雄大なナウルホエ山
2006年1月29日(日) その1
<<トンガリロクロッシングを行く>>
夜半,少々暑苦しかったが,まあまあよく眠れた。
6時丁度にモーニングコールがある。すぐ起きて荷物の整理をする。窓外には霧が立ち込めている。その霧が時々薄くなって,山肌が一瞬見えて,また霧の中に消えてしまう。
6:30,グランドフロアーのレストランへ行く。朝食はバイキングである。昨夜とほぼ同じ席に座る。太りすぎると困るなと思いながら,お皿を抱えて何を食べるかを慎重に選ぶ。食パン2枚をパン焼き器に入れて,焼き上がるのを待つ。そのとき日焼けした白人女性が私に,
「・・・貴方も7:30のバスに乗るんですか・・?」
と話しかけてくる。
「・・いえ,私達はグループで登山しています・・・」
と答える。
私の朝食は,トマト2切,チーズ2片,ソーセージ2個,リンゴの煮物若干,オートミール,ヨーグルト,パン2片,コーヒーで済ませる。例によって,食べる前にスケッチをして,写真を撮るという儀式をする。これが結構焦れったい。それにもかかわらず,早飯食いの私は,先に食べ始めた他の人よりも早く朝食を済ませてしまう。
7:00,朝食を済ませて,一旦部屋へ戻る。リュックへ入れるものを再点検する。そしてトイレ。どうも通じが悪いが仕方がない。
7:30,私は,同室のTさんよりも一足先に,ロビーへ降りる。あたりをキョロキョロと見回す。ホテル入口近くの壁に,トンガリロ付近の地図が貼ってある。分かりやすい地図である。早速,フロントへ行って,
「あの壁に貼ってある地図,ここで売っていないか?」
と聞いてみる。売っていないと断られる。
再びロビーへ戻り,一番窓際に近い椅子に座って,雲間に広がるナウルホエ山か,タラナキ山の山麓が見える。あまりに美しい風景なので,椅子に座ったまま大急ぎでスケッチする。
7:56,ホテル入口でランチボックスを受け取ってから,チャーターバスに乗車する。私達は10名の旅だが,その10名に,なんとガイドが4名も付いている。どうやら私達の宿泊するホテルは,ガイド付きということらしい。
私達を乗せたバスは,北の方向にフルスピードで走る。広々とした裾野が広がっている。8:05,草原のど真ん中でバスが停まる。辺りは火山流の跡が残る草原である。朝靄が立ち込めている。ここで,ガイドの1人が合流する。そして,すぐに発車する。
8:15,トンガリロクロッシングの出発点に到着する。私達以外にも沢山の登山客が集まっている。バスも何台か停まっている。どうやら日本人は私達以外には見当たらないようである。出発点に小さな小屋が建っている。私達のガイドは,こんな小屋を無視して素っ気なく通り過ぎる。私達もガイドの後を追って何となく歩き出す。歩き出しの標高は,私の高度計では1,115メートルである。傍らに「トンガリロクロッシングトラック」と書いた立て看板が立っている。濃緑の下地に黄色で文字が書かれている。看板のデザインは,ルートバーンやミルフォードサウンドの案内板と同じようである。
広々とした山麓の中をトレッキングルートは続く。緩い傾斜の上り道である。私には植物のことは分からないが,道の両側にはニュージーランド固有の植物が自生している。
ガイドが,
「ここをご覧。この花,かわいいだろう・・・」
という。道の傍らにスコティッシュフェザー(正確かどうか分からない)が沢山の小さな紫色の花を咲かせている。
9:03,小休止する。先頭を切って歩いていたマオリ酋長さんが汗ビッショリになっている。2分ほど経ち休憩の後,すぐに歩き出す。先頭のガイドはでっぷりと太ったスコッティさんである。太鼓腹を抱えながら実に快調に飛ばす。その後を,何時も最初だけ快調なマオリ酋長さんが,凄い勢いで付いていく。そして真っ先に汗だくになる。これがいつものパターンである。
