ザウキヨ【藏弆】
下位部の文字「弆」は、『玉篇』に「カリス」「ヲサム」と訓んでいます。「弆」は佛字にして、『康煕字典』には、「【弆】[広韻]居許切[集韻]苟許切並音舉[広韻]蔵也又[集韻]通作去[前漢陳遵伝]遵性善書与人尺牘皆蔵去以為栄[註]去蔵也又[広韻]羌舉切去上声義同」と見えています。
小学館『日本国語大辞典』第二版の語用例として、読本『近世説美少年録』〔一八二九~三二〕卷三・第二六回に、
小学館『日本国語大辞典』第二版の語用例として、読本『近世説美少年録』〔一八二九~三二〕卷三・第二六回に、
○兌坊(リャウガヘミセ)にも三百両の 沙金を蔵弃(もて)るはなかりけり。
の用例をみるのだが、此の「蔵弃」としての見出し語は未収載にある。
実際、此の漢字熟語が読本作家が中国の白話小説などから得て、此の作品を読んだ多くの読み手が此の熟語に触れ、此の熟語文字を自身が発信するようになる文字言語の素養としての流通性を学ぶことにもなる諸例が専門の研究者だけが読む古辞書の一つ三巻本『色葉字類抄』の解説文に次のように記述されている点を見出した。
実際、此の漢字熟語が読本作家が中国の白話小説などから得て、此の作品を読んだ多くの読み手が此の熟語に触れ、此の熟語文字を自身が発信するようになる文字言語の素養としての流通性を学ぶことにもなる諸例が専門の研究者だけが読む古辞書の一つ三巻本『色葉字類抄』の解説文に次のように記述されている点を見出した。
○果して然らば其書の前田家藏となった年代は明らかでないとしても、五代綱紀の時既に其藏弆であったことは確かである。
とあって、此の語例が斯くも血となり肉となり、このように引用していることに驚愕しないわけにはいかない。此の解説文の全貌は専門家の既読すべき重要な資料なのだが、その一文として茲に紹介しておくことにする。
訓みは、字音で「ザウキヨ」にして、「カリス」「ヲサム」で、此の箇所は和語動詞「おさめる(ところ)」とでも読んでおきたい。
《補助コメント》
此の活字化文字でない、手書き化した文字は、漢字文字研究者の一人として、吾人の文字心揺さ振った。早速、翌朝一番で、漢字研究の第一人者の早稲田大学教授笹原宏之さんに此の画像を以て観て貰うことにした。多忙ななかにあって即座に「去」の別字体であることを指南いただき、その前後を見定めて見た。次なる展開を期待している。