野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

道東紀行5

2016-05-20 20:58:55 | 旅行

 道東釧路滞在3日目、天気予報がそのまま当たり大雨となった。

昨日借りたレンタカーで釧路市の東にある釧路町方面へ向かう。

海岸線を走る道道142号線には難読地名がずらりと並ぶ。今回はそれを一部

マスキングして当ててもらおうという趣向。

札幌(サッポロ)、長万部(オシャマンベ)などのすでに有名な地名を参考にすれば

何とかなるのではないか。

釧路町にあるちょっとすすけた看板。

 

先ずは地名標識から

 

 左上から「オボロ、チッポマナイ、オシャマップ」となる。

 

次はこれ、漢字の部分は鶴の左側に契。嬰寄別でもいいらしい。

モザイクはヒントになるように薄めにかけてあるが、読むのは難しい。

 

 アッチョロベツが正解。因みにアイヌ語ではベツは川、ナイは沢を意味するらしい。

 

これは簡単

 

 ポロナイ。ホロナイでは残念ながら不正解。

 

 この道路にはこんな看板が立てられていた。花は季節がらほとんど咲いてなかったが、

岬と霧については名前の通りだった。

 

 霧が深くなったと思ったらシカが出現。白いお尻がキュートだ。

 

これも薄いモザイクの力で何とか読んでほしい。

 

正解はキトウシ、キトがギョウジャニンニク、ウシが群生するという意味だそうな。

因みに足寄にも同音の喜登牛がある。

 

 これはそのまま読めばいいのだが、さて音で読むのか、訓で読むのか

 

 答えはトマチセ。トマはエゾエンゴサクの意味らしい

 

霧はだんだん濃くなってきた。対向車はほとんどない。

 

これはそのまま音読していけば何とかなりそう

 

 ポントマリが正解。意味は小さい港。

 

こちらの方は訓読で読んでください

 

 

 答えはアトエカ。簡単でしょう、

 

 今回は天候が思わしくないがさっぱり見えないが、

晴れていればドライブには絶好の道路だ。

 

 次は難しい。音読も訓読も全く通用しない、何でそうなるの?という感じ。

 

 読めなくて当たり前、答えはブイマ

 

 通りかかった道路標識にも難読地名が、ひたすら訓読してください

 

正解はマタイトキ

 

 次はこの難読地名ロードの中でも秀逸なものなので、ぜひ読んでいただきたく

モザイクは極限まで薄めにした。音読だけで結構答えに迫れる。

 

 正解はソンテキ、ソムテキでもいい。それにしても初無敵とは

想像力を全開させてくれる何とすぐれた当て字なんだろう。

 

少しは霧も晴れてきた。あともう少しお付き合いを

 

これは訓読で。

 

 

答えはワカチャラセ。

 

   次も難しいのでモザイク部分でヒントにしました。

 

 答えはニコマナイ。

 

 

 まだまだあるのだが、これで終わりにしよう。そのまま音読してください。

 

 フルバンヤが正解。川下の陸岸が丘になっているところという意味。

 

 

仙鳳趾(センポウシ)漁港までやってきた。難読地名道路はこの辺りで終わり。

 

 海岸沿いに咲く逞しいツツジ

 

道道142号線はそのまま尾幌、厚岸に続いている。厚岸からは水鳥観察館のある

別寒辺牛(べっつかんべうし)湿原に寄った。

 

水鳥観察館は別寒辺牛川沿いに立ち、湿原を広い範囲で眺めることができる。

 

杭に止まっているのはノビタキの番

 

葦の向こうにはエゾシカの群れ

 

反対側には厚岸湖に流れ込む別寒辺牛川の悠悠たる流れを望む。

 

 

 

 

観察館から遠くに白い鳥が見えたので、車で近くへ寄ってみた。

嬉しいことに釧路湿原では全く見ることのできなかったタンチョウヅルだ。

 

この後霧多布湿原の中央部付近でも再びタンチョウを発見。

 

奥琵琶瀬野鳥公園

 

シギやチドリがいるのだが遠くて近づけない

 

 

ここでもタンチョウを発見。本日3羽目だがいずれも遠いのが難点。

 

霧多布湿原の展望台、このころは更に風雨が激しくなった。

 

 

雨が激しくなって来たので、根釧国道で釧路へ引き返すことにした。

途中にみた子野日(ねのひ、これも難読)公園。桜は3,4分咲きといった程度。

もうすぐ桜祭りが開かれるので準備をしている最中だった。

 

