4月1日のことだが、庭を歩いていたとき、チチッチイーッという鋭い鳴き声に振り返ってみると、芽吹いたばかりの榎の小枝に鳥がが止まって周囲を見回していた。茶色く尾羽の先の白さが目立った。見たことのない鳥だったので図鑑で調べてみるとシメのようだ。シーと鳴くメ(鳥の意の接尾語)といわれる。現代人にはチーだが、古代人にはシーと聞こえたのだろう。
そのままなかなか動かなかった。ビデオを取りに行っている間に柿の木に移っていた。あまり鳴かないがしばらくするとピーピチョピチョと鳴いた。木の芽をついばむわけでもなく何をしているのか、あたりを見回しているだけだった。5分くらい録画して、用があったので10分くらいして戻ってみるともういなかった。ピーもシーと聞こえるだろう。
次の日の朝は庭を歩いて何かをついばんでいた。くちばしはこの美を砕いて食べるに向いた形だから、冬に樫の木から落ちた木の実を食べていたのかもしれない。3日以後見ることはなくなった。温かくなったからだろうか。シメは冬鳥として渡来するものと夏鳥として渡来するものがあるらしい。くちばしが肉食でなく灰色だったから夏鳥だろう。色が国、顔つきからしてオスだっただろう。
1月にはシメと同じアトリ科のイカルが榎木のみをついばんでいた。去年まではなかったことである。近年我が家の樹木に来る小鳥が多くなった。近隣では薮や林、高木の伐採が進んでいる。葉っぱが飛んでくる、虫が落ちる、などと住民がうるさいからである。庭まで舗装する現代の住宅だから、葉っぱは邪魔者でしかないのだろう。新年号が万葉集からということで、万葉集ブームだそうだが、万葉の心から遙かに遠い現代日本だ、すぐ消え去ることだろう。
4日からぐんと温かくなった。三寒四温も終わりに来たか。
冴え返り 冴え返りつつ 春なかば 西山泊雲
そして僕も一句 シメ鳴きて 去りにしあとの 春うらら
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