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経済産業研究所コンサルティングフェロー
藤 和彦
KAZUHIKO FUJI
1960年、愛知県生まれ、６４歳、84年通商産業省入省。
03年に内閣官房内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官を経て、研究職へ。
現在、独立行政法人経済産業研究所上席研究員、公益財団法人世界平和研究所客員研究員。著書に「シェール革命の正体」ほか。
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■中国がアフリカに仕掛ける罠
中国はこのところ国際社会で「平和仲介者」の役割を演じているようだ。
前編『米大統領選のウラで「暴走する習近平」外交がヤバすぎる…！「平和仲介者」の美辞麗句に隠された「不都合な真実」と「二枚舌」がもたらす悲惨な結末』でお伝えしたとおり、習近平国家は、
9月4日にはアフリカの50以上の国の首脳らが参加した「中国アフリカ協力フォーラム」で「中国とアフリカの関係は新時代の『全天候型運命共同体』にレベルアップする」と力説した。
習氏は今後3年間で総額約3600億元（約7兆2800億円）規模の資金を拠出することを表明。
だが、これまでの支援を通じてアフリカの多くの国々を「債務の罠（支援を受けた側が返済に窮し、資産などを差し押さえられてしまう状態）」に陥れてきたという「不都合な真実」を忘れてはならない。
平和仲介者を自認する中国の活動は、中東、ロシア・ウクライナ戦争にも及ぶ。
中国が世界の「火薬庫」で積極的に活動する背景には「米国に代わる有能な平和仲介者」というイメージを国際社会に広める狙いがあることは間違いないだろう。
その一方で、南シナ海や台湾海峡では緊張が高まるばかりだ。
中国の傍若無人は、いまやその規模は宇宙にも及び、また地球環境を改変してしまおうという領域にまで及んでいる。
■宇宙にまき散らされる「ゴミ」
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宇宙デブリの状況 その２ （破片の発生原因と飛散状況） 小澤 啓佑
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8月上旬、人民解放軍が利用する衛星を搭載した中国のロケットが地球低軌道で爆発し、700個以上の「宇宙ゴミ」が発生する事故が起きた。
これにより、世界各国の低軌道衛星が危険にさらされる事態となっている。
中国からの安価な鋼材や製品などの「デフレ輸出」が問題になっている中、その安全性に深刻な問題があることも明らかになっている。
中国製電気自動車（EV）は世界市場を席巻しつつあるが、
世界のバッテリー市場でシェア1位を誇る中国CATLの曽会長は9月1日「昨年、中国で発生した新エネルギー車の火災発生率は1万台当たり0.96台だ。
市場に出回るバッテリーの安全性の問題を解決できなければ、壊滅的な結果になるだろう」と驚くべき発言を行った。
中国国内の過当競争は熾烈を極めており、安全性は二の次だ。
そのせいで中国製電気自動車の火災が世界各地で起きていると言っても過言ではない。
■世界にまき散らされる中国薬物
中国製品がもたらす「害毒」と言えば、最も悪名高いのはフェンタニル原料だ。
フェンタニルは当初鎮静剤として開発されたが、少量でも効果が高く安価であることから、米国で麻薬の代用品として大量に消費されている。
フェンタニルはメキシコ・マフィアが米国に持ち込んでいるが、その原料のほとんどが中国製だ。
米国は規制強化を求めているが、中国は聞く耳を持たない。
業を煮やしたバイデン政権は8月29日「太平洋島しょ国と協力し、この地域を米国への麻薬（フェンタニル原料）輸出の中継地として利用している中国の犯罪組織を取り締まる」と表明した。
フェンタニル原料の中継地になったことで太平洋島しょ国でも薬物問題が発生してしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。
■異常気象と「中国の人口降雨」との怪しい関係
極めつけは「人工降雨」の乱用だろう。
中国南部の重慶市で9月2日に暴風雨が発生したが、現地で「人工降雨が原因ではないか」との声が上がっている。
当局が熱波対策のために人工降雨を実施した直後に突然の暴風雨に見舞われたからだ。
中国政府は来年までに国土の6割近くに当たる550万平方km以上で人工降雨を実施する計画を有している。人工降雨は米国や中東などでも散発的に行われているが、中国の規模はダントツだ。
このため、筆者はかねてから「中国ばかりか周辺諸国の気候まで変えてしまうのではないか」と危惧しているが、その弊害がいよいよ顕在化しているのではないかとの思いを禁じ得ないでいる。
中国の傍若無人を止めない限り、国際社会の被害は拡大する一方ではないだろうか。
さらに連載記事『「中国EV」が欧州の港で大量ストップ…！止まらない欧米の中国包囲網は「プラスチック」へと飛び火！習近平「経済無策」の悲惨な代償』では、疲弊する国内経済の状況について解説しているのでぜひ参考としてほしい。
