くちなし
2007年11月21日 | 花
子供のころ、家にくちなしの木がありました
これは母の趣味で、他に沈丁花もありましたが
彼らは花の季節以外は静かでぶっきらぼうで
いたって無口なカンジで地味に存在しておりました
毎朝の登校時、庭の犬に挨拶しようとすると
どうしてもそれらの前を通らなければ行けないのですが
くちなしには必ず大きな青虫がいたので
わたしはホントにこの木がキライでした
花の仕事で沈丁花を使ったことはありませんが
仕事を終え、終電で帰って夜道を歩いているとき
静かにどこからか香りが漂ってきて
とても慰められたのを覚えています
視覚が感覚の70%を支配していると言われても
嗅覚によって蘇ってくる思い出の威力は
瞬発性が高くて大きいですよね
初物のみかんの青酸っぱいにおいは
もはや私にとって運動会のにおいとして
インプットされていますし
犬がどんなにひどいいたずらをしても
おでこの匂いを嗅ぐと、もう気持ちは緩んでしまいます
年を経て、あの頃の母の年齢になってくると
結局おなじような趣味に行き着いてしまったりして
不思議な気持ちがします
写真からも匂いがあふれてきそうな
くちなしの束はお稽古用
くちなし、って名前は
語らずともわかるほどの匂いから
来てるのかしら?