2023/11/1~11/30の間、「道路運送法施行規則の一部を改正する省令及び一般乗合旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度等の一部改正に関する意見募集について」のパブリックコメントを受付中です。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155230936&Mode=0
その中身ですが・・・
一部の地域でバス停等の混雑により地域住民の生活交通の利用に影響が出ている状況を鑑み、生活路線の混雑を緩和するために観光スポットに直行・急行する路線バスの設定を促進する必要があるため、当該路線バスの運賃について届出制により機動的かつ柔軟な設定が可能とすることを目的として、道路運送法施行規則の一部を改正するものです。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000262050
現時点では2023年12月中に公布・施行予定とのことです。
2023/11時点の関連条文は以下の通りで、原則として路線バスの運賃は国土交通省あるいは地方部局の許認可制になっているところ、以下の条件を満たす場合は届出だけでOKになっています。
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一般的な用語でいうと、イは「定期観光バス」、ロは「高速バス」「空港リムジンバス」、ハは「イベント輸送の臨時バス」に相当し、今回の改正の趣旨はイに「観光スポットに直行・急行する路線バス」を加えることです。該当する路線が真っ先にできそうなのは京都市ですが、果たして「割高運賃だが目的地に早く着ける観光客専用の直行バス」は早期に実現するでしょうか?
さて、高速バスの運賃設定がフレキシブル(並行する鉄道線を基準とした割安運賃、閑散期と繁忙期で異なる運賃、速やかな運賃変更など)にできるのは届出制だからですが、ロの条文からわかる通り、高速バスの形態をとっていても運行距離が50km未満の場合は一般路線バスと同じく運賃は許認可制となり、高速バスにしては割高な運賃設定になるケースがあります。
備北交通の広島~三次~庄原~東城線の場合、運行距離が50km未満の庄原市街地~東城駅間の便が存在するため、この区間の運賃が高め(30kmあまりで1360円)になっています。距離が倍以上の庄原駅~広島北IC間の運賃(1340円)よりも高いわけです。
https://bihoku.co.jp/wpcms/wp-content/uploads/2023/03/76b0ddbf241fc6fee13e72f4857141b5-1.pdf
また、宮崎交通の宮崎駅~宮崎空港~都城間の都市間バスは、ほとんどの区間で宮崎自動車道を走行しますが、運行距離が50km弱のため一般路線の賃率が適用されます。宮交シティ<南宮崎駅前>~西都城駅前バスセンター間の運賃は1760円と、競合するJR線の普通運賃(950円)よりも大幅に割高になっています。宮崎と熊本を結ぶ高速バス「なんぷう号」でこの路線と並行する区間を利用する際にも同じ運賃が適用されるため、2023/10/1の宮崎交通の一般路線の運賃値上げに同調する形となりました。
https://www.miyakoh.co.jp/express/mediafile/nanpu_unchin-20231001.pdf
<11/9追記>
逆に、高速道路や自動車専用の高規格道路を全く経由せずひたすら一般道を走る場合でも、運行距離が50kmを超える場合は高速バスと同等にフレキシブルな運賃設定が可能です。両備バスが2023/10/31まで運行していた津山~岡山間の都市間バスがその一例です・・・2023/11/9付ブログ参照