函嶺洞門といえば、毎年1月2日と3日には必ずテレビでその姿を見ることができる「日本で最も知名度の高い近代の道路用の土木構造物」ですね。
1931年の開通以来国道1号が通っており(箱根新道の無料化に伴い、管理は国土交通省から神奈川県に移管)、長年重要な交通路でしたが、幅が狭く大型車のすれ違いができず、さらに老朽化が進んでいることから対岸を迂回する道路が建設され、2014年2月に現役を引退し完全通行止めになりました。
その後、2015年7月には国の重要文化財に指定されました。(読売新聞サイトの函嶺洞門の紹介では漏れているのが残念ですが)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/247145
ただ、この貴重な土木遺産について今後どう活用するかの話はどこからも聞こえてきません。読売新聞をはじめとしていかなるメディアも取材していないようです。
間違いないのは、閉鎖後完全に放置されているわけではないことです。
2015~16年度にかけて洞門本体の補強工事がなされました。そして、2014年度からは洞門に隣接する法面の落石対策工事を実施中で、2022年度末に完成予定です。
そして、2020年5月に多数の落書きがなされているのを発見したのは、現役時代の維持管理担当部署である神奈川県小田原土木センターです。
https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-349635.html
昨今は重要な文化財を単に保存し続けるだけではなく、観光などの目的に活用するのがトレンドとなっており、超有名観光地に向かう途中にある函嶺洞門はそれにふさわしい存在です(近くに駐車場も整備されていますし)。おそらく、神奈川県と箱根町が活用に向けて協議しているはずで、その内容が固まって公表されるのが楽しみですね・・・