・・が,後の祭り.
 16時33分,大山祇神社に到着する.神社の由来は良く分からないが,資料5によると,以下の通りである.
 「この神社は,しなの鉄道・中軽井沢駅の南約1.5km,軽井沢バイパスの一本南の道路に面して鎮座しています.地図に記載はありません.
 道路脇に石垣が積まれ,その奥が小さな丘になっており,綺麗な社殿が建っています.ご神木は勢いがよく,お隣には小さくて可憐な白やピンクの蕎麦の花が咲く,静かで長閑な風景の中に鎮座する神社でした.
 油井・鳥井原の産土神で,創建は不明,御祭神は大山祇命です.」

<大山祇神社>

■御影石の石碑
 この神社の直ぐ近くの土手に,御影石を磨いて作った石碑が置かれている.石碑には「谷地?右用水竣工記念碑」という刻字がある.「?」の字は私には読めない.
 「この石碑は何だろう・・?」
 気になるが,インターネットで調べても良く分からない.

<何だか分からない石碑>

■御代田一里塚
 16時37分,「御代田の一里塚入口」の案内杭で右折,民家と畑の路地に入る.突き当たりの一里塚に到着する.
 この一里塚は,追分一里塚の次の一里塚である.近くに立っている案内板によると,「中山道は1602年(慶長7年)に整備され,1635年(寛永12年)に改修されるが,この一里塚はその改修以前に構築されたものである」という.
 この一里塚には,隣接する西塚と東塚の二つの塚がある.説明文によると,西塚は直径13メートル,周囲40メートル,高さ5メートル.東塚は直径13メートル,周囲40メートル高さ4.5メートル.共に保存状態は良い.


■心細い気分で中山道を下る
 16時43分,しなの鉄道御代田駅脇のガードを潜る.
 近くの自動販売機で,炭酸飲料を購入して喉を潤す.その間に,Oさんが近くの八百屋で,今日の宿泊ホテル「ルートインコート軽井沢」の所在地を教えて貰う.
 このホテルは御代田町にあるのに「軽井沢」を名乗っている.何となく変だ.
 教えて貰った道もさることながら,同じ場所に行くのならば,少しでも中山道を通っておいた方が良いという判断で,とりあえずは中山道をそのまま南下する.
 緩やかな下り坂が続く.道の両側には田舎風の家屋が続くが,人影は全くない.行き過ぎてしまったのではないかと絶えず不安になりながら歩き続ける.
 その内に,次に宿場町,小田井近くの高圧線鉄塔が見え始める.
 「どうもおかしいな・・確実に行き過ぎているな・・」
と思った途端に,やっと右折する道に到着する.ここで右折.
 道路は大きく弧を描くようにして,これまで下ってきた道を登り返すように,北の方向に進路が変わる.この辺りは新開地らしく,広々とした畑や野原が広がっている.前方には噴煙に煙る浅間連山が衝立のように見えている.
 地図を首っ引きにしながら畑中の道を急ぐ.
 やがて,進行方向右手,つまり西側の畑の彼方にホテルらしい建物が見え始める.目の良い方が,
 「・・建物の上の壁に『ルートイン』って書いてありますよ・・」
と,やっと元気が出た声で言う.
 ガチャ眼の私には字など全く見えない.


<噴煙上がる浅間山>

<ルートインコート軽井沢>

■ホテルにチェックイン
 17時25分,ようやくルートインコート軽井沢に到着する.
 客室が67室,収容人数103人.まわりの風景と比較すると,随分と立派なホテルである(資料6).
 ただ,窓の外は駐車場.目線の高さに自動車が並んで見える.これには参った.カーテンは開けられない.

<ホテルルートインコートの外観>

<ホテルの部屋>

■ホテルの食堂で夕食
 入浴を済ませ,19時過ぎに,ホテル1階の食堂で,全員一緒に夕食を摂る.ホテル周辺には全くお店がないので,ここで食べるしか選択肢はない.
 若者向きの料理なのか,とにかくボリュームがある.食べても食べても減らない感じがする.
 夕食後,暫く歓談してから,就寝.
 
<ホテルの夕食>

<第1日目ラップタイム>

10:12  軽井沢駅歩き出し
10:37  旧軽井沢交差点(出発点)
10:36  六本辻
11:04  軽井沢東部小学校
11:15  庚申塔
11:26  軽井沢歴史民俗資料館/市村記念館(12:06まで見学)
12:29  長倉神社
12:38  土屋本陣
12:45  脇本陣
12:45  かぎもとや(蕎麦屋)(13:25まで昼食)
13:42  くさつ道標
13:43  道祖神
13:56  二十三夜供養塔
14:00  秋葉神社
14:02  馬頭観音#1,#2,#3
14:05  Y字交差点を左へ
14:10  ログハウス
14:14  女街道入口
14:17  遠近(おちこち)神社(14:29まで休憩)
14:32  借宿公民館
14:37  馬頭観音
14:40  草津街道分岐
14:50  追分一里塚
14:55  簿当観世音
14:57  常夜灯
14:58  浅間神社
15:04  堀辰雄文学記念館
15:06  あぶら屋脇本陣
15:08  旧本陣
15:09  高札場
15:12  諏訪神社
15:13  泉洞寺
15:16  枡形の茶屋
15:21  分去れ常夜灯
15:25  中山道六十九宿資料館(15:48まで休憩)
16:33  大山神社
16:37  御代田一里塚
16:43  御代田駅地下道を潜る
17:25  ルートインコート着

[歩行記録]

■水平歩行距離
      15.8km

■累積登攀高度      134m

■累積下降高度      255m

■所要時間休憩時間を含む)
  軽井沢  発     10:12
  ルートイン着      17:25
 (所要時間) 7時間13分(7.22h)

 歩行速度   15.8km/7.22h=2.18km/h

[参考資料]

資料1;岸本豊,2007,『新版中山道69次を歩く』信濃毎日新聞社
資料2;ウエスト・パブリッシング(編),2008,『中山道を歩く旅』山と渓谷社
資料3;今井金吾,1994,『今昔中山道独案内』日本交通公社
資料4;五街道ウォーク事務局,発行年不詳,『ちゃんと歩ける中山道六十七次』五街道ウォーク事務局
資料5:http://5.pro.tok2.com/~tetsuyosie/nagano/index.html
資料6:http://www.route-inn.co.jp/search/hotel/index.php?hotel_id=29
                                       (つづく) 

[加除修正]
2013/7/2  誤字脱字転換ミスの修正,加除訂正, 推敲を行った.
2013/7/3  修正済みの地図と差し替えた.

「中山道六十九宿」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0ecd93aac267528fc3829be3e4cb3002
「中山道六十九宿」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/63eace78a7a2f1043b056d3f86a8db0e  
「中山道六十九宿」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b0fff7ecf75b54c3f443aa58cfa9424e


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