中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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雪・雪・雪の丹沢:塔ノ岳(今年6回目)(1)

2010年02月14日 23時10分31秒 | 丹沢の山旅
                     <雪の登山口>

        雪・雪・雪の丹沢:塔ノ岳(今年6回目)(1)
             (単独山行)
         2010年2月14日(日)

■寒いな~ぁ・・・
 昨日から,“日曜日は塔ノ岳へ行こう”と思っていた.月額315円の天気予報でピンポイントの予報を見ると,日曜日は午前1~2時頃まで雪,そのあと6時頃まで曇,そして7時頃からはずっと晴れと言う御託宣である.ならば,もう丹沢へ出かけるしかない.
 早朝3時30 分頃,スッキリと目が覚める.でも,平素から暖房を使っていない私の寝室は,折からの寒波で,とにかく寒い.目覚めているのに,温かい寝具から起き出す勇気がなかなか湧いてこない.私は,頭の中で「行く,行かない,行く,行かない,・・・」を何十回と繰り返す.
 やがて4時になる.私は,行く,行かないは別にして,とにかく起床しようと心に決める.そして“えい,やぁ~・・”で布団から出る.そして,昨夜のうちに用意しておいた登山用の衣服に着替える.
 すると,妙なもので,服装が整うと,全く迷いがなくなり,
 「よし!・・行くぞ」
という気持ちになるから不思議である.
 5時10分,家を出る.夜露で濡れた路面が街灯の明かりで光っている.とにかく寒い.
 5時20分,自宅から最寄りの駅に到着する.駅には,煌々と照明が灯っているが,誰もいない.何時もならば,5~6人の乗客が居るのに・・
 私は時間を間違えたかなと不安になり,時計を見る.間違っていない.確かに5時20分である.やがて,初電が到着する.結局,この駅からは私1人だけ乗車する.

■雪化粧した大倉の集落
 渋沢発大倉行の一番バスは沢山の登山客で大混雑.座れないばかりかギュウギュウである.K女史,K大N氏など数名のご常連の顔が見える.K大N氏と雑談をしているうちに大倉に到着する.今日は,珍しく韋駄天のTさんの姿が見えない.何時も居られる方の姿がないと何となく落ち着かない.
 例によって,大倉でモタモタしているうちに,出発時間が遅れるが,軽くストレッチをして,7時09分に歩き出す.
 今日は,珍しく大倉付近にも雪が積もっている.多分,今朝方降った雪だろう.これまで,何回となく大倉を訪れているが,こんなに美しく雪化粧をした風景を見るのは初めて.私はカメラを取り出して,雪の大倉の写真を撮りまくる.

<雪の大倉:バス停付近>

■K大N氏と雑談しながら・・
 登山口付近で,私より少し早く歩き出したK大N氏に追い付く.K大N氏とお会いするのは久々のことなので,暫くの間,よもやま話をしながら,一緒に歩く
 「そういえば,2~3年前に,尊仏山荘のネコを『営業部長だ』って命名しましたね.ところがこの頃有名になり,営業本部長って言っている人も居るようですね・・・」
 「本当に・・・私のブログを見た人から,ネコのコメントが時々来ますよ・・ところで,最近も土曜日に登っておられるんですか?」
 「ええ・・・先週の土曜日(2月6日)は,風が強くて,大変でしたよ.金冷シから先は立って入れないほど,強い風でした・・・」
 「今日は麓から雪で綺麗ですね.滅多にこんな景色は見られないので.今日は,私もゆっくり写真を撮りながら登りますよ・・」
 その内に,登山速度の話になる.
 「歩く速さっておかしなものですね,歩行時間を1分縮めるのも大変ですが,逆に5分遅くしたからといって,それほど楽になるわけでもないですね・・」
 「そう!・・自分の巡航速度ってあるんですよ・・・」
 K大N氏は,うまいことを言う.私は,頭の中で,
 「なるほど巡航速度か・・良い言葉だな」
と感心する.
 
