本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

飛田東映3本立。

2009-11-04 21:31:46 | 
1.男はつらいよ(第40作)寅次郎サラダ記念日

寅さんがこの味いいねと言ったから
師走六日はサラダ記念日

*ご当地としてはこの作品は長野県小諸市が舞台となって、過疎村に於ける僻地医療と医師不足、死を間近に控えた患者に対する臨床医師の問題等、重たい問題も扱っている。マドンナは三田佳子(山男の夫に死別された女医原田真知子役)で、その姪由紀(早稲田の日文で短歌を専攻している)を三田寛子が演じている。
*寅が旅先で知り合ったお婆さんのところに泊めて貰うという展開はこのシリーズではしばしば採用される手法だが、今度の一人暮らしのヒサエ婆さんのところには8年前に死別した爺さんの幽霊が出るのである。死が高齢者の身近にある。
*早稲田大学キャンパスに「男はつらいよ」のロケが入るということで、1988年当時話題になって新聞にも紹介されていた。寅が由紀と会うため飛び入りで参加した大教室では「産業革命」についての富永教授(三国一朗)の講義が寅によって滅茶苦茶にされてしまう。学生たちにはテキヤ仲間の「ワット」の話がわざとらしいくらいに大受けする。講義では近経のいわゆる「傾斜」の問題、富の集中と共に招来される「貧困の増大」についてのトインビーの指摘などがさらっと触れられている。
*俵万智(←「原作」に山田監督と共に名を連ねている)の『サラダ記念日』については松岡正剛の『千夜千冊』を参照したらいいかも知れない。てか私は原典は読んでいないのだ。あちゃ。
 舞台が小諸市ということで藤村の「千曲川旅情の歌」の「遊子悲しむ」も軽く引用され、「遊子とは伯父さんみたいな人のことだろ?」と受験生の満男君がみんなに解説する。
 その彼は受験の意義に疑問を抱いていて「なぜ大学へ行かなければならないの?」と寅に江戸川の河原土手で質問する。この回でも満男は「伯父さんはいいなあ!」と嘆息してさくらに叱られるのである。寅の回答だが「悩んだときに学があった方がいい」程度のことしか言わない。

*御前様とさくらの縁側対談では御前様が「金がすべての世の中、あの男はあれでいい」と寅を評して「そう言って戴ければ有難いです」とさくらに感謝され、「褒めたつもりはないんじゃが・・」とさくらを見送りながら逆に当惑してしまう。

*山田組常連のすまけい(院長)だが。後半思わず出たという形の「プロポーズ(?)」は良かった。それを聞いた真知子の顔も一瞬輝いたが、エピローグの病院の正月のシーンでは、二人はまだ「これまで通り」(?)の関係という様子だった。w

キャスト(役名)

渥美清 アツミキヨシ (車寅次郎)
倍賞千恵子 バイショウチエコ (さくら)
三田寛子 ミタヒロコ (由紀)
下絛正巳 シモジョウマサミ (車竜造)
三崎千恵子 ミサキチエコ (つね)
太宰久雄 ダザイヒサオ (社長)
佐藤蛾次郎 サトウガジロウ (源公)
吉岡秀隆 ヨシオカヒデタカ (満男)・・受験を控えた高校生で、正月には女の子3人が迎えに来る。
前田吟 マエダギン (諏訪博)
尾美としのり オミトシノリ (尾崎茂)・・金町在住の早大生。寅が由紀と引き合わせる。
すまけい スマケイ (小諸の病院の院長)
笹野高史 ササノタカシ (靴・リュック泥棒)・・最初と終わりだけ出て来る。
三国一朗 ミクニイチロウ (早稲田の富永教授)
関敬六 セキケイロク (ポンシュウ)
鈴木光枝 スズキミツエ (中込キクエ)・・強制入院させられるお婆さん。
奈良岡朋子 ナラオカトモコ (八重子)・・真知子の母。
笠智衆 リュウチシュウ (御前様)・・まだ元気だった。
三田佳子 ミタヨシコ (原田真知子)・・今回のマドンナ。

