私はいつも飛田(トビタ)ばかり行っているので、新世界周辺をぶらつくようになってから十年以上立つが「国際劇場」に入ったのはこれが初めてである。入ってすぐ「この建物はいったいいつ頃建てられたのだろうか?」と私は驚愕し、昭和初期のいわゆる「映画館」の雰囲気を色濃く残している館内のスナップを、どさくさに紛れてあちこちバシャバシャ撮ってやった。二階席もあり私もちょっと登ってみたが、最前列のかぶりつきは膝が支える程狭く小さかったのですぐまた下へ降りた。観客はパラパラとそれでも50人以上はゆうに居たろうか、エアコンの送風が強烈で、送風口の直撃を受ける列にすわると肌寒い程だった。座席数は全部でいくつあるのかトビタの数倍はありそうで、しかも座席がボロボロということもなくきれいだった。(あったりまいってか、あちゃ。)全座席には近くの安アパート名の入ったカバーがかけられていて、「館内禁煙」はしっかい守られていたし、ゴミは多少は出るが、映画一本終わるごとの長い休憩時間中に複数の清掃員がゆっくり回るから床もきれいで、要は何もかもがあのトビタとは雲泥の差だったのである。ここは「普通の映画館」なので(はあ?)女性客もパラパラいた。大人千円である。入り口の自販機で切符を買ってモギリに渡す。「オールナイト」という券も同じ千円で売っていたので「入替え」でもするのかと思ったらそれはなかった。千円で入れば翌朝の5時まで居られる。いわゆる「二番館」ということか、封切り後間もない洋画の3本立てが十日周期くらいで入れ替わるのである。「国際」の券売機の隣には「国際地下」の券売機もあって、こちらは大人800円で、入ってすぐ階段を降りて行くようになっている。「地下」は成人映画専門なので「子供」の券は売っていないと思う。そう言えばトビタ(飛田)では子供の券はないのだ。あそこは若い女性や子供の行く映画館ではないのである。ぁそ。笑。 . . . 本文を読む