<雪の林道>


<見晴山荘>


<最初の急坂>


<一本松付近>

■軽アイゼンを履いて・・
 観音茶屋付近で,K大N氏とお別れして,先へ行かせてもらう.とはいっても,そう簡単に巡航速度を上げるわけにはいかない.
 今日は登山道に入ってすぐに雪道になる.見晴山荘まではノーアイゼンで登ったが,ここから先の急坂に差し掛かるところで.安全のために4本爪アイゼンを靴に装着する.
 ここの急坂は何回登ってもきつい.私は坂道を登りながら,今日は何だか身体が重い感じがする.私は絶対に無理はしないぞと自分に言い聞かせる.
 踏み固められた残雪が階段の法面にベッタリと残っている.やっぱり,アイゼンを装着して良かったなと思いながら登り続ける.
 それにしても,今日の雪景色は見事である.登山道の両側の木々の枝には,新雪がべったりと残っている.風はほとんど吹いていないが,木の枝の残雪がキラキラと光りながら舞い降りてくる.時々,ドスンと雪の塊が落ちてくる.雪が頸筋に落ち込むと,とにかく冷たい.私は雪が頸筋に入らないように,首を縮めてモタモタと登り続ける.
 アイゼンを装着しているものの,足許が安定しないので,なかなか迅速には登れない.ここで滑って怪我でもしたら大変なので,私は,
 「もう時間などいくら掛っても構わない.とにかく安全に登ろう」
と自分自身に,くどくどと言い聞かせる.それにも関らず,足にだんだんと疲労が貯まり始める.
 8時28分,ようやく駒止茶屋に到着する.大倉を歩き出してから,すでに1時間09分経過している.遅い.でもこの雪では仕方がないなと自分で納得する.

<寒々とした表尾根>

■大分体力がなくなっている
 やがて堀山の尾根道に入る.雪がべったり残っている.当然,歩行速度は上がらない.雪を乗せた枯れ枝の間から,真っ白な三ノ塔が見えている.凛とした素晴らしい風景である.私は,ここで沢山の写真を撮りまくる.でも反対側を見ると,晴れていれば素晴らしい富士山が見えるはずだが,今日は厚い雪雲に覆われていて,近場の丹沢の山々以外には全く見えない.
 新雪が降り積もっている登山道を辿って,8時38分に堀山を通過する.何時もならここからの下り坂で,歩行ピッチを上げて時間を稼いでいるが,今日はその気にならない.その理由は,足許の新雪が幾分深く降り積もっているので,雪の下の道路の段差がはっきり分からない.それに,こちらの方が本音かもしれないが,前回,塔ノ岳に登ってから,10日のブランクがある.その間に,足腰が大分弱っているような気がしている.
 歩き出してから,もう数名の若者に追い越されている.それでも,こんなにユックリにしか歩けないのに,逆に何人かの登山者を追い抜いている.
 登山を始めたころ,自分が苦しいときは,周りの人も苦しいに違いないと思い込んでいたが,今はそれが完全な間違いなことに気が付いている.私が苦労して登っているのに,後ろからスイスイと追い越していく方々の足取りは,何とも軽やかである.逆に平素山道をあまり歩いていない方々ご一緒に歩いていると,私でも実に余裕があって,いくら歩いてもほとんど疲れないことを何度も経験している.
 そんなことを,ふと考えながら登り続ける.でも,さきほどK大N氏との雑談で,自分の巡航速度より遅く歩いても疲れは同じだと言っていたことと,矛盾していることに気がつく.
 「さてどっちが本当だろうか?・・・でも,どっちも本当だ!」
私の頭は少々混乱するが,どっちでもいいやという結論になる.

