竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

豚インフルとアメリカ

2009年04月30日 | ビジネス
4月も終わりに近づいて、日本はゴールデンウィークに入ろうというところで、鳥インフルエンザならぬ豚インフルエンザが発生した。震源地はメキシコ、すでに2000人以上が感染し100人以上が死亡している。感染はすでに10カ国以上に広がり、ついに今日、日本でも感染の疑いがある人が隔離された・・。

鳥インフルエンザが襲ってくるものと思っていたところに、聞き慣れない豚インフルエンザが突然出現した。しかし、どうもどこでどう発生し、どう広がってきたのかが判然としない。何か釈然としないうちに、感染は世界中に広がりつつある。

釈然としないのは、鳥インフルの場合、まず感染した鳥が大量に死ぬという場面があるのだが、今回の豚インフルではその報道がなくいきなり感染者死亡のニュースからはじまったからである。
何かが起こるかも・・ではなく、知らされたときにはすでにはじまっていた。
震源地がメキシコという途上国であることから、医療や検疫体制の不備ぐらいに日本の人々には思われているかもしれないが、本当にそういうことなのだろうか?

この事件で奇異に感じていたのは、もう一つアメリカでの対応が今ひとつ遅いことである。すでに一人の死者が出たが、これはメキシコ人の子供である。感染者は91人とされているが、数日経ってもなかなか増えない。
ニュージーランドやオーストラリアでは、感染の可能性のある人の数字からどんどん発表しているが、アメリカからの感染予備軍情報はきわめて少ない。

衛星で他国の各施設を10センチ程度のものまで判別できるほどにチェックできる国である。深刻な感染症のサーベイがこんなにも悠長なはずはない、すでに何が原因で何が起こっているのかわかっているのではないか・・と思わざるを得ない。
といぶかっていたところに、「これか」という情報が入ってきた。
報道したのは、なんと産經新聞のようである。

まず、ズバリ、この感染症の発生源はメキシコではあるが、アメリカの食肉産業の工場だということ。
南部ベラクルス州のラグロリア、そこにアメリカのスミスフィールド社がメキシコ企業と合弁で設立した大規模養豚場がある。
この周囲ではすでに2月から、現在発生しているのと同じ症状の人々が大量に発生していた。その数、全人口3000人のうち60%の1800人。

この工場の環境管理はきわめて悪く、現地には豚のし尿の池ができ、ハエなどの病原菌媒介昆虫が大量発生、有害なし尿は地下水にしみ込み、飲み水まで汚染していた模様。
周辺住民は工場の閉鎖を求めて抗議行動すら起こしていた。

豚の大量死、どうやら、ここでは起こっていたらしい。

でもいまだ、メキシコ政府もアメリカ政府も、この事例が今回の豚インフルのスタートラインとは認めていない.それどころか産業に与える影響を懸念して「豚インフル」の名称に懸念を表明し、あくまで食肉産業を守ろうという姿勢である。
それがオバマ大統領の指示か否かはわからないが、金融危機を抱え、ビッグスリーの経営危機(先ほどクライスラー初に経営破綻というニュースが流れた)を抱え、そこに食肉産業の危機。

隠したい気持ちもわかるが、それは間違いなく感染を拡大している。
まずスミスフィールド社にメスを入れるべきだ。
本来は豚の大量死を公表し、そこで対策を立て、周辺の人々への健康被害にもっと早く対処すべきだった。

オバマ大統領の100日という特集もあちこちで見る。そこそこに評判は良く、発足当時の高い支持率をいまも維持している。
しかし、この問題ついては後手だ。遅すぎる!

産經新聞はおそらく反オバマ的な感覚で、この重要なニュースを流したのかもしれない。
それでも世界に(とくに日本に)重要な情報を発信する役割を担った。
鳥インフルに比べ、弱毒性などと報道され、日本ではそんなに気にしなくて良いかのような報道もある。
国際的に緊張感の足りないそんな状況に業を煮やしたか、WHOは対応レベルを3日前までのフェイズ3からフェイズ4へ、そして今日にはフェイズ5へと一気に引き上げた。
日本に入国する人はすべて検査・・というような体制が本当は求められている。
感染国からの入国者だけ検査というような、いまの悠長な検査システムでは、世界への感染が一段落したあたりに、今度は日本での爆発的発生という事態もあるのではないか。

とりあえず、このままでは危ういと警告だけは発信しておきたい。













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