東京から高速バスで5時間、新潟についたのは午後3時過ぎ。
ホテルで荷物を預かってもらい、白新線に乗って豊栄へ。
いつもは駅から歩いていくのだが、今回は夕景に間に合うためにタクシーを使った。
福島潟へ通うのももう何度になるだろうか、見慣れた建物「ビュー福島潟」が見えてきた。
時刻は4時少し前。都会で不自然に狭められた視界が一気に広がる感じだ。
この感覚が堪らなく何度も尋ねたくなる。
ただいつもの雪景色ではないのがちょっと不思議な感じだ。
前方に見えるのはヨウモツ小屋。ヨウモツは「魚を待つ」(漁を待つの異説もあり)が訛ったものだという。
カモたちはすでに就眠体勢のようだ。
小さな桟橋で、沈む前の秋日の少ない熱を体に貯えている。
枯ハスの間を悠々と泳いでいるのはカンムリカイツブリ。
遠くには水面をぎっしりと埋め尽くし、水鳥が休んでいる。
山並みの奥には冠雪している山が見える。飯豊連峰の一つだろうか。
中央に見える建物は野鳥観察施設の「雁晴れ舎」。数人の人がハクチョウや雁の帰りを待っている。
立ち枯れの木の上にいるのはカワウ。
左下にいるのだけはカワウではない。猛禽類の何か。
遠くに見えるのは稲刈り後の野焼きの煙だろうか
次第次第に水面が色づいてきた。
稜線がくっきりと見えだし、微かに黄昏どきを告げる風が吹いてきた。
闇が少しずつ濃くなってきた時、遠く離れた餌場から水鳥たちが帰ってきた。
マガモやコガモ達より一際大きいのは、ヒシクイやマガンだ。
時折思い出したように白鳥の鳴き交わす声が聞こえている。
ささやかな喧噪も一段落したようだ。
晩秋の残照を浴び、水面は黄金色を帯びてきた。
空の茜色を映して水面も燃え上がる。
湖畔に佇む家々に灯がともり始めた。
陽の落ちた田圃道をゆっくりと歩いて帰った。
この辺で。