9:05,道はやがて小川に沿うようになる。川沿いの少し急な坂道を登ると見通しの利く河原に出た(9:20)。この辺りから長い木道が続く。木道の板の表面に金網が打ち付けてある。これならば木道が雨に濡れても滑る心配がない。浅い谷沿いの散歩道である。
歩いていて大変気分がよい。
9:30,標高1,300メートルの地点で再び5分間の小休止である。どうやら今回のガイドは,急ピッチで歩いて小刻みに休憩を取る歩き方をするようである。私達が登山学校で習った歩き方は,ゆっくりと小1時間歩いて,5分程度の休憩を取るのを1ピッチとして繰り返すやりかただったが,ここではどうやら違うようである。
広い谷間の平原を進むと,やがて目の前に私達を囲むように山並みが迫ってくる。進行方向右手,つまり南南東の方向にナウルホエ山(Mt. Ngauruhoe,2287m)が大きく迫ってくる。コニーデ形の浅間山に似た姿の山である。草木は1本もなく綱領とした岩礫が累々と山頂まで続いている。
反対側,つまり北北東の方向に,明日登るトンガリロ山(Mt. Tongariro, 1967m)が見えるはずだが,山麓が見えるだけで山頂は雲の中である。
平原のどん詰まりにトイレ小屋が見える。数名の人がトイレ待ちをしているのが見える。
9:44,トイレ前に到着する。ここで小休止する。
私達数名は,トイレから離れたところに立って,まるで月面のような荒涼とした荒々しい辺りの光景に見入っている。すると,白人の女性が,
「皆さんトイレに並んで居るんですか?」
と聞く。私は驚いて,
「いえ,いえ,違います。周りを見ているだけです」
と言って,立っている場所を移動する。
(第6回おわり)
2006年1月29日(日) その1
<<トンガリロクロッシングを行く>>
夜半,少々暑苦しかったが,まあまあよく眠れた。
6時丁度にモーニングコールがある。すぐ起きて荷物の整理をする。窓外には霧が立ち込めている。その霧が時々薄くなって,山肌が一瞬見えて,また霧の中に消えてしまう。
6:30,グランドフロアーのレストランへ行く。朝食はバイキングである。昨夜とほぼ同じ席に座る。太りすぎると困るなと思いながら,お皿を抱えて何を食べるかを慎重に選ぶ。食パン2枚をパン焼き器に入れて,焼き上がるのを待つ。そのとき日焼けした白人女性が私に,
「・・・貴方も7:30のバスに乗るんですか・・?」
と話しかけてくる。
「・・いえ,私達はグループで登山しています・・・」
と答える。
私の朝食は,トマト2切,チーズ2片,ソーセージ2個,リンゴの煮物若干,オートミール,ヨーグルト,パン2片,コーヒーで済ませる。例によって,食べる前にスケッチをして,写真を撮るという儀式をする。これが結構焦れったい。それにもかかわらず,早飯食いの私は,先に食べ始めた他の人よりも早く朝食を済ませてしまう。
7:00,朝食を済ませて,一旦部屋へ戻る。リュックへ入れるものを再点検する。そしてトイレ。どうも通じが悪いが仕方がない。
7:30,私は,同室のTさんよりも一足先に,ロビーへ降りる。あたりをキョロキョロと見回す。ホテル入口近くの壁に,トンガリロ付近の地図が貼ってある。分かりやすい地図である。早速,フロントへ行って,
「あの壁に貼ってある地図,ここで売っていないか?」
と聞いてみる。売っていないと断られる。
再びロビーへ戻り,一番窓際に近い椅子に座って,雲間に広がるナウルホエ山か,タラナキ山の山麓が見える。あまりに美しい風景なので,椅子に座ったまま大急ぎでスケッチする。
7:56,ホテル入口でランチボックスを受け取ってから,チャーターバスに乗車する。私達は10名の旅だが,その10名に,なんとガイドが4名も付いている。どうやら私達の宿泊するホテルは,ガイド付きということらしい。
