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小説・漫画の中の切上り長兵衛の年令

2019-01-06 19:05:55 | 趣味歴史推論
泉屋吉岡銅山の田向重右衛門へ 別子の露頭の存在を知らせた元禄3年(1690)当時の切上り長兵衛の年令を、史誌、史話、小説、漫画などではいくつと書いているかを知るべく探した結果、僅かに次の3点があった。

1.小説 芥川三平 「別子開坑記」(1986)1)
 「30前后の屈強な男」と書かれている。

2.小説 高嶺憧 「あかがね物語」(1991) 2)
年の頃は四十少し前、少々無鉄砲で気難しいところもあったが、職人としての腕は確かだった。それにもの(鉱石)を目利きする勘は相当なものらしい。

3.漫画 住友四百年「源泉」(2012)3)
描かれた長兵衛の目元の感じから四十代と筆者はみた。対する田向重右衛門は36歳なのだが、かなり若く描かれている。この漫画は、少なくとも長兵衛を田向重右衛門よりかなり年上として描いている。

 「別子開坑二百五十年史話」(1941)には、「長兵衛はこれまで同じ阿波出の山留源四郎や久右衛門といっしょに備中へ渡って、吉岡銅山に雇はれたものだが、この一両年前に長兵衛は郷里に近い伊豫に立ち越して、同國新居郡立川銅山で稼いでいた。」と長兵衛の鉱夫経歴がかなり短いように書かれている。4) これが長い間一般に公開された唯一の情報源であった。
しかし「宝の山」(1991.12)が一般に公開され、これにより切上り長兵衛が渡り鉱夫として全国の多くの鉱山で働いていたという経歴が明らかとなった。5) この情報により切上り長兵衛の年令は上がったと筆者は推測する。

注 文献など
1.芥川三平 創作「別子銅山 露頭発見記(四)」新居浜郷土史談 第64号 p38(昭和55.11 1980)として発表、のちこの連載をまとめて 単行本 別子開坑記 (昭和61.7 1986)として発行。
2.高嶺憧 「あかがね物語」(5)益友 第38巻第7号(平成3.7 1991.7) p18
3.漫画 作:西ゆうじ 画:長尾朋寿 住友四百年「源泉」第五話「歓喜の銅山発見」(講談社 2012.4)住友の歴史を参考にして創作された物語ですと書かれている。
インターネットで 住友グループ広報委員会>住友の歴史>漫画>住友四百年「源泉」で読める。
4.住友本社庶務課編 別子開坑二百五十年史話p55 昭和16(1941)国立国会図書館デジタルコレクション
5.住友史料叢書[6] 監修小葉田淳 編集住友資料館今井典子「宝の山 諸国銅山見分扣」(思文閣出版/京都 平成3.12 1991.12)

漫画 住友四百年「源泉」第五話「歓喜の銅山発見」



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