風景写真春秋

残日録代わりの風景写真です。
もちろん「日残りて、昏るるに未だ遠し」という意味合いです。

熊野古道・馬越峠道 その1(霧)

2015-06-07 | 三重県・山・尾鷲熊野
 三重県紀北町と尾鷲市を結ぶ熊野古道・馬越(まごせ)峠道です。
 熊野古道(熊野参詣道)伊勢路の中で最も石畳の古道が見事であり、また周囲のヒノキの林が美しいのがこの馬越峠道です。
 先日、雨の日に霧の古道を期待して行ったのですが、雨は降るのに霧は出ずでした。
 私はこれまで雨の日に6~7回は行ったのですが、そのうち霧が出たのは昨年の6月初旬の1回だけという情けない状況です。
 その昨年の写真をその1として霧の風景に特化し、今年の写真は雨と新緑の古道としてその2、その3に分け、計3回にして掲載します。
 
①登り口から10分ほど歩いたころから、少し霧がかかり出した。


②まわりのヒノキ林の奥から霧が湧いてきた。


③シダの新緑が生き生きとしている。


④⑤まっすぐに天を突くヒノキの林を乳白色の霧が包む。




⑥平らなテーブル状の岩の付近まで登ってきた。


⑦雨が激しくなってきたが、霧は薄くなった。
 カメラのレンズを拭ってばかりいる。


⑧石畳を覆い尽くすようなシダのみずみずしい新緑。


⑨Vターンで切り返す石畳の道。


⑩霧が濃くなり一層雰囲気が出てきた。


⑪峠に近づくと道は少し狭くなってきた。


⑫峠付近。
 平坦な山道なので石畳はなくなった。


 雨の日の石畳の道の撮影はたいへんです。
 段差のある石畳に三脚の足の長さを調整してセットし、リュックからレンズを濡らさないようカメラを出して据え付け、カメラに雨が当たらないよう傘をさしかけ、タオルでレンズを拭い、ボディを覆って写すまでがひと苦労です。
 いつも、タオルを3枚用意していきますが、帰ってくるとどれもベタベタです。
 写し終えるとまた逆の動作をしてカメラ、三脚をしまい、濡れた石畳をすべらないように歩くのも気を遣います。
 特に下りは滑りやすいので、三脚を適当な長さまで伸ばして、杖代わりにしてソロソロ下りです。

 この日の霧はまだ不満がありましたので、1週間後の雨の日にもう一度行ったのですが、霧は不発でした。
 
 明日はその2です。

熊野・布引の滝 

2015-05-07 | 三重県・山・尾鷲熊野
 三重県熊野市紀和町にある布引の滝です。
 日本の滝百選のひとつです。
 三重県ではほかに、名張市にある赤目四十八滝と大台ケ原山を源とする大杉谷峡谷にある七ッ釜滝が選ばれています。
 布引の滝は熊野川の支流、楊枝川上流部にあります。
 総落差は53m、4段に分かれて落下する段瀑です。
 その名のとおり、一巻きの白布をたらしたような優美な滝です。
 2013年4月中旬の写真が主です。

①~⑥この年は雨が少なく、滝の水量も少ない。
 通りかかった地元の人が、本当はこの3倍以上の横幅の水量があると教えてくれた。
 滝は4段に分かれているが、1段目は隠れて見えず3段にしか見えない。
 4段目は落差29mを一気に滝壺まで落下する。












⑦布引の滝の下流にある荒滝。
 こちらも水量が少ないので、名前に似合わず、おとなしく落下している。


⑧⑨熊野川水系の主流、北山川を遡ってみた。
 吉野熊野国立公園、国の特別名勝、瀞峡(どろきょう)。
 三重、奈良、和歌山の三県にまたがっている。
 観光用のジェット船がやってきた。