 今日はこの辺で。


釧路湿原の周りを歩く3

2016-05-19 05:17:08 | 旅行

<前回からの続き>

萱沼駅付近でタンチョウが見られるかもしれないということで、

シラルトロ湖から北上。人気の全くないキャンプ場。

 

 

看板によると遊歩道があるようなので、とりあえず歩いてみる。

まっすぐ伸びる道。

 

標識によるとここはチョウの森、でも今の季節はまだ早いようだ。

野鳥の声はするもののほとんど姿を見ることなく一周。

出口でやっとコムクドリに遭遇。

 

こちらは♀

 

 うまい具合に格好の木の枝に乗って、こちらを向いてくれた。

 

そのあとは達古武(たっこぶ)湖へ南下。ここには夢ヶ丘展望台がある。

 

オートキャンプ場

 

用途のわからない奇妙な置物

 

歩道を少し行くと周囲は釣りキチ三平の漫画に描かれた谷地坊主に囲まれた。

 

ミズバショウとバイケイソウの森

 

エゾタチツボスミレ

 

 エゾネコノメソウ。鮮やかな黄色はほとんどが葉で花ではないのだが、まぁそれもいいか。

 

 

ヒトリシズカも谷地坊主の中

 

今まで見られなかったニリンソウにここで初めて出会えた。

 

 湿原ではおなじみの花エンコウソウ。花はリュウキンカによく似ているが、

立ち上がらず猿の手のような蔓を這わす。

 

ハルニレの巨木。

 

 

 

だんだんと傾斜がきつくなってきた。

 

やっと展望台に到着

 

釧路川とそれに沿って走る釧網線、そして阿寒連邦

 

 

 

 

達古武湖のキャンプ場に戻ったらもう4時を過ぎていた。残りの時間で

今朝訪ねた細岡展望台をもう一度訪ねることにした。

 

この日はあいにくの天候で、目の覚めるような鮮やかな夕焼けとはならなかった。

が、これはこれで結構いい雰囲気になっているのではないだろうか。

 

 

 長かった道東2日目の湿原探訪はこれで終わり。この日は釧路市内の回転ずしを買って、

ホテルに持ち帰って食べた。

この辺で。


釧路湿原を歩く2

2016-05-18 06:31:44 | 旅行

<前回からの続き、 尚タイトルは正確には釧路湿原の周りを歩く>

北斗展望地から北上し、途中鶴見台へと立ち寄った。

 

ここは冬季にカメラマンたちが大集結し、給餌されたタンチョウを撮影する場所。

もちろんこの時期になるとタンチョウの姿は見られない。

 

鶴居どさんこ牧場にも寄った。それにしても牧場の馬っていうのは、

どうしてこんなに悲しげな風情なんだろう。

 

道道(北海道の道路)243号線から右折し、湿原の北東部を斜めに

横切る道道1060(なんと4ケタ)号線に入る。途中の林道からの景色。

 

コッタロ湿原展望台に着いた。ここまでは舗装路だった。

 

小高い丘を登っていく。この日は行きに一組、帰りには二組の観光客とすれ違った。

 

 標高80mほどのところに展望台が設けられている。

 

眼下を流れるのはコッタロ川、釧路川の支流だ。

 

 

もしやと思い双眼鏡でタンチョウやクマを探すが当然のように見当たらない。

 

水鳥すら見当たらないのはどういうわけだろう。

 

左側に見えるのは道道1060号線、この先はダートとなっている。

 

コッタロ展望台から塘路湖方面へ向かう。途中コッタロ川が合流した釧路川と暫らく並走する。

釣り人がいた。この辺は特別保護区ではないのかな。

 

水量が多く、ゆったりと流れる釧路川。川のほとりでは木々がすでに芽吹いている。

この川の中には釣りキチ三平で描かれた幻の巨大魚イトウがいるかもしれないのだ。

 

 新芽にやってきたのはメジロ

 

 何やら虫を咥えているのはベニマシコ

 

おっとこれは珍しいニュウナイスズメ。雀に似ているが頬っぺたの黒い笑窪がない。

 

一生懸命新芽を啄んでいる。

 

 塘路に出てからは左折してシラルトロ湖の傍まで走った。ここにはサルボ展望台とサルルン展望台がある。

 

