謎のメールのトレーサビリティ 2月19日

誰の目からも蜜月ぶりは明らかだった、武部自民党幹事長とホリエモン。どう見てもアナログ人間の武部氏と、時代の風雲児ホリエモンとは、次男の仲介なくして遭遇するはずもなかった。この異色の取り合わせのキューピッド役が武部氏の次男・毅氏であることは、総選挙当初から知られていた。選挙の応援演説での、武部氏の「我が弟、我が息子」の発言は、尋常ならざる力の入れようを感じる。普通は、なかなかここまでは言わないものだ。武部氏にとってホリエモンは、“ファミリー”だったのだ。

そして選挙後も武部氏は、ホリエモンを自民党本部に招き、党財政や広報関連の相談を持ちかけている。ホリエモンを厚遇する武部氏は、明らかに一線を越えていた。武部氏が描いたホリエモンの似顔絵が、ライブドア事業報告書の表紙を飾り、更にその似顔絵は、今年のホリエモンの年賀状にもデザインされていた。不正を隠蔽するために、権力に擦り寄ろうとしたホリエモンの心境は、十分に理解できる。ホリエモンは、そのために「小金」を惜しまなかったはずだ。

経営能力ゼロの武部氏の次男・毅氏の事業を支援することで、武部幹事長に恩をうることは、ホリエモンにとっては、おそらくなんでもないことだったに違いない。あらゆる事業に次々と手を出しては、長続きしない次男。ネット証券に手を出した際は、会社所在地を武部氏の議員宿舎に置くほどの愚かぶりだ。

民主党永田議員が指摘する謎のメールの信憑性は、いまだ定かではない。件のメールが本物であるならば、情報提供者は腹をくくり、銀行口座を特定するなど社会が納得する説明をする責任が、今となってはあるのではないか。そうすることで、身辺に危険が生じるのなら、民主党はもとより警察がガッチリとその人物を警護すべきだ。件のメールを受け取ったライブドアの関係者は、正義感からメールを提出したのだと信じたい。

事実無根と否定会見をする武部氏の当初の表情は、いつもの威勢の良さのかけらもないものだった。うしろめたさがムンムンと立ち込める釈明会見だった。武部氏は、次男の他にも身内に甘い汁を吸わせている。昨年の総選挙では、数々の刺客の影で、千葉4区に長男の妻の兄を出馬させ、小選挙区では落選したものの比例復活で当選させている。「ミッキー」こと藤田幹雄衆議院議員のウェブサイトを見ると、ライブドアブログを使用していた「活動報告」のページは現在凍結中。次男のみならず、長男の妻の兄の藤田代議士にもホリエモンから選挙資金が流れたという説もある。武部一族の疑惑は深まるばかりだ。自民党幹事長という権力を利用して“不肖の息子”を援助させ、長男の妻の兄を議員にして“ファミリー税収”を拡大する・・・。小泉劇場のシナリオライターの本質は、こんなもんだ。

闇社会とのつながりが指摘される安倍氏を官房長官に起用し、ホリエモン流錬金術を容認した竹中平蔵氏を一貫して重用し続け、自民党幹事長の要職に武部氏を置く小泉人事は、まさに破廉恥極まりないものだ。ポスト小泉には、小泉総理の息のまったくかかっていない人物を選ぶべきで、さもなければ、これからも政治が金儲けの道具にされてしまう。

いずれにしても、謎のメールのトレーサビリティを明確にしないことには、国民は判断のしようがない。情報提供者を説得し、メールのトレーサビリティと銀行口座を明確にする責任が、拳を振りかざした民主党にはある。
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