山路を登りながら、こう考えた。
智ちに働けば角が立つ。情にさおさせば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
これは、夏目漱石の『草枕』の冒頭の文章です。高学年なら読んだことがあるかもしれません。この小説の一説に春の情景を描いた文章があります。
見渡す田のもは、一面のげんげんで埋まっている。鮮やかな紅の滴々が、いつの雨に流されてか、半分溶とけた花の海は霞のなかに果はてしなく広がって、見上げる半空には崢そうこうたる一峰が半腹から微かに春の雲を吐いている。
ここでいう『げんげん』とはゲンゲつまり『れんげ』のことです。昔の日本の春にはなくてはならないレンゲの紅色の風景でした。小学生の皆さんは見たことがあまりないのでしょうね。実際、「れんげって知ってる?」と尋ねてみましたが、「?」という顔をみんなしていました。
だから、今年は学校のあちこちにこっそりと「レンゲ」の種をまいてみました。もしかすると春になって花を咲かせるかもしれません。きれいな紅色の花を見てくださいね。
これは、そのレンゲが種から芽を出したところです。なんともかわいらしい芽です。一生懸命な感じがします。菜の花の種も一緒にまいています。たくさん花が咲くといいなと思っています。
おっと、今回は先生らしい理科通信になってしまいました。
風 景
山 村 暮 鳥
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしやべり
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな。
種をまいてからちょうど2週間かかりました。毎日毎日いまかいまかと花壇の様子を見ておりましたが、不思議な物で一斉に種が発芽しました。種はとても小さな物ですから、発芽した子葉もとても小さな物です。肉眼ではぱっと見ただけではよくわかりませんでした。Tamron 90mm macroで狙いますと、なんとも可憐な姿が見えてきます。けなげな命がいとおしくなります。
一斉に芽を出した菜の花とレンゲ。春には美しい花を咲かせてくれることでしょう。ただ、いっしょに植えたシロバナタンポポはまだ芽を出しません。うまく咲いてくれるといいのですけど。
(写真上 レンゲ 写真下 菜の花)NikonD80 Tmaron90mmMacro