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新名神大津~城陽間は2028年開通もおぼつかず、全ては山砂利採取跡地に起因

関連ブログ記事・・・2024/12/18付「城陽市の東部丘陵線(新名神並行)は2027年度全通予定、事業費は1.5倍に

NEXCO西日本は、2024/12/24に「E1A 新名神高速道路 八幡京田辺 JCT・IC~高槻 JCT・IC 間連絡調整会議(第3回)」を開催しました。開催結果は八幡京田辺 JCT・IC~高槻 JCT・IC 間同様に即日公表されています。

https://www.w-nexco.co.jp/emc/emcpdfs/20241224184711-01.pdf

最大のポイントは日経電子版など各メディアの報道の通り「開通が2028年以降になる」こと(資料の最後に、「※現時点における工事の進捗を踏まえると、今後の土工工事、橋梁工事、舗装施設工事の完了に少なくとも4年以上、工事の進捗によっては更に1~2年程度の期間を要する見込み」と明記されています)ですが、当ブログで再三紹介した宇治田原IC予定地~木津川運動公園間の山砂利採取跡地における工事状況を見れば自明の理以外の何でもありません。そして、上記ブログ記事で書いたとおり、このエリアで並行する都市計画道路東部丘陵線は「2027年度開通予定」とされていますが、こちらも怪しくなってきているのかも。

以降は、上記連絡会議の結果を解説することとします。

1.滋賀県内

難工事となっていた信楽川橋のP4橋脚について2024年2月に基礎杭の構築が完了し、2024年末時点では全ての橋脚工事が完了し上部工の工事を推進中となっています。

2.宇治田原IC予定地

2024年1月に用地の引渡しを受け、調査および工事に着手しました。その結果、以下のことが判明しました。

 (1) 山砂利採取後の埋戻しが広範囲にわたっており、コンクリート殻等の混入物が想定以上に埋まっている

 (2) 地盤が軟弱であり、粘性土を多く含んでいる

これを受け、将来、安全な切土のり面とするため、宇治田原IC部については、地盤改良と切土工事を繰り返し行いながら本線の構築を行う計画となりました。また、今後の工事において、コンクリート殻等の混入状況が不明であること、また、地中の混入物により、地盤改良の進捗に大きな差が生じたり、機械が故障するなどの事象も発生していることから、引き続き工事の進捗の確認が必要ともなっています。当然、これらを遂行するためには当初見込みと比べ相当な期間と費用が必要となります。

3.城陽スマートIC予定地

山砂利採取後の埋戻し箇所における地盤改良工事は約7割程度進捗している状況で、こちらが完了したのちに盛土工事を実施予定です。つまり、実際に道路本体の工事に取りかかれるのはまだ先であり、盛土工事に続く各ステップを考えると、2027年春時点で道路の土木構造物ができていれば御の字かも。

結局、工期の大幅遅れは全て山砂利採取跡地に起因していることがわかります。

この一帯が山砂利採取場となったのは昭和30年代からです。

https://www.pref.kyoto.jp/kankyo-saiseido/documents/1177648872801.pdf

昭和30年代までは建設資材としての砂利は大河川で採取する川砂利が一般的でしたが、大都市圏では過剰な採取から農業・漁業・防災面などで問題が発生し、採掘禁止や大幅規制の網がかかりました。これを受け、高度成長期の旺盛な需要を賄うために、広大な未利用地が広がっていた一帯で多数の業者が採掘を開始しました。ただ1970年代後半になると今度は「採取跡地をどう処理するか」が重要な課題となりました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/27/66/27_985/_pdf

その結論が、一帯への工業団地・流通施設・アウトレットなどの整備であり、その交通手段となる東部丘陵線や新名神ICの整備だったわけです・・・ おそらく、社会全体が「希望に満ちた未来」だけを考えて動いていた高度成長期ですから、採取跡地の窪地を埋めるために何でもいいから持ってこい状態だったと推測され、その結果が地中に埋まった大量のコンクリート殻なんでしょうね。

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この状況の公表を受けて気になるのが、城陽スマートIC近くに開業予定の「京都城陽プレミアム・アウトレット」の動向です。

しかし、このブログ記事を書いている時点で運営主体である三菱地所・サイモン社の公式サイトでは何のアナウンスもありませんし、そもそも同アウトレットの構想に関するコンテンツが見当たりません。同社が2020年4月に地元説明会のために作成した資料(https://www.premiumoutlets.co.jp/joyo202004/plan200430.pdf)は同社のサイト内に今も存在しますが<この時点では新名神・東部丘陵線・アウトレットの全てが2024年春始動予定だった>、トップページからは辿れないようです。

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