10月9日日本時間の10時36分頃、北朝鮮は核実験を強行した・・と報じられています。でもそこに示されている数字に、あまりに矛盾が多いことを、まだ誰も指摘しないようです。
同日の11時46分には国営朝鮮中央通信が「核実験は成功」と報じ、各国で核実験によると思われる地震波を観測しました。
問題はこの地震波の大きさです。第一報の韓国国家情報院はM(マグニチュード)3.6から3.7と報じ、続くアメリカの地質調査所はM4.2と報じました。さらに、日本の気象庁はM4.9と大きくなります。ロシアは核実験に間違いないと断定発表しましたがマグニチュードは明らかにしていません。
なぜマグニチュードを問題にするかというと、それが1違うと32倍も規模が違うからです。2違うと(32×32なので)1000倍違うとされます。3.6と4.9の違いはもう100倍以上の差になるだろうと思います。
核爆発の規模についても諸説あります。韓国の地質資源研究所はTNT火薬400-500トンと分析していますが、アメリカのワシントンポストはもっと小さい200トンであったと報じているようです。本当の核爆発であれば、20キロトン(長崎に落とされた原爆は21キロトンとされる)くらいになるはずです。おそらくM4.2とか4.9になるのは、この規模の核爆発と想定されます。核爆発規模が200トン程度であれば、まさに100分の1、M3クラスが妥当です。第一報以外のマグニチュードの数字は、核爆発規模の想定と大きく矛盾します。
北朝鮮自身は20キロトンのプルトニウム爆弾と発表したとの報道もありますが、アメリカのワシントン・タイムスは事前に中国に4キロトンと予告していたと書いている(10月13日)そうです。長崎型原爆の5分の1規模ですから、ミサイルの弾道に搭載する「小型核」という見方があるようです。しかし、まだ通常の核爆弾も完成したことがない北朝鮮にさらに精度を上げた「小型核」製造の技術があるでしょうか?
核の番人であるIAEA(国際原子力機関)はプルトニウムの有意量を8キロとしています。長崎型原爆はプルトニウム6キロであったと推定されています。プルトニウム原爆は一定量のプルトニウムを上手に連鎖反応させることで一気に核分裂反応を進めて巨大なエネルギーを炸裂させるものです。連鎖反応をコントロールすることが肝心な技術で、その精度を確かめるために核実験を行う必要があるのです。
通常規模の原爆製造技術も確かめられていないのに、中国に4キロトンと予告したということは、最初から「小型核」だと宣言したことになります。それでも200トン程度の核爆発しか起きなかったとすれば、これは200分の1規模、明らかに核実験は失敗したということになります。というより、ほとんど実験になっていない。10分の1の爆発もできないとは、相当にお粗末な技術であるということを明らかにしたようなものです。本当は恥ずかしくて公表できないようなものではないでしょうか?
とても脅威といえる技術ではないと思われるのですが、この小さな地震波のみを根拠として、世界の大勢は経済制裁、金融制裁、さらに航行船舶の臨検という一触即発の状態に進もうとしています。これを主導しているのは、現在国連安保理の議長国である日本です。
もし戦争状態になった場合、アメリカは、この北朝鮮の「核」(4キロトン)の25万倍の破壊力を持つ水爆をはじめ約1万発の核を保有しています。破壊する気なら1撃でできます。
ただしその後の状況を考えてください。その核の放射能は地理的には日本の近くにばら撒かれるのです。日本海の魚介類を汚染するでしょうし、渡り鳥たちは北朝鮮を通ってやってくるものもいます。チェルノブイリ原発事故は今もその影響による死者を増やし続けており、その数は最終的に100万人を超えるとの推定もあります。自然環境という点では北朝鮮と日本は北東アジアという一つの共同体なのです。死の灰は日本にも飛んできます。
莫大な数の難民も誕生するでしょう。何万人も、何十万人も救援を必要とする人たちをどこでどのように助けるのでしょう。しかも、広島、長崎のように被爆し放射能による健康被害を抱えているとしたら・・。
日本から北朝鮮に渡った家族のある人、またまだ残されている拉致被害者の方々もいます。これらの人たちはいわば「人質」のようなもの。これもあり、北朝鮮は「核を撃てるものなら撃ってみよ」という強気の姿勢なのでしょう。これは、イラクのような空爆の雨も降らせることはできないということを意味します。(アメリカは平気でやるかもしれませんが・・)
ところが今、世界の情勢は、そういう危険領域に向かって着々と進んでいます。それをなんと日本がリードしているのです。どうしてマスコミやジャーナリストたちはこれを愚かと批判しないのでしょうか?
声を上げないと、この状況を認識できない政府の方針はどんどんあらぬ方向に進みます。以下の記事はびっくりしました。マスコミに対し、拉致被害報道を重点的に行えという命令を出すというのです。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20061014ddm012010089000c.html
拉致被害者の方々、また家族の人たちのこれまでの労苦は耐え難いものであったと思います。いまだ横田めぐみさんはじめ救出されていない拉致被害者の皆さんを一刻も早く取り戻さなければならないということも正しいことであると思います。
しかし、それをマスコミを強制するような形で行うようになったら、これはむしろ日本の北朝鮮化ではありませんか?
まだまだ書かねばならないことがあるのですが、今日はここまでとします。
今回の記事を書くにあたって、たまたま私が読んでいた本がとても役に立ちました。
「核大国化する日本-平和利用と核武装論-」(鈴木真奈美著、平凡社新書、780円)です。核問題のイロハがとてもわかりやすくまとめられています。興味のある方は、ぜひ一読してください。
北朝鮮にとっては、命綱である万景峰号が
入港禁止になってから5ヶ月、北朝鮮は相当
困っているらしい。崩壊の危機に直面している
と言ってええやろ。来年早々には横田めぐみさんを
返すことを条件に万景峰号の入港再会を
要求してくることは間違いない。
そうなれば早ければ来年3月には横田めぐみさん
は30年振りに懐かしい祖国に帰って来る。
(以上は増元照明氏の最近の発言より引用)
羽田空港は戦後最大のイベントに3万人の人が
かけつけ、大騒ぎになるやろ。たった一人の
拉致被害者で日本中が湧き上がるのだから
横田夫妻は大したものや。よかった、よかった。