<塔ノ岳山頂からの眺望>
雑談を楽しみながら登る初冬の丹沢;塔ノ岳(今年51回目)
(単独山行)
2011年12月13日(火) 晴
■やっぱり朝出掛けるのは辛い
12月も中旬になると朝晩はさすがに寒い.
昨日から
「今日(12月13日)は,絶対に丹沢へ行くぞ・・・」
と心に固く決めていたものの,いざ当日の朝になると,どうしても決心が鈍る.
3時45分頃,一応,目が覚める.床の中で,丹沢へ行くか,止めるか,暫くの間,迷い続ける.でも,明日14日は天気が下り坂のようだし,その後,少なくとも日曜日まではスケジュールが詰まっている.今日行かないと,天気が心配な明日しか行く日がない.そして遂に決心して,4時に起床する.
山歩きの戦闘服に着替えると,気持ちはもうスッキリする.「登るぞモード」にスイッチが入る.もっとも,戦闘服といっても,靴下以外はほとんどユニクロで仕入れたものだが・・・
家の外に出る.寒い!
沖天には十五夜を過ぎたばかりの月が煌々と輝いている.まだ誰も起きていない街中を近くの駅に急ぐ.
12月も今頃になると,夜が明けるのが極端に遅くなる.小田原駅では未だ真っ暗.
小田原駅の「たった3分乗換ダッシュ」も無事クリア.所定の小田急電車に間に合って,ホッとする.
渋沢発大倉行の1番バスには,韋駄天のTさんとSさん,N女史,山旅スクール6期のN島さんが乗ってくる.バスはほぼ席が埋まるか埋まらないか程度の混雑である.
バスが大倉に到着する頃,やっと朝日が射し始める.
■見晴山荘
例によって,韋駄天組は,バスが大倉に到着すると同時に,もう塔ノ岳を目指して歩き始める.立町の内にバス停周辺の人が少なくなる.
私は最低限の出発準備しかしていないのに,出発がどうしても韋駄天組から10分前後遅くなってしまう.”一体何をしているか”って? 特段,余計なことをしているわけではない.これからの登山に控えて,来ていた防寒具をリュックに収めて,手ぬぐいを出したり,リュックの中の整理をするだけである.それに,軽くストレッチ.
7時11分,ご常連が出発してから11分遅れで,私もようやく大倉から歩き出す.それでも,まだ,大倉でグズグズしている人が居るので,私が完全にビリというわけではないが,まあ,とにかく遅いスタートである.私の前方には,登山者が転々と連なっている.
やがて登山道に入る.足許はとても良く乾いている.今昇ったばかりの太陽の光が,森の梢で光っている.とても気持ちの良い朝である.
歩き出しても,何となく寒いので,身体を温めようとして,どうしても少々オーバーペースになる.このままでは,山頂まで持たないので,途中からほどほどの速度にペースダウンする.
7時46分,見晴山荘を通過する.前方の急坂を見上げると,中腹辺りに,同じバスに乗っていた山旅スクールのN島さんの後ろ姿が見えている.
急坂を登り終えて,モミジ坂に差し掛かる.もう,紅葉の見頃は過ぎているが,まだ紅葉が美しい木も沢山ある.
モミジ坂入り口の木道で,N嶋さんに追い付く.一言二言お話をした後,それぞれ自前の速度で昇ることにして,先へ行かせて貰う.
■富士山が良く見える
8時15分,ようやく駒止山荘を通過する,ここまでの大倉からの所要時間は1時間04分.この頃の私の標準時間である.
すぐに堀山の尾根に入る.つい3日ほど前の土曜日に昇ったときは,この辺りは雪景色だったが,今日は雪は全くない.路面は沢山の足跡の凹凸がそのまま凍結している・とても歩きにくい.
ただ,上空には気持ちの良い青空が広がっていて,富士山がすっきりと見えている.ここで定番の写真タイム,何枚かの富士山の写真を撮る.土曜日に富士山を見たときは,山麓まで真っ白だったが,今日は8合目当たりまでの雪はすっかり融けている.
<今日の富士山>
■萱場平
8時32分,堀山の家を通過する.小草平からも富士山が良く見えている.
すぐに,萱場平までの急坂に差し掛かる.大柄な男性が,
「後,2.8キロメートルですか・・・」
と言いながら,私を追い越していく.
堀山の家から16分で戸沢分岐を通過する.私の平常の速度である.私は心の中で,汗をかかないで登るには,こんなところが妥当かなと思いながら通過する.
萱場平では定番の写真を撮る.木道の間に生えている大きなアザミも,さすがに枯れている.
萱場平を通過して,階段道に差し掛かるところで,下ってくるご常連のY沢さんとすれ違う.
「こんにちは・・」
と挨拶をしただけで,「ダ,ダ,ダ,・・」と駆け下りていく.
<萱場平>
■ご常連Kシゲさん
背後から柔らかな冬の光を浴びながら,心地よい気分で山道を味わいながら登り続ける.登りながら,山は本当に良いなと実感している.
