4月の統一自治体選挙が終わりました。参議院補選は与野党が1勝1敗・・みたいな毒にも薬にもならないような評価がマスコミをにぎわしています。しかし本当に深刻に受けとめなければならないことは、無党派層の迷走ということではないでしょうか?
東京都知事選挙で石原慎太郎氏を再選させた原動力も、沖縄の参議院補選で与党候補を勝たせた原動力も無党派層だと思います。
かつて無党派層は小泉純一郎という変な人を総理大臣に押し上げました。あの頃から無党派大衆の政治の羅針盤がなにやらあちこちあらぬ方向を向くようになったのではないかと思います。
選挙戦のさなかに現職市長が銃撃されて命を落とした長崎市では、補充立候補に伊藤市長の娘婿と市役所幹部の2人が名乗りをあげ、暴力団暗躍の原因をつくった当事者であろう市役所の幹部が市長に当選しました。なにか釈然としない決着だなあと思います。
これも無党派大衆が演出した結果です。政治経験のまったくない新聞記者の娘婿では頼りないと思われたのでしょうか?伊藤陣営を支えていたはずの市役所側が、なぜ人生をかける決意をした娘婿を支えないで対立候補を立てるという「不思議な選択」をしたのでしょうか?
もっともすがすがしく、わかりやすい選挙は高知県の東洋町の町長選でした。誰もが嫌がる高レベル放射性廃棄物の処分場に、日本中ではじめて正式に手を挙げて応募をした前町長がリコールされる前にみずから辞任し、再選挙で町民の意思を問うた選挙でした。
町民の意思は90%近い投票率でダブルスコアを超えるダントツの票差で「高レベル放射性廃棄物反対」の候補者を当選させました。これでもう、高レベル放射性廃棄物処分場に手を挙げようという首長はいなくなるでしょう。
この場合は無党派大衆は無党派ではなく、明確な一つの目的をめざす意思を持った大衆に変化していたわけです。
なんともやりきれないのが沖縄の参議院補選です。全野党共闘が実現しながら、保守候補に敗れました。ただし、とても失礼な言い方になるかもしれませんが、どう考えても野党共闘側が候補者選びを間違えていたように思います。
与党側は政治家としてはまだ若手の女性候補、野党共闘側は労組・連合沖縄の委員長です。社会一般的には、与党側が新鮮で野党側が旧態依然の保守・・に見えたでしょう。労組や民主党は、そろそろ、この現実に気がつくべきです。
全野党共闘といっても、連合沖縄の委員長ということは民主党候補です。はっきりしすぎています。当選後に何を大事にし、何をないがしろにするかも・・。そういう候補者で、果たして全野党が一丸になれたのかも疑問です。本当に勝つ気があったのかと。
しかし、ともかくも、統一自治体選挙が終わりました。次はいよいよ、夏の参議院選挙です。
参議院で改憲の発議を可能にする3分の2の議席を与党側が取るのか、それとも改憲に反対の意思を持つ議員が3分の1以上の議席を確保するのか・・、実は憲法の命運がかかった選挙なのです。安倍総理はこの事実をオブラートでくるんだりしないストレートな人なので、選挙の争点は「改憲」とはっきり掲げているのです。
民主党の小沢さんのほうが「そうじゃない格差是正だ」てなことを言っていますが、正解は「憲法」です。ここで改憲発議を止められるだけの議員を参議院に送れなければ、憲法9条が変えられる・・というそんな土壇場の選挙です。
私はそういう危機感をもっとマスコミや政党や労組やいろいろな機関が、もっと積極的にアピールすべきだと思います。でないと、「その日」は突然やってくるでしょう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます