≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

ウィリアム・サマセット・モーム 『 お菓子と麦酒 』

2013-02-02 15:04:49 | 本 (ネタバレ嫌い)


わたしが読んだのは 昭和三十四年十一月五日発行、昭和五十九年十月三十日三十四刷 の新潮文庫、
上田勤 訳
によるもの。

字が小さいのに閉口したが、古めかしい訳も話によく合って面白く読めた。


カバー後ろに書いてある紹介が、あられもない、というか、
これを読んで本文を読もうと思うのかどうか? という文章なのだが、
まあ気を取り直して読んでみたら、とても面白かった。

一人称で描かれているせいか、エッセイじみているようでいて、
話が一体どこに向かっているのやら、著者は何が書きたいのやら、などと
訝しく思ったりしたが、
そのエッセイじみた皮肉のきいた描写も面白く、読み進むうちに
いつの間にか、ここがこの本のストーリーなのかもしれない、と分かったときには
すっかり話に引き込まれていた、という次第。


著者の人間の本質の捉え方が素晴らしい。
矛盾だらけで、一筋縄ではいかなくて、はっきりいっていけ好かない部分も沢山あって、
そういうある意味人間より人間らしいキャラをたくさん立てられる著者の力に参ってしまった。

百年くらい前のイギリスの階層社会の露骨なのに嫌気がさしてしまった。
あれはいやしい階層だから話もしない、とか、まあそういう類い。
とはいえ、意外と実生活でも似たようなことが沢山あるのに気付いてしまったから、
ああ、今も昔も変わらない、人の本質ってそういうものかも、
と嫌な気持ちなりに納得してしまう。

人の生き方、人生って、と思いを馳せてしまう。
自分の来し方行く末にも。


そして圧巻なのがラスト。
胸のすくような終わり方。

大した期待もせず、予備知識も入れず読んでみたら、大当たりだった!
これは大人におススメ。



↑↑写真: オンシジウム‘トゥインクル’が咲いた。 バニラみたいな甘い香り。
株が増えたので分けて母にあげたので、この程度。 これくらいでいい。
本と全然関係ないのはいつものこと。



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