良い気分で登っていると,上の方から,いきなり,
「やあ,FHさん・・・暫く振りだね・・」
と言いながら,Kシゲさんが降りてくる.
Kシゲさんとは久々のご対面である.
「私,この頃,余り登っていないんでね・・・」
とKシゲさんが言う.でも,伺うと是まで週に3回のペースで登っていて,年回優に100回を越えているという.ちなみに,私は,今回でやっと51回目.Kシゲさんは私とは格が違う.
「今日は天気が良いので,山頂からスカイツリーも見えましたよ・・」
「ところで,馬の背の辺り,まだ雪が残っていますか?」
「ま,ところどころ残っているけど,登山道にはもうほとんど残っていないよ.全然心配ないですよ・・」
ここで,10分ほど,Kシゲさんと立ち話を楽しむ.
こうして,ご常連の方々と雑談をするのも,楽しみの一つである.
<Kシゲさんが下る>
■後7分坂
Kシゲさんとお別れしてすぐに,後7分坂に到着する.立ち話をしていたので,すっかり体力が回復している.後7分坂を登り始めても,全く疲労感はない.坂を3分の1ほど登ったところで,下山してくる超韋駄天のN村さんとすれ違う.Kシゲさんと立ち話した時間差だけ下の方ですれ違っている.ほんの,二言三言,立ち話をする.
「随分と,(所要時間が)正確ですね・・・」
「いやぁ~,・・この頃,疲れていて・・」
「では,また」
でお別れする.
序でに後の風景を眺める.日の光を反射して光る相模湾が実に見事である.
<後7分坂>
■花立山荘前で韋駄天のSさんと雑談
何時もなら,後7分坂を登り切る頃,韋駄天のSさんとすれ違うはずである.ところが,今日は姿を現さない.
「おかしいな・・・」
と思いながら,少し登る速度を落とそうかななどと,妙なことを考えるが,結局は何時ものように,7分掛けて登って,9時16分に花立山荘に到着する.
山荘前から富士山の写真を撮ろうとして,カメラを構える.すると,ベンチに韋駄天のSさんが座っているのに気がつく.ただし,写真は失敗.
「この頃,ここで座って風景を眺めるのが習慣になってしまって・・・」
とSさんがいう.
私もSさんの側に立ったまま,5~6分,雑談を楽しむ.
9時21分,Sさんとお別れして,花立山荘を出発する.
大倉を歩き出してから,花立山荘までの今日の所要時間は,2時間05分であった.2時間を切れなかったが,Kシゲさんとの楽しい会話の10分があるので,実質は2時間を数分切っていることになる.私は今日の自分の体力に満足している.
<花立山荘からの富士山:下山時撮影>
■塔ノ岳山頂
花立山で,例によって,富士山と南アルプスの写真を撮る.今日も素晴らしい眺望が楽しめる.
Kシゲさんが言っていたように,馬の背の下り坂2箇所も根雪の上に,歩行者が踏みつけた土砂が付いていて,滑る心配は全くない.
初冬の凛とした風景をデジカメに収めながら,満ち足りた気分で登り続ける.
しかし,金冷シを過ぎて,最初の階段道が終わる頃から,韋駄天のTさんとすれ違わないのが気になり始める.何かあったのだろうか? 気にしながらも登り続けて,9時50分に塔ノ岳山頂に到着する.
大倉から山頂までの所要時間は2時間40分.途中,何人かのご常連と雑談していたので,まあこんなものだろうとは思うが,もう少し速く歩けるようになりたいものである.
例によって,山頂からの写真を一通り撮る.山頂の気温は1.5℃.寒い.
そろそろ尊仏山荘に入ろうとすると,3人の男性グループから,カメラのシャッターを押してくれと依頼される,もちろん,承諾するが寒くて堪らない.
<塔ノ岳山頂から富士山・南アルプスを望む>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.室内は暖かい.入った途端に眼鏡に水蒸気が結露して,良く見えなくなる.数名の先客が居る.
「あら・・FHさん・・・」
と女性の声がする.眼鏡の水滴を拭う.客室の奥の方に,ご常連のN村さんと,韋駄天のTさんが居る.入口付近の客席には,若い男性グループが居る.
今日の小屋番は,W田さん.早速,300円也のお茶を所望.
「FHさんが,1番バスに乗っていたのには気がつかなかったです・・」
とN村さんが言う.
「今日,N村さんは2時間15分で登られましたよ・・・」
と韋駄天のTさんが披露する.
そのとき,どこからともなく,ネコのミー君が足許に現れる.慌てて写真を撮ろうとすると,ミー君はギャラップで2階に駆け上って行ってしまう.
10時少し過ぎに,N村さんと韋駄天のTさんが下山を開始する.
私は1人残り,お茶を賞味しながら,早めの昼食を摂る.山荘には若手登山者2人と私の3人だけ.静かな時が流れる.
W田さんが,
「ミーにも少し営業をさせましょう・・・」
と言いながら,2階で昼寝をしているミー君を呼びに行く.
