(サンケイスポーツ)
日本相撲協会の「公益法人制度改革対策委員会」が8日、東京・両国国技館で会合を開き、八百長問題の調査や関係者の処分が終わって一定の解決をみるまで、次の会合を開かず、公益法人の議論を凍結することを決めた。申請の際には、新たに力士の倫理規定を設け、八百長の再発防止に関する文言を盛り込む必要性も示した。公益財団法人への移行が認められない可能性もあり、各種プロレスや格闘技団体のように株式会社として再出発する道も議論する。
「国技」の看板を自ら下ろす、論議が浮上した。協会は公益法人制度改革に伴い、13年11月までに税制面で優遇される公益財団法人の認定を目指しているが、協会の公益法人制度改革対策委員会が急きょ、今後の議論を凍結、停止することを決めた。
「(公益財団法人認定へ)いままで話し合ってきたが、こんな不祥事が起きて…。早く片づけたい…」。想定外の緊急事態を受け、放駒理事長(元大関魁傑)は厳しい表情をみせた。
改革対策委は平成21年1月に発足。外部有識者、理事、一門代表の親方らで構成。外部有識者の深沢武久委員(77)=元最高裁判事=によると、力士や親方が関与を認めた今回の問題で、議論は大きく遅れる見込みで、今秋にも可能性のあった最初の認定申請も延期される見通しとなった。
協会の全般的な改革を論議する第三者機関「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」が、協会の改革答申案に八百長対策を盛り込もうとした際、協会は「八百長は存在しない」と突っぱねた。だが、深沢委員は「倫理条項をつくらないといけない」と明言。申請の際に力士の倫理規定を新たに設け、八百長の再発防止に関する文言を盛り込むという。
さらに、同委員は「場合によっては、公益財団法人を前提にしない話にしなきゃいけないかもしれない」と危機感を募らせる。協会の主な収入源は本場所開催。法人税が課税される「収益事業」のため、優遇措置により税率は通常の30%より低い22%。公益財団法人になれば引き続き優遇されるが、協会の度重なる不祥事、八百長疑惑が審査に影響する恐れは十分にある。
仮に公益財団法人に認定されなければ「一般財団法人」としての存続を目指すことになるが、税制の優遇措置を失う可能性がある。公益法人でなくなれば、内部留保金の国庫返納(35億円程度)、両国国技館の返上の危惧も浮上する。
公益法人移行を断念して「株式会社」として再出発する論議も避けて通れない状況となった放駒理事長は「目標に向けてがんばる」としたが、光はみえない。