まずは遠くにあるサルルン展望台に向かう。山道のわきには

びっしりとギョウジャニンニクの群生。ギョウジャニンニクは別名アイヌネギ、

エゾネギともいい若芽をおひたしや炒め物、てんぷらなどにして食べる。

 

 なお同時期、同じ場所にバイケイソウの若芽も出るが、こちらは毒草なので注意。

 

日当たりのよいところでセンボンヤリの花を見つけた。

 

エゾノタチツボスミレ

 

 枝越しに見えるシラルトロ沼。アオサギが採餌中。

 

開けたところから見えるシラルトロ沼。中央を走る林道はさっき通ってきた1060号線だ。

 

 エゾシロチョウもいる。

 

一株だけ咲きだしていたエゾオオサクラソウ

 

階段を登り切った先がサルルン展望台。

 

ここは鉄道ファンにとっては釧網本線を走るノロッコ号やSL冬の湿原号を見る絶好の地。

もしかしら普通列車でも見られるかと10分間だけ粘ってみたが無駄だった。

尤もサルボ展望台へ向かう途中で電車の音を聞いたので

あと10分辛抱して待てば見られたのに…

 

 

 来た道を引き返し、さらに少し先にあるサルボ展望台。

ここの展望台はかなり老朽化していて危なかった。

 

今回はこの辺で。


釧路湿原を歩く1

2016-05-17 07:35:33 | 旅行

 釧路滞在2日目の今日は朝5時に起き、日暮れまで一日をかけて釧路湿原一帯を回る予定。

釧路湿原は公園法で特別保護区に指定されていて一般の立ち入りは不可。

歩けるのは湿原を取り巻く幾つかの展望台とその周囲の探勝路だけとなっている。

 

幸い天気予報は晴れ時々曇り、なんとか一日雨具なしで過ごせそう。

釧路駅6時2分発の釧網線に乗って湿原東側の釧路湿原駅へ。

僅か20分余りで到着。

 

ホームに降り立つとすぐに野鳥の囀りに包まれる。

小さい体を目いっぱい震わせて囀っているウグイス

 

アカゲラのドラミングもすぐ近くで聞こえる。

 

足元にはフキノトウやミズバショウが咲いている。

 

 

 オオバナノエンレイソウの大群生も見られる。

 

 アオジの♂

 

 

幹を自在に走り回っているのはゴジュウカラだ

 

これは珍しいキバシリのようだ

 

道東に遅い春を告げる桜の花

 

少しのぼった先に細岡展望台がある。

 

見えるのは釧路湿原、釧路川、そして背景にそびえる阿寒連峰

 

 朝靄に浮かび上がる雌阿寒岳

 

 雄阿寒岳

 

川の畔には春が来ているのだが、その周囲にはまだ冬の雰囲気が漂っている。

 

 

 300mmの望遠レンズに変えてみる

 

 電車の都合でここの滞在は一時間だけ、いったん釧路に戻って

予約していたレンタカーを借り、今度は湿原西側へ。

釧路市の湿原展望台。ここは有料なのでパスして遊歩道を歩く

 

 

 遊歩道は一周2,5km、約一時間ほどで回れる。結構上り下りがあるので相応の装備が必要だ。

 

エゾエンゴサク

 

ちょっと遠いがオオルリの姿も見える。

 

ウグイスが蛾を捕まえた

 

アオサギ広場

 

 湿原の春はもう少し先のようだ。

 

 

アオジの♂が頻りに囀っている。

 

こちらは♀

 

 遊歩道の中ほどにあるサテライト展望台にのぼった。

 

近くでアカゲラの追っかけっこが始まった

 

 

 

仲がいいのか悪いのか

 

遊歩道には途中吊り橋もある。

 

ヒメイチゲの花

 

オオタチツボスミレかな?

 

 ここで遊歩道から外れて、北斗遺跡を見ていくことにした。

 

遺跡もある。擦文(さつもん)文化の言葉は初めて知った。

 北斗遺跡の展望地にのぼる。眼下には復元住居。

 

 再び来た道を引き返し、急な階段を登ってやっと一周を終えた。

所要時間は寄り道もしたので2時間弱だった。

 

この後はコッタロ展望台やサルボ展望台などを回ったのだがそれは次回。

この辺で。

 

 

 


道東釧路・根室紀行1

2016-05-16 09:31:39 | 旅行

 4泊5日の旅程で道東を巡ってきた。今回はその一回目、着いた日の午後、釧路市街の散策。

空港からバスで50分やっと駅前についた。先ずはホテルを目指し歩く。

工事中のビルはNTTドコモビル。

景気のいいのはどこへ行っても情報通信関連の業界だけのようだ。

 