⑩⑪まわりの山々はあざやかな新緑。
 悪路だった国道169号も改良が進んでいて、陸路からでも訪れやすくなった。




 布引の滝はかっては、熊野大峰大河内の行場として修験者が行を積む場であった。
 周辺の森は「きらずの森」として熊野市により保護されている。


丸山千枚田 その2 2014年

2015-05-06 | 三重県・山・尾鷲熊野
 三重県熊野市紀和町の丸山千枚田です。
 今回は2014年の田植えどきの棚田です。
 丸山千枚田については前回記載しましたので、今回は割愛します。
 今回は、前回とは別の場所から夕景を撮影しています。
 4月中旬、午後2時40分から7時までの撮影です。

①ほぼ全景が見渡せる展望所からの棚田風景。
 緑の畦の曲線のうねりが目を楽しませてくれる。


②丸山千枚田のシンボルともいえる巨大な岩。
 この大岩はどこからでも見える。
 今回はこの岩の左手奥から夕陽をねらう。


③場所を移ってきた。
 棚田の畦に挿してある細長い板きれに棚田オーナーの名前が書いてある。
 棚田オーナーとは千枚田の保全活動に理解のある人に、1年間、棚田7.2haのうち1.6ha分の持ち主になってもらうもの。
 年会費3万円だが、年間100組以上の申し込みがある。


④~⑦ほぼ同じ場所から見た棚田風景。
 このへんはオーナー用の棚田なのでまだ苗が植わっていない。
 この年は2日後の5月18日。
 夕陽が沈むのをじっと待っている。
 まわりの人たちと話を交わす。
 この日この場所には写真撮影の人は7~8人。
 奈良、大阪、遠く広島県福山からの人もいる。
 他県の人のほうが多い。








⑧5月中旬の落日はじれったいほど遅い。
 5時半にやっと日没近しという雰囲気になってきた。
 が、これからも太陽は気を持たせてなかなか沈もうとはしない。


⑨ここからの写真はコントラストを強くしている。
 6時半、やっとやっと、山の端に太陽がかかり始めた。
 階段状になった棚田の一枚一枚が輝き出した。


⑩~⑫快晴で雲がなく、期待した夕焼けは西空を彩ってくれなかった。
 この後、空は急速に明るさを失い、棚田もたちまちに輝きをなくし、あっけなくすべてが夕闇に包まれてしまった。






 恨めしそうに西空を見上げていても、一度沈んだ太陽はこの日はもう昇ってくれません(^^)。
 まわりにいて話を交わした人たちが、挨拶をして次々と帰って行きます。
 私も帰ることにしました。
 
 

丸山千枚田 その1 2013年

2015-05-05 | 三重県・山・尾鷲熊野
 三重県熊野市紀和町にある丸山千枚田です。
 ここは日本の棚田百選のひとつです。
 この棚田は江戸時代には2200枚以上あったようですが、戦後しばらくしての稲作の転換、過疎高齢化などにより530枚程度にまで激減しました。
 その後、地元の方全員により千枚田の復元と保全活動が始まり、現在1340枚という日本最大規模の棚田になりました。
 4月から地元の方による畦作りなどが始まり、5月には棚田オーナー(保全活動の賛同者)による田植え(2015年は例年より早く5月10日)が行われます。
 今年も今月中旬に行く予定ですが、その前に2013年と2014年の2回にわたり、この時期の棚田風景をお届けします。
 まずは、2013年4月上旬、午後2時20分から6時50分までの撮影です。

①千枚田展望所から。
 日本の原風景のような景色が広がる。



②③苗代から早苗を運んで来て田植えの用意。
 仕事しているところを、申し訳ないが上から見下ろしての撮影。




④こちらは違う方向。
 一部機械が入っているようだが、ほとんどが手作業。


⑤遠くで田植えが始まった。
 ほとんどの方が高齢者。


⑥手前の田はすでに田植えは終わっている。
 小さな田は畳一畳ほど。


⑦~⑫以下の写真は、メリハリをつけるため、コントラストを強めにしてある。
 田植えは終わり、水田から人影がなくなった。
 太陽は雲に溶け込み、くっきりとした日輪を形造らなかった。
 残照の山々と切り絵のような、棚田のコントラストが見事。












 その2 2014年に続く。