私達を乗せたバスは,北の方向にフルスピードで走る。広々とした裾野が広がっている。8:05,草原のど真ん中でバスが停まる。辺りは火山流の跡が残る草原である。朝靄が立ち込めている。ここで,ガイドの1人が合流する。そして,すぐに発車する。
8:15,トンガリロクロッシングの出発点に到着する。私達以外にも沢山の登山客が集まっている。バスも何台か停まっている。どうやら日本人は私達以外には見当たらないようである。出発点に小さな小屋が建っている。私達のガイドは,こんな小屋を無視して素っ気なく通り過ぎる。私達もガイドの後を追って何となく歩き出す。歩き出しの標高は,私の高度計では1,115メートルである。傍らに「トンガリロクロッシングトラック」と書いた立て看板が立っている。濃緑の下地に黄色で文字が書かれている。看板のデザインは,ルートバーンやミルフォードサウンドの案内板と同じようである。
広々とした山麓の中をトレッキングルートは続く。緩い傾斜の上り道である。私には植物のことは分からないが,道の両側にはニュージーランド固有の植物が自生している。
ガイドが,
「ここをご覧。この花,かわいいだろう・・・」
という。道の傍らにスコティッシュフェザー(正確かどうか分からない)が沢山の小さな紫色の花を咲かせている。
9:03,小休止する。先頭を切って歩いていたマオリ酋長さんが汗ビッショリになっている。2分ほど経ち休憩の後,すぐに歩き出す。先頭のガイドはでっぷりと太ったスコッティさんである。太鼓腹を抱えながら実に快調に飛ばす。その後を,何時も最初だけ快調なマオリ酋長さんが,凄い勢いで付いていく。そして真っ先に汗だくになる。これがいつものパターンである。
9:05,道はやがて小川に沿うようになる。川沿いの少し急な坂道を登ると見通しの利く河原に出た(9:20)。この辺りから長い木道が続く。木道の板の表面に金網が打ち付けてある。これならば木道が雨に濡れても滑る心配がない。浅い谷沿いの散歩道である。
歩いていて大変気分がよい。
9:30,標高1,300メートルの地点で再び5分間の小休止である。どうやら今回のガイドは,急ピッチで歩いて小刻みに休憩を取る歩き方をするようである。私達が登山学校で習った歩き方は,ゆっくりと小1時間歩いて,5分程度の休憩を取るのを1ピッチとして繰り返すやりかただったが,ここではどうやら違うようである。
広い谷間の平原を進むと,やがて目の前に私達を囲むように山並みが迫ってくる。進行方向右手,つまり南南東の方向にナウルホエ山(Mt. Ngauruhoe,2287m)が大きく迫ってくる。コニーデ形の浅間山に似た姿の山である。草木は1本もなく綱領とした岩礫が累々と山頂まで続いている。
反対側,つまり北北東の方向に,明日登るトンガリロ山(Mt. Tongariro, 1967m)が見えるはずだが,山麓が見えるだけで山頂は雲の中である。
平原のどん詰まりにトイレ小屋が見える。数名の人がトイレ待ちをしているのが見える。
9:44,トイレ前に到着する。ここで小休止する。
私達数名は,トイレから離れたところに立って,まるで月面のような荒涼とした荒々しい辺りの光景に見入っている。すると,白人の女性が,
「皆さんトイレに並んで居るんですか?」
と聞く。私は驚いて,
「いえ,いえ,違います。周りを見ているだけです」
と言って,立っている場所を移動する。
(第6回おわり)
今回のご旅行ではご縁がなかったようですが、現地でのトレッキングガイドをしておりますdaimといいます。
このエリアのこと、いろいろと書き込んでおります。気楽に読める記事ばかりだと思います。
よかったら遊びに来てください。
おっと、我が敬愛するdaimさんがお見えです!(これまた感激です!)
いいなあ~・・・
ところで、
今日は非関連記事、TBさせてください。
TBいたしま~す。
とりあえずテキストだけでも,どんどんとアップしますので,ご高覧頂ければ幸いです。