「スパイ行為をした」として中国当局に約6年間拘束され、今月帰国した日中青年交流協会理事長、鈴木英司(ひでじ)氏(65)が毎日新聞のインタビューに応じた。
中国当局は、正式な逮捕手続きを取らずに鈴木氏を約7カ月にわたりカーテンを閉め切った部屋で監禁した。
鈴木氏は「(約7カ月で)太陽を見られたのは15分だけ。本当につらかった」と語った。
中国の習近平政権は2014年以降、「反スパイ法」や「国家安全法」の制定を通じて社会の統制を強め、外国人を厳しく監視。15年からスパイ行為に関わったなどとして中国で日本人を拘束し始めた。
習政権下で拘束された日本人の実情が詳細に明らかになるのは極めて異例。 鈴木氏は16年7月、シンポジウム出席のために北京を訪問した際、スパイなどの捜査に当たる国家安全部の当局者に拘束された。
「居住監視」という名目だが、24時間態勢で室内に監視員2人がおり、実態は監禁。弁護人を依頼することも許されなかった。
取り調べを経て17年2月にようやく逮捕の手続きが取られ、拘置所に身柄を移された。
同年5月に起訴。
20年11月にスパイ罪で懲役6年の実刑判決が確定し、刑務所に収監された。
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2016年+6年=2022年
2020年+6年=2026年
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6年以上にわたった監禁生活で、体重は96キロから68キロに激減した。
鈴木氏によると、公選弁護人はまともな弁護をしなかったという。
鈴木氏は「不当な身柄拘束であり、冤罪(えんざい)だと強く訴えたい」と怒りをあらわにした。
鈴木氏によると、公選弁護人はまともな弁護をしなかったという。
鈴木氏は「不当な身柄拘束であり、冤罪(えんざい)だと強く訴えたい」と怒りをあらわにした。
国家安全部に関連する業務や裁判記録は通常、公表されない。
鈴木氏が毎日新聞に提供した判決文から、初めてこの事案の詳細が判明した。
判決は、鈴木氏が13年12月4日、北京で中国政府高官と会食した際、中国と北朝鮮に関する違法な「情報」をやり取りしたとし、これがスパイ行為に当たると指摘。
中国政府が「スパイ組織」と認定する日本の政府機関から鈴木氏が「任務」を帯びていたとして「有罪」の判決を言い渡した。
判決や起訴状はこの「情報」について具体的な内容を記していない。
ただ、北京市国家安全局の職員は鈴木氏への取り調べの中で、北朝鮮の故金日成(キムイルソン)主席の娘婿、張成沢(チャンソンテク)氏が処刑されたとのニュースが違法な「情報」に当たると明らかにしたという。
当時、韓国政府の発表を通じて、張氏が処刑された可能性があることは日本を含む世界各地で報じられていた。
日本の外務省によると、15年5月以降、日本人16人が中国当局に拘束され、うち5人は起訴に至らずに帰国。
1人は逮捕、勾留されている。
残り10人は起訴され、うち9人について懲役3~15年の実刑判決が確定した。
4人は服役中で、1人は服役中に死亡。鈴木氏を含む4人は刑期を終えて帰国した。
19年9月には北海道大教授が当局に約2カ月間拘束された後、釈放された。
外務省領事局海外邦人安全課は「早期の帰国を実現するため(中国側に)働きかけている」としている。【「邦人収監」取材班】
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