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習近平が思い描く世界  中国の外交政策、打算的な関係に潜む危険2023.3.27The Economist

2023-03-27 14:54:09 | 連絡
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The Economistのプロフィール
1845年創刊の英国の有力経済誌で、特に経済、国際政治に関して世界的に権威のある媒体とされる。
知識層からの信頼が厚く、歴史観と見識に富んだ鋭い分析、オピニオン記事に定評がある。
世界発行部数は約142万部。
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〇たとえ何らかの効用をもたらすとしても、中国の取引本位の外交には本物の危険が潜んでいる。 
中国の習近平=

共産党総書記≫全人大国家主席ほどの大物でなければ、居心地の悪い思いをしたかもしれない。
 先日モスクワを訪れてウラジーミル・プーチン大統領
と会談した際、戦争犯罪の容疑で逮捕状が出ている相手と夕食を取りながら「平和共存とウィン・ウィンの協力」について語ったのだから。
 だが、習氏はささいな矛盾など気にしない。
ルールと人権を重視する米国主導の世界秩序は止めようのない衰退過程にあると信じている。
 そして、この秩序をねじ曲げ、大国同士の取り決めから成る取引本位のシステムに変えることを狙っている。
このようなビジョンに潜む危険を――そしてこのビジョンが世界中で人気を得ていることを――軽く見てはいけない。 
〇ウクライナ和平計画の矛盾
ウクライナについては、中国は面倒な状況に容赦なく、かつ巧みに対処してきた。その目標は手が込んでいる。
 まず、①ロシアが中国より弱い立場になるようにしつつも、プーチン体制が自ずと崩壊してしまうほど弱体化しないようにする。
 次に、➁新興国の目に映る仲裁者としての中国の実績に磨きをかける。
そして➂台湾を視野に入れながら、西側諸国が外交政策の手段として導入している制裁と軍事支援に正統性があるのかと揺さぶりをかけるのだ。
 習氏は皮肉にも、ウクライナ問題の「和平計画」を提案している。
 ロシアの攻撃に報いる内容であり、ウクライナが受け入れないことは承知のうえだ。
「すべての国々の主権を尊重する」よう呼びかけながら、ロシアが隣国の領土を6分の1以上占領していることへの言及は怠っている。
これは、中国がゼロコロナ政策による孤立から抜け出し、以前より統合の進んだ西側に向き合うに当たって採用している新しい外交政策アプローチの一例でしかない。
3月10日には、激しく対立してきたイランとサウジアラビアの関係正常化を仲介した。
 中国が中東に介入するのはこれが初めてで、米国主導のイラク侵攻後の20年で西側の影響力が低下したことが浮き彫りなった。
また3月15日には、「グローバル文明イニシアチブ(GCI)」という構想を明らかにした。
 中国はこのなかで、世界各国は「自国の価値観やモデルを他国に押しつけたり思想的対立をあおったりすることを控える」べきだと説いている。
〇世界秩序を揺さぶる中国
中国のアプローチは即興で打ち出されたものではなく、体系的で、イデオロギーに基づいている。
 かつて鄧小平は中国に「韜光養晦(とうこうようかい、爪を隠し、力を蓄えるの意)」を促した。だが、習氏は1945年以降の世界秩序を再編したいと思っている。
「多国間主義」という言葉が、普遍的価値観を放棄し、大国間の利益のバランスを取ることによって運営される世界の掟を意味するようにしようとしているのだ。
「グローバル安全保障イニシアチブ(GSI)」とは、中国の軍事的脅威の封じ込めに抗う取り組みのことであり、
「グローバル開発イニシアチブ(GDI)」とは、権威主義的な国々と無条件に付き合う中国の経済成長モデルを促進することだ。
 「グローバル文明イニシアチブ」では、新疆ウイグル自治区