「これ,マタタビですよ・・」
と私に説明しながら,ストーブの側に,マタタビを置く.
ミー君もネコである.マタタビにほんの一寸興味を示して,マタタビを嗅いだり囓ったりする.その姿を写真に収めて,私も悦に入っている.
<ミー君とマタタビ>
■下山開始
10時15分,私も下山を開始する.少し急げば大倉発12時22分のバスに十分間に合うが,そんなに急いで何処へ行くである.最初から,12時55分のバスに乗ることに決めて,ユックリと下山を開始する.
何時の間にか,山頂は沢山の登山客で賑わっている.
冷たい風が吹いていて,やけに寒い.
■山旅スクール8期の方とバッタリ
花立山荘を過ぎて,萱場平に向かう途中で,山旅スクール8期の女性とすれ違う.物忘れがひどい私は,この女性の名前をど忘れしている(最初から覚えられなかったのかな).
「やあ,暫く振りですね・・・」
とお互いに挨拶する.
伺うところによると,山を良くガイドしてくれる男性が居るので,北アルプスをはじめとして,南アルプス,東北地方の山々にも足繁く出掛けているようである.
「FHさん,今年は,海外,何処へ行かれましたか・・」
「まあ,(かくかくしかじかで),○○を一回りしてきましたが・・・現役時代と違って手許不如意で・・・」
「良く言うよ・・・そんなことないでしょう・・・」
で,10分ほど雑談.
「じゃあ,お互いに元気で過ごしましょう・・」
でお別れする.
■小太りの男性と雑談
堀山の家に近付く頃,下から登ってくる小太りの男性に話しかけられる.
「先ほどご常連という3人の女性とすれ違いましたが,皆,太っていましたが,常連の方でも太っているんでしょうか・・・」
と真剣に質問してくる.
「私も常連の端くれですが・・・私の知っている限りの常連さんで,そんなに太っている人は居ませんよ・・・」
問われるままに,私が山をはじめる前には,今より10キログラムも体重が多かったことや,山登りを始めてからは,まあ,まあ,健康に過ごしていることなどをお話しする.
その内に年齢の話になる.私が○十歳近いことを話すと,彼はビックリする.
「え~っ・・え~から・・・○十九歳! 私のジイチャンと同じ年です、ジイチャン,腰が曲がって,殆ど歩けないです・・・」
「いや・・それは・・人それぞれ.ただ,山歩きを楽しんでいると,目に見えて体力が衰えることはないですよ・・・」
「どの位登っておられるんですか・・・」
「私の場合,塔ノ岳には,年に50~60回・・・」
「えっ!・・・ええ~っ! 年に50回も・・・ですか?」
「常連さんには,年に200回,300回の方も,何人も居られますよ.それに○十歳ぐらいの方も沢山居られますよ・・」
「丹沢の檜洞丸へ行きましたが,あそこ,丹沢で一番厳しい山でしょう?」
私は何て答えたらよいか困惑する.
「もっと厳しいところあるんですか・・・その山の名前教えてください」
私は,この辺りで,雑談を終わりにしようと思う.
「今日,尊仏山荘に立ち寄りますか? 今日の小屋番はW田さんという方です.『ネコの写真を撮りに登ってくる年配のじいさん』と聞けば,私のことはすぐ分かると思いますよ」
とお話ししてお別れする.
<山麓の紅葉>
■気分最高
予定通り,12時46分にバス停大倉に到着する.12時52分のバスに乗った登山客は私だけ.バスは終始空いていた.
14時半を少し廻った頃,帰宅.
少々早い時間に,熱めの風呂にユックリ浸かる.気分最高.
やっぱり,山は良いなと実感する.
今年中に,あと2~3回は塔ノ岳に登りたいなと思っている.
<ラップタイム>
7:11 大倉歩き出し
7:29 観音茶屋
7:46 見晴茶屋
8:15 駒止茶屋(8.0℃)
8:32 堀山の家
※花立山荘手前でK重さんと10分雑談)
※後7分坂でN村(弟)さんと立ち話
9:16 花立山荘(9:21まで韋駄天のS藤さんと雑談)
9:36 金冷シ
9:51 塔ノ岳山頂着(1.5℃)
10:15 〃 発
10:23 金冷シ
10:41 花立山荘
※山旅スクール5期Xさんと10分ほど立ち話
※すれ違った登山者と10分ほど立ち話
11:33 堀山の家
11:50 駒止茶屋
12:14 見晴茶屋
12:27 観音茶屋 ↓
12:46 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:11
塔ノ岳 着 9:51
(所要時間) 2時間40分(2.67h)
水平歩行速度 7.0km/2.67h=2.62km/h
登攀速度 1269m/2.67h=475.3m/h
■下降所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳 発 10:15
大倉 着 12:46
(所要時間) 2時間31分(2.52h)
水平歩行速度 7.0km/2.52h=2.78km/h
下降速度 1269m/2.52h=503.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/03df7e232aa6487f520fd1d3fcf7bfc9
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e48a7e815df25571c96b4bc658240393
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