駅のすぐ近くなのにこちらはシャッターの閉まった店子の多い建物。

 

 C58(シゴハチ)を展示してある幸町公園。このC58は昭和18年から47年まで

根室本線や釧網本線で活躍した機関車。

 

釧路新聞社の建物

 

その隣のビルに「しまや染色」の看板を見つけた。幟、暖簾、旗、

タオルなどの染色を主な仕事とする会社らしい。

 

この辺は釧路の官庁街、ホテルにチェックインし、荷物だけおいて再び歩き始める。

すぐ見えてきたのがフィッシャーマンズワーフMOOという建物。

簡単に言うと物販や飲食を一か所に集めた観光施設だ。

 

斜め横から

 

隣接するのはEGGという「全天候型緑地」が売りのガラス張りの建物。

入ってみたが利用者はいなかった。

 

釧路の名所の一つ幣舞(ぬさまい)橋を渡る。この橋は北海道3大名橋の一つなのだそうだ。

因みにヌサマイとはアイヌ語のヌサオマイで祭壇のあるところ

聖地を意味する言葉らしい。

 

 橋を渡った先にある花時計。この日は花は無かったが、私の帰る前の日に

今年一回目の花が植えられたらしい。その上には幣舞公園がある。

 

 ロータリーを右折して100mほど行くと、啄木が明治41年当時に勤めていた

港文館(旧釧路新聞の建物を再現したもの)が見えてきた。

 啄木はこの後上司(主筆)への不満と東京への憧れにより、

わずか2か月余で釧路を離れることになる。

 

 女性二人で重いテントを軽々と畳んでいた。北海道を支える力かな…。

 

啄木の歌碑が点在する南大通りに入った。数人の男たちが忙しそうにしている。

 

漁師たちが合同で漁の無事を祈る船「魂の日」の準備をしているようだ。

詳細については以下の漁協ブログに書かれていたので参考まで。

 

 啄木ゆめ公園。歌碑には「さいはての駅に降り立ち雪明り 

さびしき町に歩み入りにき」とある。この近辺には27もの歌碑があり、

啄木滞在が僅か76日間なのを思うとその多さに驚かせられる。

 

東京ではなかなかお目に架かれない銃砲工作所。

 

 現在日本で唯一採炭されている釧路コールマイン(旧太平洋炭鉱)ー釧路石炭の販売店。

 

 米町ふるさと館。100年以上も前の木造民家で

入りたかったのだが閉館中で中には入れなかった。

 

展望塔のある米町公園

 

 釧路港を眺めた後、再び南大通りを下る。時計のある建物は珍しくはないが……

 

 振り返ると裏にも時計がある。が、どういうわけかどちらも

正しい時刻(17時16分)とは無縁だ。

 

 「理髪」の言葉が懐かしいし、建物の雰囲気もいい。

 

 釧路川の畔まで戻ってきた。ここは釧路川の左岸、幣舞橋と久寿里橋の中間地点。

 

だいぶ日が傾いてきて、暫く立ち止まっていると寒さを覚えるほどだ。

向こうの赤い橋が久寿里橋。

 

カラスの場所をカモメが奪った。

 

暫く風に吹かれていたらみるみるうちに日が暮れてきた。

 この日嬉しいことに、EGGの建物の上に吉兆の印の彩雲が現れた。

 

 

 だれが決めたか定かではないが、釧路幣舞橋の夕景は世界三大夕日の一つなのだそうだ。

私が今回利用したHISのツアーパンフレットにもその記載があった。

 

 

この日は少し雲が多いのが残念。

 

 

日の沈む地点がやや西北に寄っているのも惜しい。

ここから橋の向こうに沈む夕日を見るためには、9月頃でないとならない。

 

橋の上にある四季の像、左が夏で右が秋。

 

橋の下の地下通路を潜り抜ける。

 

 

 手前のカモはキンクロハジロ。関東ではとうに冬鳥として旅立って行ったはずだが、

ここ釧路港では留鳥として居るのだろうか。

 

 

陽も落ち切ったようだ、橋にも街灯が点いた。

 

 春の像

 

 道東初日も暮れようとしている。気が付けば随分と夜気が体に凍みる。

体調を崩さぬうちに宿に帰るとしよう。

 

 長々と失礼しました、この辺で。