男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日(1988) - goo 映画男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日(1988) - goo 映画

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2.無(やどなし)宿

 勝プロ作品である。斉藤耕一監督で勝新太郎(駒形玄造・主演)と高倉健(穴吹錠吉)のニ大スターによる共演が実現した。私が最初に気づいたのはやけに人物のアップが多いカメラワークだなということだった。ぁそ。
 この二人に絡むのが梶芽衣子(サキエ)で、海が好きな足抜け女郎という役回りである。彼女は元々理知的でとんがった顔立ちをしているから「あまり聡明とは思えない(?)女郎」の役はどうかと思ったが(好演かどうかは知らないが)無難にこなしていると私は思った。

 時代は昭和十二年夏の話で、例によって粋な着流しの健さんと、白い麻の背広に力ンカン帽という出で立ちの勝新という幼馴染の二人が出所するところから物語は始まる。玄造(勝新)は海底の秘宝で一発当てる夢を抱いていて、そのため元潜水夫だったという錠吉(健さん)を仲間に引き入れたいと望んでいるのだが、錠吉の方は任侠に生きる男で兄貴分を殺された恨みを晴らすことにしか興味がない、という設定である。

 斉藤耕一監督は多作な監督だが、今履歴をざっと見てショーケンと岸恵子の『約束(1972)』とか、たくろうの『私は今日まで生きてみました』が主題歌となっている『旅の重さ(1972)』とかが私には懐かしかった。

無宿〈やどなし〉(1974) - goo 映画無宿〈やどなし〉(1974) - goo 映画

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3.陽炎3

 この映画については特に言いたいことはないが、MovieWalker「映画のストーリー」(ねたばれ注意)によると: ↓

昭和6年、女胴師・不知火おりん(高島礼子)は、瀬戸内海のある小さな港町に降り立った。そこでは暴利を貪る網元・郷田と組合を結成した漁師たち、港を仕切る大橋組と賭場や遊郭を仕切る山傳組がそれぞれ対立しあい、争いごとが絶えない。大勢の極道から袋叩きにされていた漁師のリーダー的存在・次郎を助けたことが縁で、おりんは次郎の父で山傳組組長・山本伝吉の家に草鞋を脱ぐことになった。山傳組のシマを手に入れようと躍起になっている大橋組の送り込んだ胴師・岩田銀造と一勝負打つことになったおりんは、見事これに勝利する。ところが、彼女が岩田に勝ったことで抗争はエスカレートしていき、ある嵐の夜、次郎の漁師仲間が郷田と通じている大橋組の組員に殺された。しかも、事件は事故として処理され、借金を抱えた娘のひろ子が遊郭に身売りされることになってしまう。ひろ子を愛していた次郎は彼女を助けようと騒動を起こすが、その責任を取らされた伝吉は留置所に入れられ、拷問をうけた挙げ句に命を落とした。おりんは、山傳組のシマを賭けて再び岩田との勝負に挑むが、右腕を傷つけられ苦戦を強いられる。しかし、日頃から大橋組の汚い手口にうんざりしていた岩田がわざと負けてくれたことで、その場は事なきを得たが、形勢が不利になった大橋組は、ついに実力行使にうって出た。山傳組二代目の兄・一雄を人質にされた次郎は、おりん、岩田らとともに大橋組に闘いを挑む。多くの血が流され、岩田も次郎も一雄も息絶えた。ひとり残されたおりんは、大橋組組長・大橋完治を討ち、傷ついた体を瀬戸内の海に漂う舟の上に横たえる。

・・ということだったが、この記述は ↓ 以下のgoo映画のねたばれあらすじとそっくりで似通った内容だった。笑。

陽炎3(1997) - goo 映画陽炎3(1997) - goo 映画

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