<富士山が見えるはずだが・・> 

■X氏に追い付かれる
 8時48分に堀山の家を通過する.今日は日曜日.まだ朝が早いのに,小屋の中からラジオの音が漏れている.泊まり客でも居るのだろうか.
 先ほど私を追い抜いて行った男性が,小草平のベンチで休憩を取っている.
 ガレた坂道に差し掛かる.アイゼンが石に当たってガリガリと音を立てる.相変わらず写真を撮りながらの登りである.もうユックリ歩く惰性が付いているので,速度を上げようにも上がらない.ユックリ,ダラダラと登り続ける.
 戸沢分岐までの階段は,半分雪に埋まっている.足許が不安定である.こんなところで怪我をしたらつまらないなと思うと,張りつめた気分もだれてくる.
 9時08分,戸沢分岐に到着する.ここで何時の間にか私のすぐ後ろから来られたご常連X氏にいきなり声を掛けられる.私より1本後のバスで来られたのに,もう追い付かれてしまう.X氏とは何カ月ぶりかでお会いしたが,私のブログを読まれているようである.
 「FHさんは,4日に(塔ノ岳に)登られたようですが,私は3日に登りましたよ.大分雪がありましたが,4日も雪があったでしょう・・・」
 「4日も雪が綺麗でした・・」
 「雪だと,さすがのFHさんも3時間07分も掛ったんだなと思っていましたよ・・」

■雪の萱場平
 9時10分に萱場平を通過する.萱場平の木道が完成したので,随分と歩きやすくなった.私は,暫くの間,X氏の後に続いて歩いていたが,急にピッチを上げるのも辛いし,折角の雪景色なので,写真も撮りたかったので,後からユックリ登ることにする・・・というのは言い訳で,今日の私の体調では,とてもご一緒できない.
 私は気が抜けたように歩行速度を落とす.途端に,X氏との間がドンドンと開いてしまう.

<雪の萱場平> 

■長い階段にウンザリ
 9時27分,「あと7分階段」の下に到着する.目の前には半ば雪に覆われた階段道がウンザリとするほど続いている.例によって私は,
 「後7分,後7分,・・・」
と呪文のように頭の中で繰り返しながら登り続ける.今日は,ため息が出るほど,階段が長く感じる.
 9時37分に,ようやく花立山荘に到着する.結局,通常は7分で通過する階段を,9分も掛ってしまった.
 階段で私を追い越して行った男性が,山荘前のベンチで休憩を取っている.

<長い階段にウンザリ>

■花立山の素晴らしい展望
 私は,のろのろと花立山荘を通過して,花立山山頂へ向かう.ここは晴れていれば見晴らしの良いところだが,今日はあいにくの曇り空で遠目が利かない.花立山荘から花立山山頂までは,7~8分で歩けるところだが,今日は9分も掛っている.
 花立山山頂から周囲を見回す.
 眼下には秦野市内から相模湾が良く見えている.綿を引きちぎったような雲が,点々と浮かんでいる.その向こうに,少し霞んだ海が見えている.相変わらず富士山は見えないが,素晴らしい展望である.近場の鍋割山稜や表尾根の山々も,新雪で覆われ,厳しい風景になっている.ここでもまた数枚の写真を撮る.

<花立山荘:富士山は雲の中>

■樹氷の中で
 9時55分,金冷シを通過する.何時もなら,尊仏山荘で休憩を終えて,そろそろ下山を開始する時間である.でも,ここまで来れば,塔ノ岳山頂は間近である.遅かれ早かれせいぜい2~3分の差しかない.私は遅れついでに,雪景色を堪能しながら登り続ける.
 山頂直下の木製の階段に差し掛かる.雪の重みで垂れ下がった枯れ枝が登山道を塞いでいる.枯れ枝を回り込むようにして歩く.ここで,ふと下界に目を向けると,樹氷の向こうに素晴らしい展望が開けている.ちょっとだけ雪の中に入り込んで,目の前に広がる見事な鳥瞰を写真に収める.

<樹氷の中の登山道> 


<雪に覆われた鍋割山稜>


<千切れ雲の間から秦野を見下ろす>


<花立て山から塔ノ岳を望む>


<金冷シ付近>

■登山客で賑わう山頂
 10時17分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,実に3時間08分.驚くほどの最低記録である.とはいえ,100枚ほどの沢山の写真を撮ったし,それに喜寿を越えている現実を勘案すれば,まあこんなところかなと思いながら,山頂からの写真を撮りまくる.
 今日は日曜日.山頂は,沢山の登山客で一杯である.
 私が,モタモタと写真を撮っている間に,K女史も山頂に到着する.

<山頂直下から秦野方面を見下ろす>


<倒木が道を塞ぐ>


<塔ノ岳山頂>


                          (つづく)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d9bf802e0357598086e38789009ddf74
「丹沢の山旅」の次回の記事
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