2018/5/27 6:30
流通業界が人手不足と労務コストの上昇に直面する中、スタートアップの600(ろっぴゃく、東京・渋谷)が無人のミニ・コンビニエンスストア事業を立ち上げた。米アマゾン・ドット・コムの「amazon go」などとは方向性が異なり、機能を絞り込んだ軽装備システムで店員ゼロを実現しようとする試みだ。日本の買い物に変化を起こせるか。
■RFIDで商品識別
600の久保渓社長(32)が「財布からお金を取り出さなくても自動で清算が終わる」と話すシステムは、コンビニ店内で見かける冷蔵ショーケースを3分の1程度に小ぶりにしたボックスだ。弁当やパン、カップ麺、ヨーグルト、お菓子、お茶や清涼飲料など数十種類の商品が詰まっているが、ガラスの扉越しに見える。
利用者はまず扉の横に付けられたタブレット(多機能携帯端末)型の専用端末へクレジットカードを通す。すると扉のカギが開き、あとは好きな物を取り出すだけ。料金は自動的にカード払いとなる。買い物にかかる時間は3秒ほどだ。カギとなるのは無線識別機能を持つICタグ(RFID)だ。縦1センチメートル×横4センチメートル、1枚あたり7円程度のRFIDが商品にシールのように貼り付けられており、利用者が商品を取り出すと、ボックスの棚の上下に取り付けられたアンテナが即座に反応し、タブレットで集計が始まる。
タブレットはネットとつながっている。クラウド上に商品情報や値段が登録されており、利用者は意識はしないが、実際には一般的な電子商取引(EC)のサイトと同様の仕組みでカード決済したことになる。ICカードをタッチしたり、硬貨を出し入れしたりする必要はない。
ボックスを置くだけで開店する即席の無人コンビニは初期費用がゼロで、月額利用料が5万円。サイバーエージェントの子会社やネットショップを作成するBASE(東京・渋谷)など都内数カ所で試験運用が始まっており、年内には100カ所へ増やす計画だ。
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