であれどこであれ、西側による普遍的人権の擁護は新しいタイプの植民地主義だと断じている。
この取引本位の世界観は、西側以外の世界では恐らく読者の想像以上に支持を得ている。
 習氏は今月、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領と北京で会談する。
ルラ氏は多極化世界の支持者であり、中国がウクライナでの和平交渉に力を貸すことを望んでいる。 
〇西側のダブルスタンダード
多くの人にとっては、2003年のイラク侵攻は国際法と人権に対する西側のダブルスタンダード(二重基準)を露呈させた。
 中国の国営メディアは、この見方を国民に力説するのに余念がない。
 片や米国では、トランプ時代を経てジョー・バイデン大統領が世界への関与を再度打ち出してはいるものの、「アジアへのピボット」には中東やアフガニスタンを含むあらゆる地域での規模の縮小が伴う。
ウクライナについて西側は決意を表明したものの、多くの国々は戦争について態度を決めかねており、どのような終わり方をするのか気をもんでいる。
 世界全体の国内総生産(GDP)の40%を占める少なくとも100カ国は制裁を完全には実施していない。
 米国の持久力も疑問視されている。
共和党の大統領候補と目されるドナルド・トランプ氏もロン・デサンティス氏も、ウクライナを米国の中核的利益とは見なしていない。
 こういったことが相まって新しいアクターが、具体的にはトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、そしてとりわけ中国といった国々が活動するスペースが生まれている。
ここから発せられるメッセージ
――真の民主主義は経済発展を必ず伴うが、政治的自由の有無には依存しない――は、非民主的な国々のエリート層には非常に魅力的に響く。 
〇世界を中国共産党にとって安全な場所に
この欲得ずくの多極化から何が達成されうるのか、検討しておくことが重要だ。
 イランとサウジアラビアは1979年のイラン革命以降ずっと犬猿の仲だ。
 中国は両国にとって最大の輸出先であり、それゆえ最大の石油供給地でもあるペルシャ湾で戦争を未然に防ぐ影響力とインセンティブを持つ。
 中国が仲介を手伝った関係正常化は、すでに死者が30万人に達しているかもしれないイエメンでの代理戦争のエスカレートを防ぐ可能性もある。
 あるいは気候変動問題について考えてみるといい。
 中国が自国の電池産業に重商主義的な支援を行っていることは、炭素排出削減に寄与する国境をまたいだ投資の呼び水になっている。
 しかし、習近平氏の外交政策の真のポイントは、世界を中国共産党にとってより安全な場所にすることにある。
 時間が経つにつれ、共産党の欠点は隠すのが難くなっていく。
網の目のように張り巡らせた政略的な二国間関係は矛盾を生む。
 例えば、中国はイランを支持しているが、同国で核開発が進んでいることはあえて無視している
 中国のお得意様でもあるほかの中東諸国にとって、この核は脅威であるにもかかわらずだ。
〇対立するビジョンとの戦い
また、ウクライナで和平を長続きさせるには
①ウクライナ国民の同意が欠かせない。
➁戦争犯罪への説明責任を問うことや、
➂これ以上攻撃しないことの保証も必要だ。
 ところが、中国はこの3点①、➁、➂すべてに反対している
ウクライナであれ台湾であれ、中国は民主主義、人権、そして超大国の束縛をよしとしないのだ。
 インドや日本など、中国から安全保障上の脅威を直接感じている国々は、今後さらに用心するだろう。

 実際、強くて攻撃的な隣国がいる国では、それがどこであろうと、「力は正義なり」という原則は恐怖の対象が増えることを意味する。
 中国はほぼ常に、支配者であるエリート層に味方する。
そのエリートたちに支配者の適性が全くなかろうと、彼らがどれほど残虐であろうとお構いなしだ。
 そのため、中国のやり方はいずれ、世界各地の一般市民の怒りを招く恐れがある。
そのときが来るまで、開かれた社会は対立するビジョンとの戦いに直面することになる。
 一つの課題は、ウクライナがインチキな和平締結に追い込まれるのを阻止することであり、西側諸国が北大西洋条約機構(NATO)


を含む防衛同盟を深化させることだ。
長期的には、グローバルなルールは西側諸国の利益にだけ資するものだという批判を退けることと、中国(そしてロシア)が売り込んでいる世界観の貧弱さを暴くことが目標になる。
〇中国とロシアの世界観でいいのか?
米国が1945年に発揮した洞察が優れていたのは、長続きする同盟関係と共通のルールに自らを縛り付けることで自国の安全保障を強化できると見抜いていたことだ。 
この理想主義的なビジョンは、イラク侵攻をはじめとする現実に接触した数十年間によって色あせた。 
だが、モスクワで今回開かれた中ロ首脳会談で明らかになったのはもっとひどい選択肢だった。
 すなわち、相手に好感を持ってもらおうとはせずに影響力だけを欲しがる超大国、信頼を欠く権力、そして普遍的人権の存在しないグローバルビジョンだ。
この選択肢の採用で世界はもっと暮らしやすい場所になると思っている向きは、考え直すべきだ。
 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74529?page=5


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