関係者の皆さま
本日(20230304)は貴重なお時間を頂戴でき、なおかつ有意義な情報交流が交わせたこと感謝申し上げます。
今日の吾人のお話しのなかで、標記語【窨】が廿巻本には未収載なのに、十卷本にはあって、これが観智院本『類聚名義抄』法下62に収載することを伝えています。(吾人のブログ「チームルーム」に詳細情報を記載)
『日国』第二版の「うるし【漆】」の見出語を国研語彙素コードの研究調査として、小学館からご提供が適って、そのデータ資料を駆使してみてみたとき、和語「うるしむろ【窨】」の語がはたと目につきました。
類語「うるしや」「つちむろ」も併せつつ検証しておくことの必要性を感じています。
日本文化芸術に欠かせない「漆」の古語「うるしむろ」のことばの役割がまだ上手く伝えられていないことに氣づかされました。塗師にとって欠かせない建造物が此の「うるしむろ」です。
海外の方からも『日国』には上手く伝えられない日本語の古典語として、疑問の指摘がなされないようにしたいと思うばかりです。
うるしむろ【窨】の補足
名古屋市立博物館蔵『倭名類聚抄』卷第十五
△調度部第二十下
○膠着具第二百の最末尾の標記語として、
「漆屋(ウルシムロ)」〔92オ2〕
と収載している。
他写本では、「膠着具」の語群のなかに、此語は標記語としては、廿巻本『倭名類聚抄』、十巻本『和名類聚抄』には未収載の語だが、十巻本『和名抄』の標記語「窨」の注記語に「一云漆屋」と記載を見る語となっている。
当然、廿巻本『倭名類聚抄』の古写本高山寺本は同じく「一云漆屋也」として収載することは重要なところでもある。
名博『和名抄』の所載は、原書『和名抄』を見定めるうえで大きな手がかりをここに遺しているようだ。
名博『和名抄』解題者は、榎英一さん、267頁下段末に元京大教授木田章義さんのお名前があって、此の名博寫本が草稿本ではないかと推測している旨を記述する。
今回の当該語「漆屋」(ウルシムロ)の所載状況については、議論を重ねていくところとなろう。萩原義雄蔵